睡眠サプリ大人気成分の『ラフマ』とは?5つの研究から効果を検証

公開日:2022/07/13
更新日:2022/07/12

近ごろ多くの睡眠サプリに配合され、目にする機会が増えた『ラフマ』。
そもそもラフマとはどんな成分なのでしょうか。
安全な成分なのかも気になるところですよね。
そこで今回は実際の研究結果から、ラフマの詳細や効果を紹介します。

  • 記者 WRITERSTERON編集部
    ニュース担当

そもそもラフマとは?

 最近ラフマと呼ばれる成分を配合した睡眠サプリが人気ですが、ご存知ですか?

ラフマ(羅布麻)は中国北西部原産の植物で、コウマ(紅麻 )とも呼ばれます。

日本では本州北部や北海道の日本海側の岩場に自生し、バシクルモンと呼ばれてきました。

葉はラフマ茶またはヤンロン(燕龍)茶の茶葉になり、漢方医学では不眠症だけでなく心臓病、腎炎、高血圧、神経衰弱の治療薬としても使われています。

ラフマの睡眠改善効果は日本での研究が盛んで、2022年6月現在で臨床試験は2件しか見つかりませんが、両方とも日本の研究です。

それもあってか、多くの日本企業がラフマの葉を使った機能性表示食品の届け出をしています。

消費者庁の「機能性表示食品の届出情報検索」ホームページ[1]で原材料「ラフマ」で検索すると75件もヒットし(2022年6月現在)、その全てが「睡眠」や「眠り」に関する機能を含みます。

これだけ人気だと、ラフマにどんな成分が含まれていて、どのような効果があるか気になりますよね。

ラフマ葉の有効成分は、ヒペロシドとイソクエルシトリンというフラボノイドの一種です。

両方とも脳内のミトコンドリアに影響して、セロトニンという脳内物質の分解を抑えて量を増やすので、精神を安定させる効果があるとされてます。[2]

しかし、脳内のセロトニンを増やす成分なら他にも。

実は、ラフマには他の成分とは違うユニークな効果があるようなのです。

そこで本記事では、ラフマの臨床試験と他の睡眠改善成分との比較をご紹介しつつその特徴に迫ります。

  

ラフマの睡眠に関する研究5つ

 では、実際の効果について研究データをもとに解説します。

 

1. GABAとラフマのストレス低減効果を検証して失敗

ラフマの睡眠改善効果に着目したのは、別の目的の臨床試験での失敗がきっかけだったようです。

2009年、静岡県立大学や常磐植物化学研究所の研究グループが、GABAとラフマのストレス低減効果を比較検証しました。

この試験では、静岡県立大学の男子学生ボランティア12人が4組に分かれ、カプセル2個の組み合わせを4日ずつ摂取して効果を比較。

カプセルの組み合わせは、GABA25mgとプラシーボ(偽薬)、ラフマ25mgとプラシーボ(偽薬)、GABAとラフマを25mgずつ、プラシーボ(偽薬)だけ2個、の4種類です。

その上でだ液を採取してクロモグラニンA(CgA)とコルチゾールの濃度でストレス度を測り、アンケートも実施しています。

結果を見ると、物理的にはGABAとラフマの組み合わせではクロモグラニンA濃度が低く抑えられていました。

しかし残念なことに、コルチゾール濃度ではプラシーボ(偽薬)だけ摂取の時とそれ以外の組み合わせの間に有意な差は見られません。

しかも、アンケートのストレス関連項目への回答でも有意な差はありませんでした。

研究グループは、GABAもラフマも25mgしか摂取させなかったことと、被験者人数が少なかったことが失敗の原因としています。

確かに、両方摂取した場合効果が大きくなっているのは事実です。

ただし、アンケートの「眠気」の項目では、ラフマを25mgだけ服用した時の回答スコア平均点が約68点で最高点だったのが注目に値します。

他の「眠気」スコアはプラシーボ(偽薬)が46点、両方摂取が41点、GABA単独が30点ですから、ラフマが際立っていますね。[3]

次にご紹介する2015年の睡眠関連試験の論文は、この試験の論文に言及しています。

この試験結果を知った研究者が「これは使えそうだ」とヒントを得て、自分たちの試験を考案したとみてよいでしょう。

 

2.ラフマの睡眠改善効果をGABAと比較

2015年にファーマフーズと常磐植物化学研究所により行われた睡眠に関する臨床試験は、2009年のストレス低減試験とよく似た方法で、ラフマとGABAの睡眠改善効果を調査しました。

多くの企業がこの試験結果に注目してラフマの睡眠サプリを開発したようです。

興味深い内容なので、くわしく見ていきましょう。

この実験では不眠に悩む30~40代の男女16人が4グループに分かれ、毎晩就寝30分前に治験薬のカプセルを1週間飲み続けて、睡眠時の脳波を測るサイクルを2度繰り返しました。

4グループはラフマ単独50mg、GABA単独100mg、ラフマ50mgとGABA100mg両方、またはプラシーボ(偽薬)の4種類のうち、2種類を1週間ずつ試しています。

結果は複雑で興味深いものになりました。

まず、眠りに入るまでの平均時間はGABA単独の効果が一番よくて5.3分短縮、ラフマとGABA両方摂取で4.3分短縮、ラフマだけだとわずか0.9分の短縮にとどまっています。 

しかし、ノンレム睡眠の深い眠りの増加ではラフマの効果が最も高い7.6%増加、両方摂取がこれに次ぐ5.1%で、GABA単独だと1.0%しか増えていません。

眼球が動いて眠りが浅くなるレム睡眠の短縮でも、ラフマ単独がベスト記録の8.2%短縮、両方摂取が5.3%、GABA単独摂取がわずか1.6%短縮です。

なお、最下位はプラシーボ(偽薬)で、入眠時間もノンレム睡眠も悪化、レム睡眠はほとんど変化なしでした。

 脳波だけを見ると、ラフマは深い眠り、GABAは寝つきやすさが強みで、両方摂取は両方の足し算ではなくバランス型になっていますね。

しかし参加者の自己評価(VAS)では、睡眠の満足度と寝つきやすさでラフマとGABA両方摂取が一番改善し、ラフマ単独は2位、GABA単独が3位となっています。

入眠時間の脳波測定ではGABA単独摂取の方がラフマ単独より改善したはずですから、自己評価と逆転していることになりますね。

さらに興味深いのですが、自己評価ではGABA単独使用の睡眠満足度は3位といってもほとんど改善しておらず、ラフマ単独に大きく劣っています。

PSQIという質問票を使った睡眠スコア改善でも、ラフマ単独がベストで、2位のGABA単独の約二倍改善していました。

一方、目覚めた時の感覚の改善はGABA単独摂取が一番で、両方摂取がその次、ラフマ単独摂取は3位に甘んじています。

なお、自己評価でも、全ての項目で最下位はプラシーボ(偽薬)でした。[4]

この結果はとても興味深いですね。 

不眠の悩みも多種多様、寝つけないつらさもあれば、十分な時間眠っているはずなのに眠れた気がしないつらさもありますよね。

脳波だけで考えると、なかなか寝つけない人にはGABA、深い眠りを求める人はラフマとなりますが、参加者の自己評価ではラフマの方が寝つきやすくなるし満足度もずっと高い、と評価されているのです。 

この結果からどちらか一方を選ぶなら、評価が高いラフマの方をまず試してみた方がよさそうですよね。

日本のメーカーが競うようにラフマを配合した機能性表示食品の開発に乗り出したのもうなずけます。

 

3. 2018年にも臨床試験

常磐植物化学研究所の研究チームは2018年にも臨床試験を行い、ラフマの睡眠改善効果を確認しています。

この試験では、不眠に悩む17人の健康な男女がラフマ50mg入りの錠剤を8日間飲みました。

試験後に内田クレペリン検査(UK)とOSA睡眠調査票を受けたところ、寝つきやすさ睡眠の維持休息の効果ストレス軽減でプラシーボ(偽薬)を飲んだグループより大きな改善が見られたとのことです。[5] 

ラフマの睡眠改善効果がまぐれではないと分かりますね。

 

4. タマネギエキスとの比較

ラフマの睡眠改善効果は、GABA以外の成分との比較でもユニークさが分かります。

植物由来成分の睡眠改善効果の研究では、タマネギエキスの研究がラフマに言及しました。

この研究は日清製粉グループと日清ファーマの2020年の共同研究で、タマネギの味を生み出すシステインスフォルキシドというアミノ酸の睡眠改善効果に注目しています。

不眠の自覚がある18人の被験者が、期間をおいてタマネギエキス入りの500mg錠剤とプラシーボ(偽薬)のどちらかを5日間ずつ服用して、服用前後の脳波、アンケート回答、だ液中のストレス物質の量を比較しました。

脳波では、タマネギエキスを服用した時には睡眠時間が試験前より12.6分長くなり、プラシーボ(偽薬)を服用した時は20.8分短くなるなど、時間的には改善が見られたそう。

また、ストレスの程度を診断するために、だ液中のアルファアミラーゼの量を測ったところ、タマネギエキスを服用すると試験前より少なくなり、プラシーボ(偽薬)を服用すると増えていたと確認されています。

ただし、アンケートではタマネギエキスを服用しても、睡眠の満足度に大きな改善はありませんでした。

特に脳波測定では、タマネギエキスを摂取しても、ラフマのようにノンレム睡眠が長くなったりレム睡眠が短くなったりするなどの質的改善は見られていません。

論文では、タマネギエキスは「ベンゾジアゼピンのように睡眠の構造は修正しない」と表現しています。

ベンゾジアゼピンは睡眠導入剤としても使われますが、副作用もあるのは周知の通りです。

この試験からは、植物由来のラフマ葉が睡眠の質を安全に変えられることが分かるのです。[6]

  

5.他の睡眠改善成分との比較

2021年の睡眠改善に影響する食事成分の最新レビューでも、2015年のGABAとラフマの臨床試験が取り上げられ、ラフマのユニークさが分かります。 

このレビューではオーストラリアキャンベラ大学の研究グループが6つのデータベースを検索して、20件の臨床試験を選びだし、効果を比較しました。

対象となる成分は炭水化物、タンパク質、タルトチェリージュースなどで、睡眠時間、睡眠の効率、入眠時間、中途覚醒の4項目で評価しています。

ラフマについては「その他の療法」の項の最初に2015年の上記研究を紹介し、GABAとのコンビネーションで入眠時間が4.3分減少していることと、ノンレム睡眠に入るまでの時間が5.3分減少したことに触れました。

この論文でノンレム睡眠増加やレム睡眠短縮について言及しているのはこの1件だけです。

ここからも、ラフマが「睡眠の質」を変えるユニークな成分であることが分かります。[7]

  

まとめ

以上がラフマの睡眠改善効果に関する主要な研究成果です。

GABAなど他の睡眠改善成分との比較から、ラフマがノンレム睡眠を増やし、レム睡眠を減らして睡眠の質を改善する特質が見えてきました。

ラフマの他の効果についても、まだ臨床試験の数は少ないものの研究は日々進展。

睡眠関連では、抗うつと抗不安に関する効果が動物実験で確かめられています。[8][9]

伝統的な用途でも、血圧低下作用が動物実験で確かめられており[10]、新たな効能として、肝臓保護[11]抗がん作用も報告され[12]、研究の進展が期待されているのです。

これはちょっと意外ですが、ラフマエキスを配合した歯みがき粉で歯をみがくと歯肉の「バリア機能」が向上し、歯周ポケットの深さや出血でも改善したという臨床試験もあります。[13]

伝統的な効果だけでなく、様々な健康上の効果も見つかっているラフマ、飲んで損はなさそうですね。

ラフマの安全性については、中国の西北農林科技大学動物医学院によるレビューでは、ラットの場合でも致死量は体重1㎏あたり10g以上で、人間が毎日50mgを3年以上継続服用しても特に副作用はないとのことです。[14]

2018年の臨床試験でも被験者の安全に問題はなかったそうなので、安心ですね。 

睡眠時間はしっかり取っているのに眠れた気がしない方、特にGABAなど他の成分を飲んでも効果が実感できない方にはラフマのサプリがおすすめ。

まずは1日50mgくらいから試してみてはいかがでしょうか。 

 

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