脅威の抗酸化力!緑茶エキスの7つの効果と臨床試験データ

公開日:2023/02/06
更新日:2023/02/28

日本人にとって身近な飲み物である『緑茶』。
緑茶に含まれる緑茶エキス(茶カテキン)には、さまざまな健康効果が認められています。
特にEGCGと呼ばれる成分は非常に優秀です。
今回は臨床データをもとに、EGCGを中心とした緑茶エキスの効果をご紹介します。

  • 記者 WRITERSTERON編集部
    ニュース担当

緑茶エキス(茶カテキン)とは?

緑茶は健康によさそうなイメージがありますよね。

実際その通りで、医学の世界では緑茶に含まれる色々な成分の効果が解明されています。

今日ご紹介する緑茶エキスもその一つで、茶カテキンとも呼ばれるポリフェノールの一種です。

お茶の渋み成分なので、名前は知らなくてもおなじみの成分と言えます。

その中でもEGCG(没食子酸エピガロカテキン)という成分には様々な効果があるとされ、医療や健康増進で活用が進んでいるのです。

どんな効果があるのか、見ていきましょう。

 

緑茶エキスの効果7つ

日本人にとって身近な飲み物である緑茶。

ここからは臨床データを基に、緑茶エキスに秘められた健康効果を7つご紹介します。

 

1.運動パフォーマンス向上

意外に思われるかもしれませんが、緑茶エキスを摂取すると運動パフォーマンスが向上します。

エストレマドゥーラ大学(スペイン)と早稲田大学などの国際研究グループによると、緑茶エキスは抗酸化作用で活性酸素を減らすため、DNAのダメージや脂質の過酸化、炎症などを抑制するとのこと。

よって、以下の効果で運動パフォーマンスが向上すると示唆しています。

  • エネルギーを産み出すミトコンドリアの機能を改善する
  • 酸素をアクティブな筋肉に供給する
  • 酸素吸入を改善して疲労を遅らせる
  • 筋肉痛を緩和する

さらに、運動後に摂取すると酸化ストレスを緩和して回復も早まるそうです。[1]

また、色々な被験者の運動に関する臨床試験もかなり蓄積されています。

例えば2011年には、早稲田大学人間科学部が緑茶エキス572.8mgの効果を検証しました。

健康な男性12人が自転車こぎ運動を週3回60分続けたところ、10週間後には緑茶エキス摂取者の呼吸交換比(RER)が0.844から0.816に改善。

呼吸交換比とは、運動時に吸い込んだ酸素に対する二酸化炭素の比率を指します。

体内の糖質を消費せずに脂質が燃焼するほど呼吸交換比が小さくなるため、緑茶エキスを摂取すると疲労しにくくなると分かりました。[2]

そのほか、2021年にはアングリア・ラスキン大学などイギリスとスペインの大学研究者たちが脂肪燃焼について報告をしています。

こちらの被験者は平均体重77.5kgの肥満男女27人。

9人ずつの3グループに分かれてプラセボ(偽薬)、EGCG400mg入り緑茶エキス、または同じエキスと一緒に抗酸化物質ケルセチンとα-リポ酸を摂取しつつ、有酸素運動をしました。

8週間後に脂肪の燃焼効率(MFO)を比較したところ、プラセボグループは毎分228.1mgから201.1mgに悪化しましたが、緑茶エキスグループは199.0mgから224.4mgに改善。

特に緑茶エキスと抗酸化物質を一緒に摂取したグループは、毎分154.4mgから224.6mgへと50%近い改善を実現しました。

体質改善も同様です。

体重はプラセボ摂取ではたった0.1kgの減少でしたが、緑茶エキス摂取は0.4kg、緑茶エキスと抗酸化物質摂取では0.5kgのダイエットができました。

体脂肪率でも緑茶エキスと抗酸化物質摂取だと36.3%から35.8%へ0.5%も改善、緑茶エキス単独でも33.2%から32.9%と0.3%の改善を実現。

一方、プラセボグループでは32.0%から32.2%に悪化してしまっています。[3]

今までお茶を何となく飲んでいましたが、こんな効果もあったんですね。

 

2.肥満防止

緑茶エキスは運動の有無に関係なく肥満防止に役立ちます。

花王株式会社の研究グループが2018年に臨床試験6件をレビューし、緑茶カテキン(=緑茶エキス)の肥満防止効果を確認しました。

被験者は921人の男女、この内457人が12週間にわたって1日平均563 mgを摂取し、摂取しなかった464人と比較しています。

ちなみに、緑茶カテキン563 mgは緑茶約5杯に含まれる量です。

元々両グループは男女比、平均身長体重、BMIなどほぼ同じでしたが、高カテキングループは総脂肪面積が17.9cm2、内臓脂肪面積が7.2cm2減少し、体重も1.69kg減少ました。

BMI も0.65改善し、ウェストも1.69cm細くなっています。

一方、低カテキングループは体重等の変化はほとんどありませんでしたが、総脂肪面積が4.1cm2、内臓脂肪面積も1.6cm2増えてしまいました。[4]

体重・体型・BMI ではほとんど変化がないのに脂肪はひそかに増えているなんて、こわいですね。

緑茶エキスは長期的に大きな差をもたらしそうです。

 

3.抗がん

中国の湖南農業大学の2020年レビューでは、肥満防止だけでなく抗がん、抗菌効果もあるとしています。

EGCGにはユニークな特性があり、低濃度では抗酸化作用を発揮する反面、高濃度では酸化促進作用を発揮し、どちらも抗がん効果があるとのこと。

抗酸化作用はがんの予防に効果があり、酸化促進作用は活性酸素を発生させてがん細胞の死を引き起こすとされます。

活性酸素は健康に悪い印象がありますが、EGCGは正常細胞よりがん細胞で活性酸素を増やし、その活性酸素はがん細胞に対してより強い毒性を発揮するので良いそうです。[5]

さまざまな臨床試験の中でも、タフツ大学関係者とウィスコンシン大学が2017年に行なった研究が注目に値します。

この試験は、膀胱がん患者31人にEGCG1,200mg、800mg、またはプラセボを2~4週間摂取させ、効果を検証したものです。

試験後、摂取者の血液・尿・細胞からはEGCGが検出されましたが、プラセボ摂取者は試験前と変化はなく、EGCGは検出されていません。

さらにEGCG摂取2グループの細胞組織ではがんを進行させる成分が減り、特に1,200mg摂取した10人は、PCNAがプラセボ摂取者11人の85%、クラステリンが62%まで減っています。

PCNA(増殖細胞核抗原)はがん細胞増殖を促進し、クラステリンと呼ばれるたんぱく質はがん細胞の死を抑制するので、減少するほどがんの進行が遅くなるのです。

こうして緑茶エキス摂取による抗がん作用が確認できました。

なお、日本は欧米に比べて膀胱がんの発生率が低く、日本からアメリカに移住した人は膀胱がん発生率が日本在住者の2倍とのこと。

これも緑茶を飲む習慣と関係があると考えられています。[6]

緑茶エキスは私たちをがんから守ってくれていたのですね。

 

4.抗ウイルス・抗菌

体の免疫

緑茶エキスには抗ウイルス・抗菌効果もあり、かぜなどの感染症予防に有効です。

緑茶に含まれるカテキン、特にEGCGに強い殺菌効果があることは、1991年に昭和大学と三井農林の共同研究で明らかになっています。

マイコプラズマ肺炎と呼ばれる、子どもがかかりやすい肺炎の病原菌を1mlあたり50µg(10万分の5g)のEGCG溶液に浸したところ、即座に殺菌効果を発揮したそうです。[7]

また、2021年には花王の生物科学研究所と静岡大学も共同レビューを行いました。

信頼できる10件の研究(被験者合計3,748人)を検証したところ、緑茶エキスを摂取または緑茶でうがいをすると、かぜなどの発症リスクが低くなっていたとのこと。

特に緑茶エキスを摂取すると発症リスクは32%下がる(緑茶のうがいは17%低下)と報告しています。[8]

「かぜ予防にはお茶が良い」とどこかで聞いた覚えがありますが、科学的根拠があったのですね。

 

5.口臭・歯周病防止

これも何となく感じている人が多いでしょうが、緑茶エキスの歯周病防止効果も科学的に立証されています。

2019年、パラ連邦大学などブラジルの大学研究者たちが15件の臨床試験を厳選レビューし、歯周病の補助薬として緑茶エキスの信頼性を高く評価しました。

臨床試験4件の被験者は歯周病治療(SRP)を受けた患者、合計228人です。

緑茶エキスの使用方法はお茶の摂取、歯磨き粉、歯肉用ジェルなど試験ごとに違います。

しかし、いずれも歯肉や血液中の抗酸化物質増加、炎症抑制、歯肉引き締め、歯垢抑制などの効果が確認されました。

緑茶エキス使用者はこれらの効果によって歯肉炎指数、歯ぐきの出血、歯周ポケットの深さなどでより大きな治療効果を得られたそうです。[9]

 

6.睡眠改善の期待

普通のお茶を飲むと、カフェインのせいで眠れなくなる場合もありますよね。

しかし最近研究者の間では、睡眠改善で緑茶エキスへの期待が高まっています。

2021年、アメリカアリゾナ大学とイギリスノーザンブリア大学が、ロスマリン酸(ポリフェノールの一種)とEGCG を65mg以上含むカプセルの効果を調べました。

EGCG はストレス物質コルチゾールの分泌を抑制するので、抗不安と睡眠改善が期待されて選ばれたそうです。

試験開始30日後、カプセル摂取者43人の睡眠の質スコアは0.96ポイント改善しましたが、プラセボを摂取した46人は0.4ポイントの改善にとどまっています。

カプセル摂取者は不眠重症度(ISI)でも0.95ポイント改善。

一方、プラセボ摂取者は0.96ポイント悪化してしまっています。

2種類の認知機能テストで日中の集中力を調べても、摂取者の成績の方が良好でした。

PVTというテストの反応速度スコアでは、摂取者が5.40から3.76に改善しましたが、プラセボ摂取者は3.50から3.91に悪化。

作業記憶テストでも、カプセルで416.84から663.81に改善したのに対し、プラセボでは440.57から597.22の改善にとどまりました。[10]

すでに緑茶に含まれるテアニンには睡眠改善効果があると知られていますが、EGCGの睡眠効果の解明と活用もこれから進むでしょう。

 

7.妊活に有利?不利?

緑茶エキスは男女の妊活効果でも盛んに研究されていますが、デメリットを示唆する研究もあり、模索中です。

2017年のレビューでは、EGCG濃度が精液内である程度(20µM)高まると抗酸化や抗炎症作用で精子生成を促し、精子の質も向上して精子の死も抑制するとされています。

しかし、濃度が60µMまで高まると酸化を促進して逆効果だったとのこと。

女性妊活でも同様で、ブタの体外受精実験で培養液のEGCG濃度が10mg/mlだと成功率が高まる一方、25mg/mlだと受精が難しくなるそうです。

ただし、高濃度のEGCGは活性酸素を作り出して子宮内膜症や子宮がんを抑制するともいわれており、一概に悪いとは言い切れません。[11]

EGCGは男性の生殖機能保護効果でも期待されています。

中国人民解放軍第四軍医大学が2015年に行なった動物実験では、放射線によって傷ついたマウスに体重1kgあたり50mgのEGCGを摂取させました。

健康なマウスの睾丸重量は平均100mgでしたが、放射線照射を受けたマウスの睾丸重量は21日後には平均60mg弱しかありません。

しかし、EGCG摂取マウスは約90mgを維持。

また、精巣中の精子の数や活発な精子の比率でもEGCG摂取マウスのダメージは限定的でした。

精巣内の過酸化脂質の量を調べると、放射のみマウスが健康マウスの約3倍に増えた一方、EGCGマウスではほとんど増えていません。

こうしてEGCGは抗酸化作用で放射線のダメージから睾丸を守るとわかり、放射線治療を受けた男性の不妊を防ぐ可能性も見えてきたそうです。[12]

濃度次第で精子や卵子に対する効果が変わる一方、生殖機能も守るEGCG。

今後研究者たちは、不妊治療での微妙なさじ加減を見きわめていくと思われます。

 

サプリで緑茶エキスを計画的に摂取しよう

以上、EGCGを中心に緑茶エキスの様々な効果と可能性をご紹介いたしました。

緑茶には何となく健康的なイメージがありますが、やはり健康によいのですね。

ちなみに、EGCGを過剰摂取すると肝臓や腎臓に悪影響があるそうです。

しかし妊娠中または授乳期間など特殊事情がなければ、毎日600mg摂取しても有害な影響はないとされています。

乾燥した茶葉100gに7g程度、緑茶100gには70mg程度入っているそうですから、毎日500mlペットボトルを2本飲み続けても、おそらく問題ないでしょう。[13]

とはいえ、普通のお茶は緑茶エキスの含有量を規定していないため、サプリで計画的に摂取するのがおすすめです。

不眠が嫌な人も、カフェイン抜きの緑茶エキスだけのサプリを使ったほうがいいでしょう。

緑茶エキスの効果を知ってサプリを活用すれば、健康管理もグレードアップできそうですね。

 

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