サフランは睡眠に効果的?7つの研究データから分析

公開日:2023/02/12
更新日:2023/02/15

パエリアなどの米料理で有名な「サフラン」は、近年では睡眠改善に効果的としてさまざまな研究が進んでいます。
一体どんなメカニズムで、睡眠にどのように作用するのでしょうか。
今回はサフランの睡眠への影響を、臨床データに基づいてご紹介します。

  • 記者 WRITERSTERON編集部
    ニュース担当

サフランとは?

よく眠れなくてつらいけれど、睡眠薬への依存や禁断症状はちょっとこわいから天然由来のサプリを検討したい。

今日はそんな皆さんに薬用サフランをご紹介いたします。

サフランは南ヨーロッパ原産のアヤメ科の植物で、イランやスペインが産地として有名です。

スペイン料理のパエリア、インドの米料理などの着色や香りづけにも使われます。

イランの伝統医学では古くから薬草として活用され、現代医学でもうつ病、糖尿病、抗酸化作用、脳の保護、血圧血行改善などの効果が研究されている成分です。

女性の生理不順改善や美肌効果も注目されていますね。

サフランにはそんな様々な効果が期待されていますが、最近では睡眠効果に関する臨床試験もかなり増えてきました。

日本でも、ここ数年で機能性表示食品として11件の届け出があり、そのほとんどは睡眠の質や眠気の改善効果を表示しています。[1]

期待の睡眠成分といえますね。

そこでこの記事では7つの研究データに基づいて、サフランの睡眠改善メカニズムとその効果をご紹介いたします。

 

サフランの睡眠に関する研究データ7個

ではここから研究データに基づいて、サフランの睡眠への効果をご紹介します。

睡眠の質を高めたい方はぜひ参考にしてください。

 

1.不安と不眠の関係

天然成分サフランの睡眠メカニズムは多様な成分が様々に作用します。

そのため、完全に解明されてはいませんが、特にうつや不安との関連が注目されているのです。

2017年のザーボル医科大学などによるイランの臨床試験では、不安と不眠に悩む50人が被験者となりました。

試験前の50人の不安度スコア(SAI)は平均63ポイントでしたが、25人がサフラン300mg入りカプセルを摂取すると、1週間後には25.8となり劇的に改善

一方プラセボ(偽薬)を1週間摂取した25人の平均は56.4で下げどまっています。

睡眠質問票(PSQI) でもサフラン摂取者は劇的に改善。

試験前には軽度の睡眠障害が2人、中程度が14人、 重度が9人でしたが、試験後には16人が睡眠障害なし、残り9人も軽度となり、ほぼ全員が改善しているようですね。

一方、プラセボ摂取者は軽度が2人、中程度が9人、重度が14人でしたが、 試験後には軽度が1人、中程度が8人と微減。

重度の睡眠障害が2人増えて16人となり、全体としては悪化してしまいました。[2]

 

2.不安とうつと不眠の研究

2020年、オーストラリアのマードック大学では不安だけでなく、うつと睡眠の関係も含めた臨床試験が行われました。

同じ研究グループの2019年の臨床試験では、被験者がサフラン28mgを8週間摂取したところ、うつ病の評価尺度(MADRS)で 41%の改善が見られる一方、プラセボ摂取者の改善は21%にとどまっています。[3]

2020年の臨床試験では、さらに睡眠への影響まで検討したわけですね。

被験者は睡眠に問題を感じている18~70歳の男女55人。

28人が28mgを4週間摂取すると、不眠重症度質問表(ISI)スコアが平均15.75から11.74に改善、偽薬を摂取した27人(14.74から13.46に改善)を大きく引き離しました。

心理状態のスコアでは、プラセボ摂取者はうつと不安がどちらも1ポイント程度悪化。

これに対して、サフラン摂取者はうつが平均4.21から4.41に、不安が2.97から3.59に改善しています。[4]

 

3.最新の動物実験

こうしてサフランが摂取者のうつや不安を改善し、睡眠にもよい影響をもたらすらしいと分かりました。

ではどんなメカニズムによって改善しているのでしょうか。

2022年にフランスの国立研究所INRAEとボルドー大学と製薬会社が共同で動物実験を行い、解明に近づいています。

サフラン摂取マウスとプラセボ摂取マウス10匹ずつを対象に、うつ症状比較のため6分間の強制水泳テスト(FST)を、不安症状比較のため明暗テスト(LDT)を行いました。

強制水泳テストで水上に浮いているだけの「無動時間」を比べると、プラセボ摂取マウスの大部分が試験時間の70%以上無動でしたが、サフラン摂取マウスでは、そのような不活発な個体は30%程度

明暗テストでも、サフラン摂取マウスのほうが早く明るい場所に出てきて、明るい場所にとどまる時間も長くなりました。

さらに脳を調べたところ、サフラン摂取によって幸福感を高めるドーパミンの劣化が抑制され、精神の安定に必要なセロトニンの再取り込みが促進されていたそうです。[5]

実はそれまでの臨床試験でも、サフラン摂取でドーパミンがうつを防ぎ、セロトニンが不安を軽減して睡眠改善効果を生み出すのでは、と考えられてきました。

有効成分についても、赤みを出す色素クロシンがドーパミン分泌に、香りの成分サフラナールがセロトニン分泌に影響しているのでは、と目星はついていたようです。[6]

この動物実験のおかげで臨床試験の知見が裏付けられ、サフランの睡眠改善メカニズムの解明がさらに進んだのでしょう。

 

4.入眠時間を短縮

睡眠改善メカニズムは分かりましたので、ここからはサフラン摂取の具体的な睡眠効果を見ていきましょう。

まず、サフランは入眠時間を短縮します。

2018年、九州の健康関連2社と3つの大学が共同研究を行い、クロシン0.6mg配合のサフラン錠剤を毎日2錠、4週間摂取した効果を検証しました。

サフラン摂取者11人の入眠時間スコアは1.20から0.80に改善。

これはプラセボ摂取者10人(1.18から1.00へ)の倍以上の成果です。

睡眠総合スコアでも平均6.90から4.90に改善、プラセボグループ10人(6.27から5.82に改善)に大差をつけました。[7]

マードック大学の臨床試験でも、サフラン摂取者の入眠時間は平均39.38分から29.49分に、10分近く短縮。

一方、プラセボ摂取者は平均32.61分から31.06分となり、ほとんど効果が見られません。

サフランは気分の落ち込みや不安を押さえて穏やかな眠りに導いてくれるようですね。

 

5.睡眠時間も確保

サフランを摂取すると長く眠れるという試験結果も出ています。

九州の臨床試験では、被験者全体の睡眠時間のスコアはサフラン摂取11人は1.40から1.00に改善しましたが、プラセボの10人は1.27から1.36に悪化しました。

特に不眠被験者14人の睡眠時間スコアが興味深いでしょう。

不眠に悩むプラセボ摂取者7人のスコアは 1.29から1.43に悪化している一方で、不眠のサフラン摂取者7人は1.57から1.14に改善していて、一層差がついているのです。

マードック大学の臨床試験でも、サフラン摂取で平均睡眠時間は7.33時間から7.49時間に増え、プラセボ摂取(6.92時間から6.99時間)の倍以上改善しました。

 

6.深い睡眠も可能に

睡眠時間が増えるのはいいことですが、長時間寝たはずなのによく眠れた気がしないケースもありますよね。

その点サフランは睡眠時間だけでなく深い眠りを増やす効果もあるのでおすすめです。

2018年に理研ビタミンなどが共同で臨床試験を行い、クロセチンが深い睡眠をもたらすという結果を報告しています。

クロセチンはサフランの色素クロシンに含まれる分子です。

これを毎日7.5mg、2週間飲み続けると、深い眠りをもたらすデルタ波という脳波が増え、被験者の睡眠への自己評価(OSA-MA)も改善したそう。[8]

マードック大学の臨床試験でも睡眠による回復度を調査したところ、サフラン摂取者のスコアは平均46.73から56.12になり、大幅改善が見られました。

一方、プラセボ摂取者は52.93から54.62に微増という結果に終わっています。

 

7.睡眠の質が高まる

サフランは睡眠データを改善するだけではなく、睡眠の質を高め、日中の生活を改善することも確認されています。

マードック大学の臨床試験では、サフラン摂取者の睡眠の質全般のスコアは2.46から2.99に大幅に改善しました。

一方、プラセボ摂取者は2.78から2.81でほぼ変化がありません。

起床時の目覚めでも、2.77から3.07への改善に対してプラセボ摂取者は3.02から2.92に悪化しており、サフランの優位が明らかです。

2021年にはベルギーのルーヴァン・カトリック大学を中心とする研究グループも、同様の効果を報告しています。

この臨床試験では、慢性不眠症の25~70歳の男女30人がサフラン15.5mg入りカプセルを6週間摂取しました。

睡眠評価アンケート(LSEQ)ではプラセボ摂取の30人とは睡眠の質全般でも差がつきましたが、特に起床後の活動ではスコアが40.0から51.8に改善し、プラセボグループ(39.6から47.7)を引き離しています。

入眠時間や睡眠時間でもサフランの効果が確認され、特に寝つきやすさではプラセボの倍以上にあたる5.1ポイントの改善を示しました。[9]

 

サフランはサプリでの摂取がおすすめ

以上、サフランの睡眠メカニズムと効果をご紹介いたしました。

色素クロシンがドーパミンに、香りの成分サフラナールがセロトニンに働きかけてうつや不安を防ぎ、入眠や睡眠の質を改善できるのですね。

サフランは安全性も申し分ありません。

マシュハド医科大学(イラン)の試験では、ボランティア各10人がサフラン400mg、200mgまたはプラセボを7日間摂取しましたが、400mg摂取者の血圧が下がった以外大きな差は見られず、問題はなかったとのことです。[10]

サフランの致死量(LD50)は体重1kgあたり20.7g[11]とされていますので、サフランだけをドカ食いしない限り死ぬほど摂取する恐れもあり得ません。

摂取方法については、生のサフランやスパイスだと有効成分の含有量にばらつきが出るので、サプリをおすすめします。

なお、イヌサフランという猛毒の植物があり、ごくまれに誤食による死亡事故も起きているので、薬用サフランと混同しないようにしましょう。

イヌサフランは、サフランと名前と見た目だけ似ていますが、中身は全く別種です。

厚生労働省のホームページ「自然毒のリスクプロファイル」によると、イヌサフランは花も葉も球根もコルヒチンという猛毒を持っています。

コルヒチンの最小致死量は体重50kgの人でたったの4.3mgとのこと。

さらに、イヌサフランは園芸植物として入手できてしまうため非常に厄介です。

庭などで栽培していたイヌサフランをギョウジャニンニクなどの野菜と間違えて食べてしまう事故が起きているそうなので、注意してください。[12]

 

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