カモミールに睡眠改善とリラクゼーション効果はある?5つの研究データから検証

公開日:2022/05/04
更新日:2022/05/16

    カモミールとは?

    カモミールは聞いたことがない人はいないというくらい有名ですね。

    特にカモミールティーは世界で最も人気の飲み物のひとつとされています。

    ジャーマン・カモミールとローマン・カモミールの2種類がよく知られており、主にハーブティーになっているのはジャーマン種です。

    ヨーロッパ原産のハーブで、デイジーにも似た小さな白い花を咲かせ、この花を乾燥させたものがカモミールティーになります。

    豊かな香りに、抗炎症作用や抗酸化作用もあることから、昔から癒しの薬として使用されてきました。

    リラクゼーション効果があり、寝る前に飲むと眠りやすくなると言われています。

    確かにとても良い香りでアロマの側面で効果がありそうですが、実際の成分的にはどうなのでしょうか。

    カモミールにまつわる化学的データを検証します。

     

    カモミールにまつわる研究5つ

    それではカモミールに関する実際の研究を5つ紹介します。

     

     1. 催眠効果

    2005年に日本人の研究チームがカモミールの催眠効果の実験を行っています。

    研究では、睡眠障害のあるラットがカモミールエキスを摂取し、睡眠に何らかの変化が起きるかを検証しました[1]

    1組のラットにカモミールエキスを体重(kg)x300mg与え、比較のためにもうひとつの組にはトケイソウエキスを与えました。

    結果、カモミールエキスを摂取したラットは、入眠にかかる時間が明らかに短縮したとのこと。

    トケイソウの方には何も変化が見られませんでした。

    このことから、カモミールは催眠効果のあるハーブと言えるという結論でした。

     

    2. リラクゼーション効果

    カモミールには脳や身体を落ち着かせてくれる効果があるとされています。

    この効果にはカモミールに含まれるアピゲニンというフラボノイドが貢献していると言われています[2]

    アピゲニンは、脳内でGABA受容体複合体にある、ベンゾジアゼピン受容体と結合します。

    するとGABA受容体が活性化され、細胞内にイオンが流入し、神経活動の抑制が起きるのだとか。

    そのため摂取により気分が落ち着き、リラックスすると感じる人が多いのではと言われます。

     

    3. 鎮静効果

    2005年にJournal of Agricultural and Food Chemistryで発表された研究も、カモミールが鎮静剤のような働きをすることを肯定するものでした[3]

    実験では14人の男女にカモミールティーを1日5カップ、2週間続けて飲んでもらいました。

    そして毎日尿検査が行われ、カモミールティー摂取により体内のグリシン値が上昇していることがわかりました。

    グリシンは神経を弛緩する働きや入眠を助ける働きがあり、この上昇がカモミールが鎮静剤として働く要因のひとつであろうとしています。

     

    4.睡眠障害の改善

    カモミールのリラックス効果が、出産後の女性の協力を経て検証されたデータがあります。

    出産後というのはストレスを受けやすく、ホルモンバランスが変化し、不眠に陥る人が少なくありません。

    カモミールでこの症状を和らげることができないか、データが収集されました[4]

    出産後よく眠れていない80人の女性が、ランダムに40人ずつのグループに分けられ、片方のグループはカモミールティーを2週間摂取。

    すると、摂取しなかったグループと比べて睡眠障害の症状に改善が見られたのです。

    また、産後うつ症状にも改善が見られました。

    ですが摂取4週間後に同じデータを調べたところ、摂取ありなしの間で症状の差が無くなっていました。

    よって、カモミールは出産後すぐでは睡眠改善効果ありという結果でした。

     

    5. 抗炎症効果

    カモミールには抗炎症・抗アレルギー作用のある、カマズレンやα-ビサボロール、そして先に述べたアピゲニンが豊富に含まれています[5]

    そのため、カモミールはアトピーや湿疹、乾燥肌などを緩和するとされています。

    また、ネズミを使用した実験でかゆみを軽減する効果も確認されました[6]

    ヒスタミン放出を促す薬による痒みで身体を引っ搔いているネズミに、カモミールを含むエサを11日間与えたところ引っ掻く動作がかなり抑えられたのです。

    その痒み抑制効果はアレルギーの症状を抑える薬のオキサトミドと同等とのこと。

    炎症やかゆみがあってはリラックスするのは難しいので、他の効能に合わせてこの効能もリラクゼーションを促してくれそうです。

     

    まとめ

    カモミールは自然療法として長年使用されてきており、この先も人々から愛され続けるハーブなのは間違いありません。

    睡眠改善効果があると断言するにはさらなる研究が必要ですが、カモミールティーのリラックス効果を体感している人は世界中に大勢います。

    カモミールでアレルギーが出る人は少ないと言われていますが、キク科の植物に敏感な人は反応することがあるようです。

    また、カモミールティーはハーブティーのため、妊婦さんにも安全と思われがちですが、ジャーマンカモミールティーは子宮収縮効果があると言われていますので気を付けましょう。

    まだ試したことがない方は、夜に照明を落とし好きな音楽をかけてカモミールティーの香りとリラックス効果をご自身で検証してみては?

    カモミールを含んだ、心地良い睡眠をサポートしてくれるサプリなども販売されていますので、興味のある方は成分、効能等に目を通してみてもいいかもしれません。

    ※記事の内容は、効能効果または安全性を保証するものではありません。サイトの情報を利用し判断及び行動する場合は、医師や薬剤師等のしかるべき資格を有する専門家にご相談し、ご自身の責任の上で行ってください。

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