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ヒハツの効果効能12個と副作用のリスク
公開日:2019/08/23
更新日:2022/02/09
サプリや香辛料として利用される「ヒハツ」。
一体どんな成分なのでしょうか?
体に良い効果はあるのでしょうか?
ヒハツの効果効能や副作用の危険性を解説します。
Contents [目次を開く]
ヒハツとは
サプリ等の配合成分として活躍するヒハツとは、実はコショウの一種です。英語名ではPiper Longum。ロングペッパーと呼ばれることもあります[1]。
原産国のインドでは古代からスパイスとして活用されてきたのはもちろんのこと、その健康効果から薬用ハーブとしても重宝されています[2]。
現在までに行われてきた数多くの研究から、ヒハツに含まれるピペリンと呼ばれる成分が人間の健康面において様々なメリットを与えてくれる事が判明しています。高血圧の改善や冷え性の改善、栄養素の吸収促進などさまざまな健康メリットがあることが、世界中の大学や研究機関によって確認されています[3]。
ちなみにこのピペリンは黒コショウにも含まれており、コショウを舐めたときに感じるピリッとした辛さはピペリンが舌に触れる事が原因で発生しているとされています[4]。
主な効果効能12個
医療用ハーブや健康促進向けのサプリにも含まれているヒハツ。具体的にはどんな効果効能があるのでしょうか?代表的な12種類の効果を紹介します。
効果1.栄養の吸収率を高める
ヒハツの驚くべき効果の1つ目は、サプリや食べ物から体に取り入れた栄養素の吸収率を高める作用です。これは、ヒハツに多く含まれるピペリンが備えている作用であり、これまでに数多くの実験で確認されています。
例えば、ヒハツと同じようにピペリンを豊富に含む黒コショウを基に開発されたバイオペリンは以下のような栄養素と特に相性が良いと記載があります。
ここに挙げた栄養素以外にもアミノ酸やビタミン類との同時接種でも、吸収率が飛躍的に向上することが確認されています。つまり何かとヒハツを一緒に摂取する事でその成分の効果が強くなるという事です。
ただし、医薬品の吸収率も高めてしまうので、注意が必要。中国のハルビン医科大学が行った実験でピペリンが医薬品の吸収率を6倍にも高めてしまう可能性がある事が判明しました[12]。医薬品に含まれる化学成分には、当然副作用もあるため、常用している薬がある場合には、ヒハツの摂取は控えた方がいいかもしれません。
効果2.男性機能の改善
年齢とともに性機能は低下します。若い頃のような強い性欲がなくなったり、勃起の強さ等も減退します。実際に40代以降は2人に1人がEDになるというデータもあるほどです[13]。
そんな勃起力や精力の衰え対策にもヒハツは注目されています。なぜならヒハツには勃起力を改善する効果のある一酸化窒素の産出を促進する作用が確認されているためです[14]。
ヒハツ以外で一酸化窒素の産出を促す栄養素には、タンパク質を構成するアミノ酸の1つであるアルギニンがあります。ブルガリアの研究機関(Seminological Laboratory SBALAG)が行った実験では、アルギニンを含むサプリメントを3ヶ月間摂取した中度のED男性のうち、92.5%が通常の勃起力を取り戻したと報告しています[15]。
実際にヒハツは精力剤や増大サプリの原料としても用いられています。バイアグラやシアリス等のED治療薬よりも副作用が少なく、体質根本を改善する事が出来るため衰えを感じる中高年男性からも注目される成分です。
効果3.育毛促進作用
「自分が薄毛である」と気になっている人と「薄毛を気にしている」人を合計すると5割に近くなることを知っていますか?
つまり日本人の2人に1人は髪の毛の量を気にしているのです[16]。しかし実際に薄毛対策をしっかりと行っているのはわずか4人に1人のみなのです。そんな面倒くさがりの男性でも、サプリを飲むだけで薄毛対策になると聞くと興味が湧きますね。
そもそも薄毛とは血管は存在するものの、十分な血液が流れていない「ゴースト血管」状態になる事で、酸素や栄養素が運ばれなくなり毛根が死んでしまう事が原因なのです[17]。ゴースト血管を減らして、毛細血管を修復するTie2作用と呼ばれる働きはヒハツ摂取によって活性化するのです[18]。
ヒハツを摂取することによって頭皮に無数に存在する毛細血管の健康状態が改善するため、毛根に栄養素が十分に届けられ、育毛に繋がるとされています。
効果4.血圧の正常化
ヒハツには血圧を健康的に下げる効果が確認されています。これはヒハツ由来のピペリンが血管内で一酸化窒素の働きを強めるためです[19]。一酸化窒素とは血管を拡張し、血液の流れをスムーズにする作用があります[20]。
パキスタンの大学(Federal Urdu University of Arts)がネズミを用いて行った実験では、体重一キロあたり10mgを上限に段階的に与える量を増やし、ピペリンの摂取量と動脈の圧力及び血圧の関連性を調べました。その結果、ピペリンの摂取量が増えるにつれ、血圧も徐々に低下することが判明しました[21]。
担当した研究者も、この作用は血管が拡がったことによる血圧の低下であると予測しています。血圧が高めの方はヒハツサプリを摂取する事を選択肢の一つに入れるのもアリです。
効果5.冷え性改善
女性はもちろんの事、男性でも約一割の人が冷え性に悩んでいます。実はヒハツを摂取することで解消される可能性があるのです。
冷え性はとは血液が体の隅々までスムーズに送られていないために発生する症状です。ヒハツの血流改善効果によって、暖かい血液が指先や足先にも届けられる事で、冷え性は改善されます[22]。
冷凍食品から健康食品までさまざまな食料品を販売しているハウス食品が行った実験では、20名の女性を対象にヒハツエキス150mgを含むお茶を飲んだあと15℃での冷水負荷試験を行い、サーモグラフィを用いて皮膚温度を計測しました。
その結果、ヒハツエキスを摂取した後の方が、温度を素早く回復することが出来、被験者の75%が改善効果を実感したとのことです[23]。冷え性にお悩みの方は、摂取を考えてみるといいかもしれませんね。
効果6.アンチエイジング
美容が性別を超えて一般的になってきていることから注目されているのがエイジングケア。ヒハツにはアンチエイジングの効果も期待することができます。
そもそも老化とは、エネルギー生成などの代謝物であるフリーラジカルが細胞を傷付けることで発生します。ヒハツに含まれるピペリンのように、抗酸化作用のある成分を体に取り入れることでフリーラジカルを取り除いたり、細胞の損傷を防ぐことが出来るのです[24]。
インドにある中央食品技術研究所(Central Food Technological Research Institute)が行った実験では、実際にピペリンのサプリを使うことでフリーラジカルによる細胞損傷を軽減できました[25]。
また同じくインドの大学(Annamalai University)がネズミにフリーラジカルを発生させやすい高脂肪の食事とピペリンを10週間与えた結果、ピペリンを摂取しているネズミのフリーラジカルによる細胞損傷が明らかに少なかったと報告しています[26]。
このようにヒハツに豊富に含まれるピペリンには、見た目年齢に強く影響を及ぼす可能性があるフリーラジカルの働きを抑える効果が確認されています。若々しい見た目を維持するためにも有効な成分なのです。
効果7.抗炎症作用
慢性的な炎症は体にさまざまな悪影響をもたらします。例えば、リウマチや心臓病、ガン、生活習慣病の糖尿病すらも体内で炎症が発生することによって悪化する病気なのです[27][28]。
炎症を予防したり改善するには、抗酸化物質が有効である[29]ため、ヒハツにも抗炎症作用が期待できる言われています。実際にネズミを用いた実験では、ヒハツの主要成分であるピペリンが炎症に有効であることがわかっています。
韓国で行われた実験では、リウマチの症状を抱えているネズミに、体重1キロあたり100mgのピペリンを8日間与え続けたました。その結果、痛みを感じる物質の分泌量が明確に減り、リウマチにより発生する特有の行動の頻度が減少しました[30]。インドのハムダード大学で行われた実験でも、韓国の実験と同様の効果が報告されています[31]。
また喘息や花粉症などの季節的なアレルギーによって生じる鼻腔の炎症に対しても有効である事が確認されています[32][33]。
これまで行われてきた実験の多くは動物を対象としたものなので、人間にも間違いなく効果があるとは断言できません。今後のさらなる調査に期待したいところです。
効果8.脳機能の改善
ヒハツに含まれるピペリンには脳の機能を改善する効果も確認がされています。
例えば高齢者の4人に1人が患っていると言われているアルツハイマー[34]や運動機能に障害が現れるパーキンソン病[35]などの変性の脳機能障害に対して有効であることが示されています[36][37]。
ルーマニアの大学(Alexandru Ioan Cuza University)が行った実験では、ピペリンを豊富に含む黒コショウのエキスをアルツハイマーを患っているネズミに21日間与え続けたところ、記憶力の向上効果が確認されました[38]。
また、アルツハイマーなど脳の病気の原因となることも少なくないアミロイドプラークが血管内の作り上げられる事を予防していると報告する論文も複数発表されています[39][40]。
効果9.血糖値の改善
ピペリンに血糖値を下げる効果も確認されています[41][42]。神戸大学農学部が行った実験では、ヒハツとよく似た栄養構成である黒コショウのエキスをネズミに飲ませた結果、糖を含んだ食事を食べたあとの血糖値の上昇が緩やかになった結果が出ました[43]。
またイタリアの大学(University of Pavia)は86名の肥満気味の男女に8週間ピペリンを含んだサプリメントを摂取させる実験を行いました。その結果、糖尿値をコントロールするために欠かすことができないインスリンへの感応度合いが向上しました。研究チームはこれによって血中の糖を効率的に取り除くことが可能になると結論付けています[44]。
効果10.コレステロールを下げる
肥満や高カロリーの食生活は血中コレステロールが上昇させてしまうリスクがあります。これにより発生リスクが高くなるのが、心臓発作や心疾患などの心臓病です[45][46]。
実はヒハツにはコレステロールを低下させる作用も確認されているのです。
インドの大学(Sri Venkateswara University)がネズミにピペリンを含む黒コショウの抽出液を42日間与えたところ、体重と体脂肪率が減少し、コレステロールも減少していたとのことです[47]。
またピペリンにはコレステロールを抑制する作用があるクルクミンの吸収を高める作用もあります[48]。テキサス大学は、20mgのピペリンをクルクミンと同時に摂取することで20倍もの吸収効率を実現できると発表しています[49]。
効果11.ガン予防
ヒハツに含まれるピペリンには、ガンを予防する作用もあると発表する専門家がたくさん存在します。
例えば、乳がんや前立腺ガン、大腸ガンの細胞はピペリンの作用によって活動を停止する事が化学実験で実証されています[50][51][52]。富山大学の医学部が55種類の自然由来の成分が乳がんに対してどのような作用を持つのか調べた実験では、ペパリンが最も効果がありそうだと結論付けています[53]。
さらにピペリンにはがん細胞が増殖の過程で身につけた薬物への耐性を打ち消す効果があるかもしれないと発表されています[54][55]。
日本人の4人に1人がかかると言われているガンですが[56]、ヒハツによって予防ができる可能性があるのです。しかし、これまでに行われている実験はほとんどが実験室内での化学実験のみ。ヒトに対して本当に効果があるのかはいまだに明確なことはわかっていないので、過度な期待は禁物です。
効果12.痛み止め
ロキソプロフェンなどの化学物質を使うことが多い痛み止めですが、ヒハツにも同様の効果があるかもしれません。
ヒトに対しての実験はこれまで行われておりませんが、ネズミを用いた実験では、ピペリンを与えたネズミは痛みを感じるまでの時間が伸びた事が確認されています。痛み止めや麻酔で有名なモルヒネと同様の効果があったことを報告しています[57]。
パキスタンで行われた実験でも体重1キロあたり5mgのピペリンを摂取したネズミには鎮痛効果が見られたとのことです[58]。この実験では、抗炎症作用も見られていたため、医療用の麻酔薬として使うことができるのではないかと研究者は述べています。
副作用や服用時の注意点
ヒハツは原産国のインドではスパイスとして料理に愛用されるなど、一般的に使用されており、副作用の心配も基本的には低いと言われています。
安全性を確かめる実験では、ネズミに体重一キロあたり3gを90日間与え続けましたが、重篤な副作用は発生しなかったとのことです[59]。
ただしヒハツの摂取を避けた方が良いケースも存在します。ヒハツには母胎に影響を与える可能性があると言われているため、妊婦や授乳中には摂取を避けるべきです。
また、ヒハツは医薬品の吸収率を飛躍的に高めてしまうため、毎日服用している薬がある方は、注意が必要です。特にてんかんや双極性障害の薬であるカルバマゼピン[60]や解熱薬や鎮痛剤に含まれるジクロフェナク[61]は、ヒハツの影響を受けやすいことが実験でわかっています[62]。
重篤な副作用が発生する可能性もあるため、服用している薬がある場合には、ヒハツを摂取する前にかかりつけの医師に一度相談することをおすすめします。
【まとめ】古くから愛用されるメディカルハーブ
カレーやコーヒーに入れて、スパイスとしても楽しめるヒハツは、多くの健康効果が期待できるコショウ科の植物です。
精力の向上や育毛効果、アンチエイジングなど男性が気になるポイントにもしっかりと作用してくれるため、中高年男性は意識的に摂取してみるといいでしょう。
また、栄養素の吸収を高める作用があるため、既にビタミン剤などを飲んでる人にもおすすめ。ただし、医薬品の吸収率も一気に高めてしまう可能性があるため、毎日薬を飲んでいる人は、ヒハツを飲む前に医師への相談が必須です。
※記事の内容は、効能効果または安全性を保証するものではありません。サイトの情報を利用し判断及び行動する場合は、医師や薬剤師等のしかるべき資格を有する専門家にご相談し、ご自身の責任の上で行ってください。
記者 WRITERMASAJI(STERON編集部)
STEORN編集部
「性をロジカルに」をモットーに記事を執筆。これまで感覚的に語られてきた”性”というテーマを学術的・科学的根拠に基づいて伝えていきたい。ティーコンシェルジュの知識を活かし、健康問題の解決に向けたハーブティーのブレンドもこなす。
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