ホウ素(ボロン)はテストステロンブースター?データを基に効果を解説

公開日:2022/06/20
更新日:2022/06/25

ホウ素(ボロン)は、海外ではテストステロンブースターとして注目されています。
しかし日本ではあまり馴染みがなく、テストステロンブースターとしての製品も少ないのが現状です。
今回はホウ素(ボロン)のテストステロンブースターとしての効果やその他の健康上の効果、安全性について臨床データを基に紹介します。

  • 記者 WRITERSTERON編集部
    ニュース担当

テストステロンブースターはテストステロンを効率的に増やし、筋肉増強や男性機能向上に役立つ頼もしい味方。

色々な成分がテストステロンブースターとして登場し、その効果についてよく話題になっています。

しかし、ホウ素(ボロン)はテストステロンブースターとしては日本ではまだあまり知られていないのではないでしょうか。

 

ホウ素(ボロン)とは?

ホウ素(ボロン)は原子記号「B」の元素のレアメタルです。

栄養素としては「ミネラル」に分類されます。

金属のため陶器のうわぐすりや硬質ガラスの製造にも使われますが、実は医薬品などでも幅広く活用されている成分なんですよ。

ホウ素(ボロン)には様々な健康上の効果もあり、日本でもサプリが売られています。

しかし日本のネットショップでは、主に女性のためのホルモンバランス調節やバストアップのサプリとして売られていて、テストステロンブースターとしての評価はめったにありません。

一方、同じサプリの英語のレビューを見ると、男性カスタマーによるテストステロンブースターとしての効果についてのレビューの方がずっと多いのです。

そうなると、ホウ素(ボロン)の男性にとっての効果が気になってしまいますよね。

そこで本記事では、臨床データからホウ素(ボロン)のテストステロンブースターとしての効果やその他の健康上の効果、そして安全性についてご紹介したいと思います。

 

ホウ素(ボロン)とテストステロンに関するデータ4個

ボロンのテストステロンブースターとしての効果については、アメリカシアトル市の研究者による2015年のホウ素(ボロン)に関するレビューと[1]、2021年のイスラエルアリエル大学の研究グループによるテストステロン量に影響する栄養素のレビューがあります。[2]

両方とも4件の臨床試験から評価しているので、試験の内容と結果を見てみましょう。

 

1.閉経後の女性のテストステロン濃度向上

テストステロン

意外に思われるかもしれませんが、ボロンのテストステロンブースターとしての初期の臨床試験は女性を対象としたもののようです。

1987年、アメリカ農務省のグランドフォークス人間栄養研究センターが48~82歳の閉経後の女性12人にボロンを摂取してもらい、効果を調べました。

なお、被験者たちの通常の食事には1日平均0.25mgのボロンが含まれていたと分かっています。 

約4ヶ月間毎日3mgのボロンを摂取した被験者の血液を調べると、テストステロンと17ベータエストラジオールが大幅に増加していました。

テストステロン濃度は、マグネシウム摂取量が少ない女性では0.31 ng/mlから0.83 ng/mlに増加し、マグネシウムを適度に摂取している女性でも0.38 ng/mlから0.65 ng/mlに増加(1ng/mlは1ミリリットルあたり10億分の1グラム)。[3]

17ベータエストラジオールは女性ホルモン(エストロゲン)の一種で、女性らしい身体を作り、不足すると卵巣機能が低下するとのこと。

この結果を見ると、ホウ素(ボロン)は女性の健康と美容によさそうだと思えますよね。

 

2.アスリートには効果なし?

性欲の強いアスリート

しかし1993年にNASAの研究グループによって行われた臨床試験では、否定的な結果が出ました。

この臨床試験では20代の男性ボディービルダー19名を二手に分けて、7週間毎日2.5mgのホウ素(ボロン)またはプラセボ(偽薬)を飲んでもらい、効果を比較。

すると、ホウ素(ボロン)を飲み続けたグループの血液内のホウ素(ボロン)濃度は上昇していましたが、テストステロン濃度、除脂肪体重、筋力測定結果ではプラシーボ(偽薬)を飲んだグループとの差はなかったというのです。[4]

2019年にアイルランド国立大学ダブリン校などの研究グループのレビューも上記研究をふまえ、ホウ素(ボロン)はアスリートに対してはテストステロンブースターとしての効果はないと評価しています。

また、1994~95年の女性アスリートに関する2件の臨床試験では、一方はホウ素(ボロン)の効果を認めたものの、もう一方では効果が認められない、という微妙な結果が出たそうです。[5]

こうして1990年代半ばには、ホウ素(ボロン)のアスリートに対する効果は疑問とされました。

 

3.一般男性には効果あり?

しかし、臨床試験はこれで終わりではありません。

1997年、オーストラリアシドニー大学の研究グループが健康な男性18人を対象に臨床試験を行なったところ、テストステロンブースターとしての効果が認められました。

18人は通常の食事から1日あたり0.35~3.53mgのホウ素(ボロン)を摂取しており、追加で1日10mgを4週間摂取したところ、血液内のテストステロンとエストロゲンが増加。

なお、この研究結果からホウ素(ボロン)には動脈硬化を防ぐ効果があると示唆しています。[6]

 

4.遊離テストステロン(FT)への変換には効果あり

その後ホウ素(ボロン)の研究にはもうひとひねり加わります。

実は、テストステロンは活性化された遊離テストステロン(FT)にならないと、健康上の効果は期待できないとされているのです。

しかし遊離テストステロン(FT)はテストステロン全体のわずか1~2%ほど。

残りのテストステロンは性ホルモン結合グロブリン(SHBG)などのタンパク質と結合して不活性化し、効果を発揮できません。 

そこでこの点について、2011年にイランのバキヤタラ医科大学の研究グループが8人の健康な男性ボランティアにホウ素(ボロン)10mgを7日間摂取してもらい、検証を行いました。

すると、被験者の血液中の遊離テストステロン(FT)濃度が平均11.83pg/mlから15.18pg/mlに増加し、エストラジオール濃度が平均42.33pg/mlから25.81pg/mlに減少していたのです(1pg/mlは1ミリリットルあたり1兆分の1グラム)。

これはエストラジオール濃度が減少したことにより、タンパク質と結合していた不活性のテストステロンが遊離テストステロンに転換されて増加したと考えられています。[7]

以上が現時点でのホウ素(ボロン)のテストステロンブースターとしての臨床データです。

アスリートに対しての効果ははっきりしませんが、一般男女には効果があり、健康上の効果がある遊離テストステロン(FT)を増やす効果はあると考えられます。

効果があるとは言い切れないものの、効果がないと切り捨てるのももったいないですね。

はっきりと結論を出すためには、もっと多くの被験者に対する臨床試験が必要と思われます。

 

ホウ素(ボロン)のその他の効果

ホウ素(ボロン)はテストステロンブースターとしての評価はまだ確定していませんが、他の効果も認められているので、以下簡単にご紹介いたします。

 

1.骨の成長と健康維持

2015年のレビューでは、ボロンを摂取した女性の尿内のカルシウム量が減少したとする試験結果を紹介し、ボロンが体内のカルシウム減少を防ぎ、骨形成不全防止にも有益としています。[8] 

パヴィア大学などイタリアの研究グループによる2020年のレビューも、被験者合計が594人に上る11件の臨床試験結果から、1日3mgのホウ素(ボロン)摂取が骨の健康によい、と結論付けました。[9] 

実は、ホウ素(ボロン)サプリの英語レビューでもひざの痛みや骨の健康についての投稿が一番目立ち、次いでテストステロン増加についての投稿が多い印象です。

 

2.傷の治癒促進

1990年、フランスのブラボワ病院では、組織の喪失を伴う深い傷を追った31人の患者にホウ素(ボロン)3%溶剤を塗布しました。

すると、通常治療では55日の集中治療が必要なところ、集中治療期間が平均20日に短縮

劇的な改善ですね。

ただし、この溶剤は毒性が強いので、慎重な取扱いが必要とのことです。[10]

 

3.ビタミンD不足解消

ビタミンD不足の人が数十日間ホウ素(ボロン)を3~6mg程度服用すると、血液中のビタミンD濃度が20~39%増加したという複数の臨床試験も発表されています。[11]

  

4.抗炎症作用

ホウ素(ボロン)を摂取すると、体内の炎症発生を示す炎症性バイオマーカーが減少することも複数の臨床試験から分かっています。

体内の炎症性バイオマーカーが多いと癌、肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病、脂肪肝、うつ病、心臓病、脳梗塞などのリスクが高いとされているので、適度のホウ素(ボロン)摂取は抗炎症作用があり有益だそうです。[12] 

抗炎症作用だけでも、様々な健康リスクへの対処に役立ちそうで、頼もしいですね。

 

5.脳の活動維持

1998年、アメリカ農務省のグランドフォークス人間栄養研究センターの論文によると、ホウ素(ボロン)が不足すると栄養失調の人と同じように脳の活動が鈍り、知的作業の効率や注意力、記憶力が低下すると複数の臨床試験から明らかになっています。[13] 

ホウ素(ボロン)は身体だけでなく頭脳にも必要な成分なのです。

 

6.抗がん作用

複数の臨床試験から、ホウ素(ボロン)を多く含む食事や療法が前立腺がん、乳がん、子宮頸がん、肺がんのリスク低下や治療にも効果があるとされています。[14]

このようにホウ素(ボロン)には様々な健康上の役割や効果があると認められているのです。

 

ホウ素(ボロン)は安全?副作用はない?

このようにホウ素(ボロン)は様々な効果があるミネラルですが、安全性は大丈夫でしょうか?

内閣府の食品安全委員会ホームページでは、ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)の健康影響評価を紹介しています。

記事によると、欧州食品安全機構(EFSA)は許容上限摂取量(UL)を成人10mg/日と設定しており、多量に補給した場合には健康リスクを排除できないとのことです。[15]

ただしアメリカ国立衛生研究所(NIH)はもう少し楽観的で、世界保健機関(WHO)に従って1日1~13mgが成人の適正摂取量としています。

1回の摂取量上限は、アメリカ科学アカデミー医学研究所食品栄養委員会(FNB)の知見から成人は20mg、0歳児は母乳や食事以外から摂取すべきでない、とのこと。

ホウ素(ボロン)はプルーンジュース(1杯あたり1.43mg)を筆頭にアボカド、レーズン、桃、ブドウなどに多く含まれているそうですが、成人の通常の食事からの摂取量は1日1~1.5mg。

したがって、過剰摂取する恐れはまずないでしょう。

また、ホウ素(ボロン)の致死量は成人で15,000~20,000mgだそうなので、死ぬほど摂取してしまう可能性も極めて低いと思われます。

ただし、洗剤や農薬の誤飲などで過剰摂取してしまった場合、吐き気、腹痛、おう吐、下痢などを起こすリスクがあるので注意が必要です。[16]

 

まとめ

以上、ホウ素(ボロン)のテストステロンブースターとしての効果、その他の効果、安全性について見てきました。

ホウ素(ボロン)は日本ではメジャーな成分ではありませんが、海外ではテストステロンブースターや骨を強化するサプリとして注目され販売されています。

しかし臨床試験の数はまだ少なく、アスリートに対する効果は今のところ未確認なので、イチオシとは言えませんね。

まずはもっと知られていて、より効果が期待できそうなテストステロンブースターを試してみた方が無難でしょう。

日本で人気のテストステロンブースターは、こちらで確認できます。

【テストステロンブースターランキング】正しい選び方とおすすめサプリ7選

定番のテストステロンブースターを検討した上で、それでもホウ素(ボロン)を試してみたい方、様々な健康上の効果が気になる方は、1日3~6mgを目安にサプリを試してみてはいかがでしょうか。

 

※記事の内容は、効能効果または安全性を保証するものではありません。サイトの情報を利用し判断及び行動する場合は、医師や薬剤師等のしかるべき資格を有する専門家にご相談し、ご自身の責任の上で行ってください。

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