EAAの筋トレに関連する7つの効果とは?BCAAとどう違う?

公開日:2022/02/10
更新日:2022/02/27

    EAAとは?

    私たちの身体は20種類のアミノ酸で構成されています。

    そのうち11のアミノ酸は私たちの体内で合成することができるため、非必須アミノ酸と呼ばれています。

    ですが残り9つは体内で合成することができない、または合成が難しいため、必須アミノ酸と呼ばれます。

    EAAとはこの必須アミノ酸、つまり食品から摂取するしかない9つのアミノ酸のことです。

    英語のEssential(不可欠な) Amino Acids(アミノ酸)を省略したものです。

    20種類のアミノ酸のうち、ひとつでも不足すると、タンパク質合成や血液、ホルモンなど、身体の機能に支障が出てきます。

    そのため、全てのアミノ酸、特に体内で合成できないアミノ酸は常に気を付けて摂取していなければなりません。

    必須アミノ酸の役割を個別に見てみましょう。

     

    1.バリン

    バリンは、ロイシンとイソロイシンとセットでBCAA(分岐鎖アミノ酸)と呼ばれていますね。

    バリンは成長に深く関わっているアミノ酸で、特に筋肉を作る上で重要な役割を果たしています。

     

    2.ロイシン

    ロイシンも成長に必要なアミノ酸です。

    タンパク質の生成や分解を調節し、筋肉の維持に貢献しています。

     

    3.イソロイシン

    こちらも筋肉生成に不可欠なアミノ酸です。

    ヘモグロビン(血液中の酸素を運搬するタンパク質)の形成にも関わっています。

     

    4.リジン

    ブドウ糖がエネルギーに変わるのを助け、疲労回復や集中力を高める効果があります。

    成長ホルモンの分泌を促し、カルシウムの吸収にも関わっています。

    肝機能の補助もしてくれています。

    リジンはメチオニンと共に制限アミノ酸(必要量に対して充足率が低くなりがちなアミノ酸)とされています。

     

    5.ヒスチジン

    抗酸化作用や関節炎を緩和する働きがあります。

    また、身体が脂肪を燃やすのを促進するためダイエット効果が見込まれています。

    ヒスチジンはヒスタミンの原料となるので、喘息やアトピーのある人は取りすぎに気を付けましょう。

     

    6.メチオニン

    メチオニンは、免疫力に影響するグルタチオンの生成に関与しています。

    メチオニンは、コレステロール分解を促進し血中コレステロール値をコントロールしてくれます。

    肝機能を高める効果やアレルギーを抑える効果もあります。

     

    7.トレオニン(スレオニン)

    Threonineと書くことからスレオニンと呼ばれてもいますが、どちらも同じアミノ酸です。

    トレオニンは新陳代謝を促して成長を促進したり、肝臓に脂肪が蓄積するのを抑制する効果があります。

    また、コラーゲン合成の材料として使用されるため、美肌効果があります。

     

    8.フェニルアラニン

    脳と神経細胞との信号伝達の役割があり、脳が正しく機能するのを助けます。

    ノルアドレナリンやドーパミンなど神経伝達物質の生成にも貢献しているため、うつ改善効果があるとされています。

    また痛みを和らげる効果もあります。

     

    9.トリプトファン

    トリプトファンはセロトニンの原料となり、精神を落ち着かせてくれます。

    そのため睡眠の質を上げる効果もあります。

    また活性酸素を取り除く働きがあるので、アンチエイジング効果も期待されています。

     

    EAAとBCAAの違いや飲み分け方

    EAAもBCAAも必須アミノ酸のサプリという点では同じです。

    違いは先に述べたように、EAAは必須アミノ酸全9種類、BCAAはそのうちの3種類を厳選して配合されている点です。

    それだけ聞くと、EAAを取ればBCAAもカバーできるじゃんと思いますね。

    しかし、どちらも販売されているのには理由があるのです。

    まず、BCAAがバリン、ロイシン、イソロイシンの3種類である理由は、筋肉の発達という点に絞るとこの3つが最も効果があるアミノ酸だからです。

    筋トレと共に摂取することで筋肉増強効果が期待できます。

    ですが、それには「20種類のアミノ酸をすべてきちんと摂取できている」という前提が付きます。

    どれかが不十分だと全てに影響が出てしまうからです。

    例えば、他の8種類が十分に取れていても、1種類のレベルが低いと、タンパク生成はこの1番低いアミノ酸に足を引っ張られてしまうのです。

    つまり、普段の食事で十分にアミノ酸全種をバランス良く摂取できている人は、BCAAを摂取することでさらなる筋肉成長が見込めます。

    比べて普段の食生活が偏りがちな人や、最初に紹介した食品を十分に取れていない人は必須アミノ酸が不足している可能性があります。

    そうなるといくらバリン、ロイシン、イソロイシンを高めたところで、不足しているアミノ酸が障害となりタンパク質生成ができないため、BCAAを摂取しても期待する効果は得られません。

    言うなればEAAは基礎、BCAAはそれをカバーした後に、さらにブーストが欲しい人向けということになります。

    ボディビルダーなどは普段の食事で十分に必須アミノ酸を摂れているため、BCAAを活用しますね。

     

    EAAの筋トレに関する7つの効果

    EAAには非常に多くの働きがありますが、いくつか絞って見てみましょう。

     

    1.筋肉の合成に欠かせない

     

    骨格筋は人体で最も大きな器官です。

    そして私たちはいつも筋肉を使い、体内で日々筋肉分解が起きています。

    筋トレや肉体労働をする人ならなおさらです。

    筋タンパク質は筋肉分解によって失われた筋肉を補うために、常に合成を行っています。

    他のアミノ酸の中でも、バリン、ロイシン、イソロイシンはこの筋肉補填になくてはならないアミノ酸です。

    また、体内の筋原繊維の合成や、筋形質、ミトコンドリアタンパク質はEAAによりコントロールされています。

    そのためEAAは、ホルモンとともに筋肉の合成、補填に大きく関わっており、筋肉増強に欠かすことはできません。(参照

    全ての人、特に身体を動かす人は積極的に取り入れる必要があります。

     

    2.筋肉疲労を軽減してくれる

     

    アミノ酸は筋肉の中で起こる変化に対応し、修復のために奔走してくれます。

    そのため十分なアミノ酸が体内にあれば、筋肉を使用した後すぐ回復のために動いてくれるのです。

    2017年の研究のある実験には16人の筋トレに精通している人たちが参加しました。

    彼らは日頃からハイパートロフィートレーニングをしていました。

    半数が体重x0.087gのバリン、ロイシン、イソロイシンを摂取、残りの半数がプラセボを摂取しました。

    実験中は結果を明らかにするために、全員同じ食事を取っています。

    そして10回のスクワットを6セット行いました。

    24時間後の測定で、筋肉強度がプラセボが87%、アミノ酸摂取グループが92%と出ました。(数値が低いほうが疲労しています)

    また筋肉痛評価がプラセボグループは685%としたのに対し、アミノ酸摂取グループは531%でした。(高いほど痛い)

    そして48時間後の評価はプラセボ468%、アミノ酸摂取グループは350%でした。

    必須アミノ酸摂取は筋肉疲労を軽減し、筋肉痛を軽くしてくれたのです。(参照

     

    3.脂肪量を減らし太りにくい身体に

     

    必須アミノ酸、特にバリン、ロイシン、イソロイシンは筋トレと共に摂取すると体脂肪率を減らすという研究結果も出ています。

    この研究は36人の、過去2年間トレーニングをしている男性を対象に行われました。

    彼らの平均年齢は25.5歳、平均身長177.7㎝、平均体重85.2kgで平均体脂肪率は9.3%でした。

    彼らは3つのグループに分けられ、最初の12人はバリン、ロイシン、イソロイシンを合計で14g摂取しました。

    次の12人は28gのホエイプロテイン、そして残りの12人は28gの炭水化物をスポーツドリンクから摂取しました。

    彼らはこれらを摂取しながらトレーニングを8週間続けました。

    期間の終わり、他の2つのグループは平均1kg体重が増えたのに対し、必須アミノ酸を摂取した人たちの体重は平均2kg増えました。

    また、このグループの除脂肪体重(脂肪分を引いた体重)は平均4kg増加し、体脂肪率も2%減少しました。

    プロテインのグループでは徐脂肪体重は平均2kg、スポーツドリンクのグループは平均1kg増加し、体脂肪率はどちらのグループも必須アミノ酸グループの半分の1%減でした。(参照

    脂肪を減らす効果としては、どちらとも言えないという研究結果もあるようで、これからさらなる研究が求められています。

    ですがこの、日頃トレーニングしている人のグループでは顕著な差が認められました。

     

    4.トレーニング中の疲労感を抑える

     

     バリン、ロイシン、イソロイシンには、強度の高い運動の辛さを軽減してくれる効果もあります。

    トレーニングが激しいほど、筋肉にダメージが起き、エネルギーも消耗されます。

    アミノ酸を消費し続けると、必要な量を下回り、身体の活動維持に支障が出てきます。

    特にトレーニング等で激しく消耗すると分かっている場合、それを踏まえて十分なアミノ酸を摂取しておけば、ゲージを満杯にしておけます。

    また、リジンは脂肪酸をミトコンドリアに取り込むのを促進し、エネルギー生産を促進するとされています。そのためトレーニング中もエネルギーに余裕を持つ助けとなれます。

    2018年、EAAの摂取がどう運動する人たちに影響するか調査が行われました。

    対象者は平均年齢27歳、平均身長と体重が176㎝と72.5kgの成人男性20名でした。

    片方のグループは体重x0.15gのEAA ミックスを飲み、もう片方は代わりにプラセボを飲みました。

    参加者は飲んで2時間後、全員レジスタンス運動を行いました。

     

    運動後、プラセボグループのMCV(筋肉強度を測るのに使用される数値)は低下したのに対し、EAAのグループにはあまり変化が見られませんでした。

    また血中乳酸はどちらのグループでも上昇しましたが、EAAのグループではプラセボグループほどの上昇は見られませんでした。 (参照

    普段トレーニングをしてきている人では、コンディションが良い時は血中乳酸濃度が少し低くなり、逆に良くない時には少し高くなるとされています。(乳酸を生かしたスポーツトレーニング/八田 秀雄 著より)

    EAA を摂取したグループでは筋肉の力を発揮させる能力の低下が抑えられたのです。

    トレーニングをする人はもちろん、普段の生活でちょっと忙しいとすぐ疲れるという人もEAA 摂取により疲れにくい身体になれるかもしれません。

     

    5.アンチエイジング効果

     

    トレオニンは、コラーゲンやエラスチン合成に欠かせないグリシンとセリンの合成を助けます。(参照

    コラーゲンは、グリシンが構成要素の33%を占めています。

    その新陳代謝を促す効果とあいまって、スキンケア商品に使われているアミノ酸です。

    また、骨や歯のエナメルを作るのにも貢献しています。

    リジンが不足すると起こる症状の中に、抜け毛があります。

    そのため、MedicalNewsTodayの育毛に効果のある栄養素として挙げられています。(参照

    またメチオニンは、身体の抗酸化作用を高めると言われています。

    メチオニンは硫黄を含み、肌の調子や弾力性を上げてくれます。

    また組織再生を助け、髪や爪を強く健康にしてくれる働きもあります。(参照

    EAAは筋肉だけでなく、骨や皮膚、髪などの再生や、抗酸化作用を促す働きもあります。

    バランスよく全て摂取することで、中身だけでなく見た目のアンチエイジング効果も期待できそうです。

     

    6.気分と睡眠の質を改善

     

    スマホやオンラインゲームの台頭により睡眠障害を抱える人が増え、それと共に解決策としてセロトニンが有名になりました。

    セロトニンは幸せホルモンと呼ばれ、分泌により精神が安定しリラックスできます。

    ストレス緩和の効果もあります。

    このストレス社会に必要なセロトニン、材料のトリプトファンが無ければ生成できません。

    そのためトリプトファンが不足するとセロトニン不足となり、気分が落ち込んだり睡眠障害が起きたりしてしまうのです。

    トリプトファンについては、11の厳選された研究レビューが、2020年に発表されました。

    レビュー結果によると、1日0.14~3gのトリプトファンを摂取した人としなかった人では気分の明るさに大きな差が見られたそうです。(参照

    トリプトファンを十分に摂取することで、気分が良くなり、夜睡眠に入って行きやすくなります。

    仕事に付き合い、SNSに運動に筋トレと忙しい現代人には欠かせないアミノ酸です。

    あまり摂取量が多いと筋トレに燃える熱い気持ちが、ほっこりまどろんだ気持ちに変えられてしまう可能性があります。

    ですが筋トレ用のEAAではそれを踏まえて適量にしてくれているものが多いので心配はないかと思います。

     

    7.脳機能改善

    フェニルアラニンは体内でチロシンに変換され、そこから神経伝達物質や副腎ホルモンのドーパミンやノルアドレナリン、アドレナリンなどになっていきます。(参照

    そのため、フェニルアラニンは精神面の健康や認知面に大きく関わっているとされています。

    また、必須アミノ酸の内7種類(ロイシン、フェニルアラニン、リジン、イソロイシン、ヒスチジン、バリン、トリプトファン)の投与により、加齢に伴う認知機能の低下が抑えられるという実験結果が出ています。

    この研究は日本で行われたもので、Science Advancesで2021年に世界に発表されました。

    実験では、高齢のマウスに低タンパク質の食事を与えたところ、記憶力、学習能力ともに低下が見られました。

    ですが、マウスがその後この必須アミノ酸7種ブレンドを摂取すると、神経伝達物質の量が回復したのです。

    記憶力、学習力共に、タンパク質が多い食事をしているマウスと同等にまで回復しました。

    またこの必須アミノ酸ブレンドを、脳萎縮を起こすタイプの認知症モデルマウスに与える実験も行われました。

    朝と夜の1日2回、約3か月間与えた後、脳のMRIが撮られました。

    すると、認知機能の低下に関与するとされる、神経細胞死により引き起こされる脳の萎縮が

    抑えられていることがわかりました。(参照

    人は誰でも加齢とともに認知力が低下していきます。

    必須アミノ酸を摂取することで、認知症が改善する可能性が示唆されたことは、多くの人に希望を与えました。

     

    EAAは筋トレ初心者なら注目すべき成分!

    人の身体は無数の構造があり、無数の機能をもって生命が維持されています。

    アミノ酸は実に様々な局面で身体を健康に保つよう活躍してくれています。

    身体にセンサーがあって、どれが不足しているか教えてくれたらいいのにと思いますが、身体はすでに私たちが与える食事、睡眠、生活習慣の中でがんばってくれているのでそんな無理は言えません。

    常に言われていることですが、どれが不足しているか分からないからこそ、バランスの良い食事を取るようにと常に言われているのです。

    現代人として生活していると、バランスの良い食事は口で言うほど簡単ではありません。

    そのため、できる範囲で最初に述べた食品を摂取しつつ、どうしても忙しい時やトレーニングをする時などは、サプリの力を借りるのも必要かもしれません。

     EAAサプリは消化吸収がとても早く、一気に摂取すると腸内濃度が上がります。

    それを下げようと腸が他から水分を運んでくるため、1度にたくさん摂取すると人によっては下痢を引き起こす事があるようです。

    そのため多めに摂取する時は、何度かに分けて摂取するよう薦められています。

    また量の多さよりも、全てをバランスよく摂取できているかが重要になってきます。

    取れば取るほど効果が上がるというわけではありません。

    アミノ酸によってはあまり取りすぎると副作用が出ることがあります。

    適切な摂取量は、年齢や体重、日頃のトレーニングの量によっても変わってきます。

    ですから製品に記載された推奨量を守るようにしましょう。

     

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