テストステロンが豊富な男性ほど攻撃的で問題を起こしやすいの?

公開日:2022/02/13

攻撃的な男性

モテホルモンなど男性の魅力を高める物質として知られているテストステロン。
男性にとって良い物という認識がされていますが、実は攻撃性が高くなるリスクなどを示唆する専門家もいるそうです。
今回はテストステロンと攻撃性に関する実験データを調査してみました。

  • 記者 WRITER
    Darchan

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    テストステロンは男性らしさにとって重要なホルモンですが、意外とやっかいなホルモンでもあると考えられている事はご存知ですか?

    2021年8月、モントリオール経営大学院(HEC)のネポムセーノ氏とステンストローム氏が、テストステロンと問題行動の関係に関する研究を発表しました。

    それによると、体内のテストステロン濃度が高い男性は、男性同士の競争で問題行動を取ろうとする傾向が強いとのこと。

    そして、問題行動は怒りの感情と関係があることも分かったそうです。

    テストステロン

    テストステロンという男性ホルモンは、

    • 胎児の男性器を形作る
    • 陰毛、声変わり、ペニスの発育など思春期に男性の体を変化させる
    • 筋肉や骨格の成長を促進し、男性らしい体格を作る
    • 性欲や性衝動を高め、ペニスをボッキさせる
    • 大脳に作用して気力・やる気を高める

    など、男性らしさにとって不可欠です。

    しかし、以前から研究者たちは男性の攻撃性や犯罪性を高めるデメリットがあることも指摘していました。

    男性に不可欠なのに攻撃性や犯罪性も高めてしまうテストステロン。

    攻撃的な男性

    しかしさらにやっかいなことに、テストステロンは不足しても男性の心身に悪影響を及ぼすことが分かっています。

    テストステロンは20代をピークとして加齢によって減少し、ストレスによってコルチゾールというホルモンが体内で生成されるとさらに減少するとされています。

    テストステロンが減少すると、

    • 性欲が減退しボッキしにくくなる
    • 筋力が衰え、脂肪が増加する
    • 疲れが取れにくくなる
    • やる気や集中力、記憶力が衰える
    • 不眠、イライラ、精神的な落ち込み
    • 耳鳴り、めまい、動悸、息切れ

    など、心身にさまざまな悪影響が生じることがあるそうです。

     

    多くても少なくてもやっかいなテストステロンですが、今回の研究からはテストステロンとうまくつきあう方法も見えてきていますので内容をご紹介します。

    ネポムセーノ氏とステンストローム氏は、だ液のサンプルを参加者(男子大学生83人、女子大生91人)から採取して血中テストステロン基準値を測定した後、二種類の質問票に回答してもらいました。

     

    一つの質問票では、最後に洗濯した時について記述するよう要求しました。

    もう一つの質問票では、異性にロマンチックな感情を抱いたが、その異性が別の人に好かれていた時の気持ちについて記述するよう要求しました。

    そういう経験のない人には、そのような状況が起こった時にどう感じるかの記述を要求したそうです。

     

    その後、参加者に問題行動を取る意志についての質問票に回答してもらったそうです。

    その質問票には「所得税申告で、疑問のある控除を申告するか」「既婚者と不倫するか」といった倫理的に問題がある行動を行う意志についての質問がありました。

     

    すると、三角関係について回答した男性ではテストステロン濃度が濃いほど問題行動を起こそうとする傾向が判明しました。洗濯について回答した男女も、三角関係について回答した女性も、テストステロン濃度と問題行動の相関関係はなかったとのこと。

     

    さらに、実験ではテキスト分析プログラムを使って参加者の記述回答の感情的内容を分析しました。

    すると、男性ではテストステロン濃度が濃い人ほど怒りに関する単語の使用頻度が高いが、女性ではそのような関係は見られませんでした。

    口論する男女

    さらに、三角関係に回答した男性だけに、怒りに関する単語の使用と問題行動の意志の間に相関関係が見られたそうです。

    ネポムセーノ氏によれば、三角関係と問題行動の間にあるのは「怒り」の感情だそうです。

     

    「テストステロン値が高い男性が他の参加者より怒り、問題行動を取ろうとしました」

    「過去の研究から、テストステロンが地位を求める意志と関連があることが分かっています……女性をひきつけようと他の男性と競っているとき、テストステロン値が高い男性は怒りを感じ、非倫理的な方法で地位を得て女性をひきつける可能性を高めようとしているのです」

     

    ネポムセーノ氏とステンストローム氏は、この研究で人間の行動を説明する上で、「認識や文化の影響力」だけでなく、生物学的存在である「人間の生理的特徴」にも注目すべきだと言いたいようです。

    アンガーマネジメント

    この研究は、男性とテストステロンとのつきあい方について考える上でも役に立つ内容です。

    テストステロン濃度と問題行動の間に怒りの感情があるのなら、怒りをコントロールすればよいということですよね。

    つまり、テストステロン濃度の高い男性は、アンガーマネジメントや精神修養などで感情のコントロールを心がければ、心身の健康と前向きな生活を両立できることになります。

    なお、テストステロンが不足しても、気分が落ち込むだけでなく、怒りっぽくなるので、精神的健康のためにも適度なレベルのテストステロンを維持した方がよさそうです。

    ちなみにテストステロンを増やす方法には

    • 筋トレで筋肉を刺激する
    • 食事で玉ねぎに含まれるアリインというたんぱく質や亜鉛を摂取
    • 十分な睡眠など規則正しく健康な生活
    • 趣味や友人との外出など社会的な活動

    などがあるそうです。

    適度なテストステロンと、感情をコントロールする知恵が男性の心身ともに健康な人生のカギと思われます。

     

    参考記事:https://www.psypost.org/2021/12/testosterone-levels-in-men-linked-to-unethical-behavioral-intentions-in-response-to-intrasexual-competition-62242

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    • 記者 WRITERDarchan

      好奇心旺盛で、硬軟とりまぜ色々なコトの真相を知りたいライター。昔は会社の同僚に誘われてたまにハーフマラソンに参加していたが、最近は食べる専門。おなかの脂肪が気になりだしたので、また運動するつもり。

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