ニンニクの最強成分?Sアリルシステインの研究データに基づく効果7個

公開日:2023/02/28
更新日:2023/04/12

からだに良い食材として注目されている熟成ニンニク(黒ニンニク)。
中でもSアリルシステインと呼ばれる成分に期待が集まっています。
では、実際Sアリルシステインにはどのような効果があるのでしょうか。
今回はSアリルシステインがもたらす健康効果について、研究データをもとに7つご紹介します。

  • 記者 WRITERSTERON編集部
    ニュース担当

Sアリルシステインとは?

最近日本でSアリルシステイン(SAC)という、熟成ニンニクに含まれる成分の研究と活用が進んでいます。

「機能性表示食品の届出情報」を「アリルシステイン」で検索すると、2015年以降7件の届け出が見つかり[1]、2021年には研究者と健康食品メーカーが研究会を設立するほど期待が高まっているのです。[2]

なぜそこまで期待されるのでしょうか?

熟成ニンニクエキスの様々な効果が、Sアリルシステインの抗酸化作用のおかげだとわかってきたからです。

では、一体どんな効果が期待できるのか、研究データをもとに見ていきたいと思います。

 

Sアリルシステインの効果7つ

ではここからSアリルシステインがもたらす効果を7つご紹介します。

ニンニクは強烈なにおいのせいか、摂取を避ける方が多い食材です。

しかし、今からご紹介する健康効果を見れば、積極的に食べたくなるかもしれませんよ!

 

1.がんの予防と抑制

Sアリルシステインの効果でまず注目すべきは、日本人の死因トップであるがんの予防と抑制です。

1990年、アメリカ国立がん研究所(NCI)はがん予防に役立つ「植物性食品成分」を調査して「デザイナーフーズプログラム」を発表し、ニンニクをその頂点に位置づけています。[3]

その後も様々ながんに対するニンニクエキスの効果が報告される一方、Sアリルシステインが有効成分と特定する研究も増えてきました。

例えば、2006年には香港大学の研究グループが前立腺がん細胞の成長抑制を報告しています。

この実験では、濃度5.40mmol/lの培養液でPC-3と呼ばれるタイプのがん細胞の成長が90%阻害され、周囲への侵食(浸潤)も40%以下に抑えることに成功しました。[4]

ヤギェウォ大学(ポーランド)も、2020年に乳がん抑制効果を報告しています。

こちらはMCF-7と呼ばれる乳がん細胞を濃度2.245mmol/lの培養液に浸すと、MPSTというたんぱく質の発生が抑制され、48時間後のがん細胞生存率は80%に低下したとのことです。[5]

他にも様々ながんに効果があると示唆する研究があるので、がん予防において欠かせない成分といってよいでしょう。

 

2.疲労軽減

熟成ニンニクの疲労軽減効果は海外でも昔から知られていますが、最近の日本ではピンポイントでSアリルシステインの効果の検証が進んでいます。

2017年、株式会社桃屋の研究者が女子栄養大学などの協力を得て、Sアリルシステインを1mg含有する食品の疲労軽減効果を検証しました。

健康な被験者49人のうち、4週間プラセボ(偽薬)を摂取し続けた人たちの主観的疲労度(VAS)は平均36.9から52.5に悪化した一方、Sアリルシステイン摂取者では40.5となり試験前の40.8から悪化していません。

内田クレペリン検査(UKP)の成績も向上し、覚醒感やリラックス感の低下抑制、ストレスの上昇抑制、集中力上昇などの効果まであったそうです。[6]

日本の機能性表示食品では、Sアリルシステイン使用製品7件のうち6件が疲労軽減効果を表示しており、メーカーの期待の大きさが窺えます。

 

3.睡眠の質向上

桃屋と女子栄養大学の研究グループは、Sアリルシステインによる睡眠の質向上も検証しています。

2019年の臨床試験では、18~65歳の健康な29人を対象にSアリルシステインを1.4mg含有する食品の効果を調べました。

12週間後にはOSAという睡眠スコアの起床時眠気、入眠と睡眠維持、疲労回復、睡眠時間の4項目が大きく改善し、総合点も15点以上改善しています。

一方プラセボ摂取では起床時眠気と疲労回復はほとんど変化がなく、入眠・睡眠維持と睡眠時間が悪化し、総合点が3点以上悪化してしまいました。

主観的疲労度もVASで評価したところ、プラセボ摂取ではほとんど変化がありませんでしたが、Sアリルシステイン摂取では大幅に改善しています。[7]

この結果を踏まえて、睡眠の質を向上し疲労を軽減する機能性表示食品も届出されました。

 

4.血圧の管理

熟成ニンニクは心臓や血管の病気に対する効果もかなり研究されていますが、最近はSアリルシステインの効果を特定しようとする研究も出てきました。

2022年、ルビーラ・イ・ビルジーリ大学などスペインの大学と医師の研究グループが臨床試験を行ない、熟成ニンニク錠剤250mgの効果を検証しています。

この錠剤はSアリルシステインを1.25mg含有するように規格化されたものです。

高コレステロール血症患者67人がこの錠剤とプラセボを6週間ずつ、3週間の休薬期間をおいて摂取したところ、熟成ニンニク錠剤摂取の時はプラセボ摂取時より最高血圧が平均1.51mmHg、最低血圧が3.623mmHg低くなりました。

特に男性被験者32人の最低血圧は平均5.85mmHgの差がついています。

40歳以上の中高年は、最低血圧が10mmHg高くなるごとに死亡リスクが倍になり、逆に5mmHg下がると脳梗塞での死亡リスクが40%、心臓や血管の病気による死亡リスクが30%下がるとのこと。[8]

こうしてSアリルシステインの効果が侮れないと確認されました。

 

5.肝臓の保護

Sアリルシステインは肝臓の保護にも効果的です。

今まで動物実験の報告が主だった中、2017年に九州大学と近畿大学が人間を対象とした臨床試験での結果を報告しています。

この試験では、被験者たちはSアリルシステインを豊富に含む黒ニンニクを摂取し、血液検査でALTやASTという酵素の濃度を調べてプラセボと比較。

黒ニンニクを摂取した15人は12週間後のALTの濃度が2.73IU/l低く、ASTは0.67IU/l低くなりましたが、プラセボを摂取した18人のALT濃度は4.78IU/l、ASTは2.61IU/l増加しました。

ALTとASTは「肝機能マーカー」と呼ばれ、肝臓の細胞が破壊されると濃度が高くなるので、黒ニンニク摂取で肝臓が保護されたと考えられます。

他の肝機能マーカーも黒ニンニク摂取で減少し、プラセボで増加すると確認されました。

以前の動物実験では、SアリルシステインによってTGF-βと呼ばれるたんぱく質が肝臓で細胞死を引き起こすのを防ぎ、悪玉コレステロール(LDL)発生も抑えて肝臓を保護するとわかっていました。

この試験でヒトレベルでも効果が確認できたので、Sアリルシステインの肝機能保護が「新規の機能性」として注目を集めると期待されています。[9]

 

6.脳の保護

脳のコンセプト

Sアリルシステインは脳の保護でも期待が高まっています。

2021年に中山医学大学(台湾)の研究グループが複数の動物実験に基づくレビューを行い、Sアリルシステインの抗酸化作用には、活性酸素による神経細胞へのダメージを防ぐ効果があると評価しました。[10]

日本では順天堂大学を中心とする研究グループが2021年に臨床試験を行い、人間の脳や神経への効果の検証を始めています。

軽度認知障害(MCI)またはアルツハイマー病患者18人がSアリルシステインを2.0~2.4mg含有するニンニクサプリメントを毎日1g摂取すると、14週間後には2種類の認知機能テスト(MMSEとADAS)で5名に大きな改善が見られました。

ただし2名が悪化、11名は大きな変化がなかったとのこと。

著者たちはSアリルシステインの摂取量が足りなかったかもしれないため、摂取量を増やして臨床試験を行うべきだと結論しています。[11]

 

7.テストステロン増加?

ニンニクには滋養強壮、精力アップのイメージがありますが、Sアリルシステインのテストステロン増加作用の検討も始まっています。

2021年の東北大学と健康食品メーカーの共同研究では、マウスに体重1kgあたり50mgのSアリルシステインを投与。

6時間後に血液を調べたところ、テストステロンがほぼ倍増して平均1.5ng/ml以上になり、精巣内のテストステロンも0.5ng/ml増加して2ng/ml近くになりました。

マウスの精巣から採取したライディッヒ細胞I-10をS溶液に入れてもテストステロンが増加したので、Sアリルシステインは精巣に直接働きかけると考えられています。[12]

Sアリルシステインが人間用のテストステロンブースターとして活用される日が来るかもしれませんね。

 

Sアリルシステインはサプリでの摂取がおすすめ

Sアリルシステインはがんや心臓病の死亡リスクを減らすだけでなく、疲労や睡眠など日常生活の質を改善し、他にも様々な効果が期待されているとわかりました。

したがって、Sアリルシステインはニンニクの最強成分といってよいでしょう。

大いに活用したいところではあるものの、摂取方法が重要です。

実は、生ニンニク、ガーリックパウダー、ガーリックオイルなど通常の食品はその材料となる成分が主で、Sアリルシステインそのものがほとんど入っていません。

ニンニクを熟成して、アリインと呼ばれるアミノ酸を酵素の力でアリシンに変換しないと生成されないのです。

2022年の桃屋の調査によると、Sアリルシステインは熟成ニンニクエキスには100gあたり283.5mg、普通のニンニクエキスの46倍、生ニンニクの109倍もの量が含まれているとのこと。

抗酸化能力もニンニクエキスの89倍、生ニンニクの24倍もあると判明しました。[13]

この希少な成分を計画的に摂取するには、しっかりしたメーカーが規格化した熟成ニンニクのサプリが最適と思われます。

ニンニクの強烈なにおいや刺激がないのもサプリの魅力でしょう。

ニンニクの最強成分Sアリルシステイン、これから大いに活用したいものですね。

 

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