死の危険もあるヨヒンビンとは?効果効能と副作用とサプリ

公開日:2019/08/21
更新日:2022/02/09

ヨヒンビンの効果と副作用

海外製品のサプリで目にするヨヒンビン。
理由がありドラッグストアや薬局では販売されていません。
一体どんな効果がある成分なのでしょうか?
副作用の危険性はあるのでしょうか?
ヨヒンビンの特徴や効果、サプリについて解説します。

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    MASAJI(STERON編集部)

ヨヒンビンの正体

ヨヒンビン

ヨヒンビンとは中央アフリカや西アフリカを中心に自生しているヨヒンベ(学術名:Pausinystalia johimbe)の樹皮から抽出したエキスの事です。

ヨヒンベは古来から西アフリカで医療ハーブとして愛用されており、特にEDなど性機能の改善に効果があるとして重宝されています。そのため世界的に精力剤の原料として活躍しているのです。

今回はそんなヨヒンビンの効果効能や副作用のリスクや危険性、日本国内での扱い、配合が確認されているサプリメントについて徹底解説します。

 

期待される効果効能

活力アップ目的で海外で人気のヨヒンビンですが、具体的にどんな効果効能が確認されているのでしょうか?早速ヨヒンビンの主な4つの効果を紹介します。

 

効果1.男性機能の改善

男性の下半身を調べる女性

ヨヒンビンが男性から注目されている一番の理由は、勃起力アップや精力向上、ペニス増大など下半身の状態改善でしょう。

実際にヨヒンビンにはEDを改善する効果があると言われており、過去にに行われた実験を調査した論文では、ヨヒンビンにはマカや高麗人参と同程度の性機能改善効果が期待できるとされています[1][2]

ヨヒンビンによる勃起機能向上のメカニズムは、下半身の血流を促進する一酸化窒素の産出を促進する作用があるためです[3]。実際に大きく勃起出来ないペニスとは血流が悪く、ペニスに十分な血液を送り込む事が出来ていない事が原因の一つです。

アメリカの医療施設(Providence Veterans Administration Medical Center)が発表した論文では、82名のED患者に最大42mgのヨヒンビンを1ヶ月を与えた結果が記されています。それによると、14%の被験者が完全に勃起力を回復し、20%の被験者が一部65%の被験者が変化を感じなかったそうです[4]

ちなみに米国泌尿器学会はヨヒンビンをEDの改善のために摂取することを推奨していません。これまでに行われた実験の数が少なくヨヒンビンによる勃起機能改善効果の信頼性が低い事と、過剰摂取すると死の危険もあることの2つが理由です[5]

 

効果2.ダイエット促進

ダイエット

ヨヒンビンにはダイエット効果や体内の筋肉構成を改善する作用があると言われています。脂肪細胞の中に存在するα2受容体の働きを阻害する事で、脂肪の燃焼を効率化する作用があるとされています。

しかし実際のところヨヒンビンの効果に関しては今だ賛否両論。過去にはいくつかの科学的な実験が行われていますが、明らかなヨヒンビンの成果が確認されている調査結果と、一切の効果が確認されなかった調査結果が両方存在しているのです。

例えば20名の肥満女性を対象に行ったポーランドの大学(Silesian School of Medicine)の実験では、1,000キロカロリーの食事制限に加えて20mgのヨヒンビンを毎日3週間摂取させた結果、3.6kgの減量に成功した事が確認されています。同量のカロリー制限でヨヒンビンを摂取していないグループの減量幅は2.2kgだったので、明らかにヨヒンビンによって減量スピードが促進されたと報告しています[6]

またセルビア共和国の大学(Institute of Sports Medicine)が、20人のサッカー選手を対象として行った実験では、20mgのヨヒンビンを21日間摂取し続けた結果、体脂肪率が1.8%(9.3%→7.1%)も低下しました[7]

このようにヨヒンビンにダイエット効果や引き締め効果があると結論付ける論文が発表されている一方で、ヨヒンビンには効果がないと結論付けるものもあります。

フランスで行われた実験では18mgのヨヒンビンと1,000キロカロリーの食事制限を8週間継続しても、ヨヒンビンを摂取した人としなかった人で違いは見られませんでした[8]。アメリカの病院(Lancaster General Hospital)が行った実験でも、43mgのヨヒンビンを6ヶ月摂取し続けても効果が出なかったと報告しています[9]

残念ながらヨヒンビンによるダイエット促進効果については、まだまだ十分な研究が行われているとは言えない段階ですね。

 

効果3.うつ症状の予防と改善

ストレスに悩む男性

日本はストレス社会です。チューリッヒ生命が2019年に発表した調査によると、ビジネスマンの8割が職場でストレスを感じていると回答しています[10]

ストレスを感じると体の中でドーパミンと呼ばれる成分が低下します[11]。ドーパミンは歓びや快楽、興奮などの感情を高める神経伝達物質であるため、量が減る事でうつ症状を引き起こすのです[12]

ヨヒンビンにはドーパミンの分泌をサポートする事で、うつ症状を緩和する効果が期待されています。フランスの研究施設が行ったヨヒンビンによる脳内の神経伝達物質の増減を調査した研究によると、ヨヒンビン摂取によってドーパミンが増える傾向にあることが判明しました[13]

ただし報告されている効果を得るためには、かなり多量のヨヒンビンを摂取する必要があるため、副作用のことを考慮すると安全性の高いうつ症状改善法とは言えないでしょう。

 

効果4.口臭の予防

口臭

「口が臭くないかな」と気になる人も少なくないはずです。日本歯科医師会が2016年に行った調査では、8割もの人が口臭を気にすると回答しているとのこと[14]

むしろ気にしないとマナー違反とも言える口臭ですが、ヨヒンビンはこの口臭も予防してくれる効果が期待できます。

そもそも口の中が臭くなる原因を知っていますか?それは唾液の量が減るためです。口内が乾燥することで、口臭の原因物質である揮発性硫黄化合物が増えることで、口が臭くなるのです[15]

フランスの医療研究施設(Faculté de Médecine)が1日18mgのヨヒンビンを5日間被験者に摂取させた結果、唾液の分泌量の大幅な増加が確認されました[16]。唾液分泌促進作用がある医薬品であるアネトールトリチオン[17]を25mg服用していた被験者よりも多くの唾液が分泌されていたとも報告しています。

 

副作用や服用の危険性

頭の痛みを感じる男性

勃起力向上やダイエット効果などが報告されているヨヒンビンですが、実は日本では副作用の危険性が確認されているため、医薬品成分として指定されています。そのためサプリメントとしての販売は違法行為に該当するのです。

医薬品として指定されているのは副作用や危険性が報告されているためです。主な副作用としては発疹、発赤、めまい、発汗、虚脱感などが報告されています。また高血圧の原因になるリスクも確認されています[18]

カリフォルニア大学サンフランシスコ校が、カリフォルニア中毒情報システムに報告されているヨヒンビンの副作用に関する情報を全て調べたところ、7年間で238件の副作用が報告されており、最も多かったのが胃もたれなどの胃腸障害で46%、次が動悸(43%)、不安感(33%)、高血圧(25%)だったとのこと[19]

中には命の危険がある心臓発作や腎臓の損傷なども報告されています。残念ながら安易に利用して良いサプリとは言えないのです。

 

正しい飲み方や推奨量

日本では医薬品として分類されている成分であるため、ヨヒンビンを含んだ薬を購入するためには、薬剤師からの説明が必要です。しかし通販サイトではヨヒンビン配合の海外製サプリが出回っています。

積極的におすすめ出来るサプリではありませんが、どうしても利用したいという方のために飲み方や推奨量について説明をしておきます。

 

推奨摂取量

計量

ヨヒンビンは日本では医薬品成分に指定されており、サプリとして販売されていないため、せうい少量などは公開されていません。

ヨーロッパ食品衛生協会の発表によると、ヨヒンビンの上限摂取量は一日に30mgです[20]。体の大きなヨーロッパ人で30mgということは小柄な日本人にはもっと少ない量が上限量であると考えるべきでしょう。

勃起不全への効果の調査などでは43mgなど大量に摂取させているものもありますが、これはあくまでもコントロールされた環境下で行われている実験です。日本人の方が体が一回り小さい事を加味すると20mg程度に抑えた方が良いでしょう。

または体重一キロあたり0.2mgで計算するのも1つの方法です。体重70kgであれば14mgの摂取量となります。この計算式で分量を決めている研究も存在し、副作用は報告されていません[21][22]

 

服用時の注意点

医師が反対する

ヨヒンビンは危険性の高い成分です。アメリカの医療メディア「WebMD」でも「POSSIBLY UNSAFE=危険性のある」成分として紹介されています[23]

特に持病がある人には、最悪の場合死亡する可能性もあるので細心の注意を払う必要があります。特に次に挙げる病気を持っている方は注意が必要です。

  • 統合失調症
  • 前立腺疾患
  • PTSD
  • 腎臓病
  • 肝臓病
  • 高血圧
  • うつ病
  • 糖尿病

例えば、前立腺肥大の方がヨヒンビンを摂取すると、より大きくなり症状が悪化する可能性があります。また高血圧の男性がヨヒンビンを摂取すると、血圧をさらに上げてしまう可能性があるリスクがある事も確認されています。

イタリアの病院(San Martino Hospital)が行った実験では、5.4mgのヨヒンビンのタブレットを摂取させた1時間後に血圧を測定したところ、血圧が5mmHg上昇していました[24]。イスラエルの医療研究施設が行った実験では、10mgのヨヒンビンを摂取した高血圧の男性の血圧が上昇と、ノルアドレナリン量の増加が確認されました[25]

またヨヒンビンを摂取するときには、絶対にカフェインを摂取してはいけません。最悪の場合、死にいたる可能性もあり、実際に死亡例も報告されています。アメリカではヨヒンビンとカフェインの相互作用による病気の発症や、臓器の損傷、死亡事故などを考慮して、1997年に注意喚起が発令されました[26]

 

ヨヒンビンを含む代表的サプリ

持病が急激に悪化する可能性もあるため、劇薬に指定されているヨヒンビンですが、サプリメントを実はネットでも購入することが可能です。また海外産の精力サプリには記載がないにも関わらず、ヨヒンビンが配合されていることもあるため注意してくださいね[27]

意外かもしれませんが国産のヨヒンビン錠剤も存在します。これは第一類医薬品に指定されているです。そのためネットでの購入であろうと薬剤師から説明を受ける必要があります。ヨヒンビンを含む代表的なサプリや医薬品、販売業者を紹介します。

 

ガラナポーン|要指導医薬品

ED治療薬に頼ることも考える

国産のヨヒンビン錠剤で最も有名なのは、大東製薬工業が製造している「ガラナポーン」でしょう。一日分に15mgのヨヒンビンを配合しています。昭和41年に承認されてから、半世紀にわたり多くの男性から愛用されてきました。

健康補助食品であるサプリメントと医薬品で明確に異なる点は、しっかりと効果効能が公式サイトでも明記されていることです。ガラナポーンの公式サイトには次のような効果に関する記載があります。

老衰性陰萎、衰弱性射精、神経衰弱性陰萎(引用:ガラナポーン – 効果・効能

このように、ガラナポーンがどのような症状に効果があるのかが記載されています。ガラナポーンはどちらかというと、加齢を原因として性機能が弱くなってしまった男性を対象とした商品であることがわかりますね。ただし、現在の法律に合わせることができず、2018年4月に販売停止となっています[28]

 

iHerb|個人輸入

サプリメント大国であるアメリカのサプリの個人輸入を代行してくれるiHerbでもヨヒンビンのサプリを購入することが可能です。

記事執筆時点で「ヨヒンビン」と検索すると26件の商品がヒットしますが、このうちヨヒンビンの配合量が明記されているのが半分程度。さらに配合量をごまかしていない信頼性が高そうなメーカーとなると、1つか2つに限られるというのが正直な印象です。基本的にはいずれも精力向上など下半身の機能改善を目的として利用されています。

 

オオサカ堂|個人輸入

オオサカ堂

ED治療薬等の個人輸入代行サービスを行っているのがオオサカ堂です。若干グレーゾーンなビジネスを展開するオオサカ堂も、もちろんヨヒンビンのサプリも販売しています。

オオサカ堂で「ヨヒンビン」と検索するとヒットするのは、24件。iHerbと同じく大手サプリメーカーが製造しているものも販売しているようです。ヨヒンビン単体のサプリからヨヒンビンを含むペニス増大サプリまで種類は様々です。

 

【まとめ】効果以上に副作用のリスクが高い

ヨヒンビンは勃起力向上のための精力剤やペニス増大サプリの原料として採用される事の多い成分です。確かに性機能を改善する効果が確認されている調査結果も存在しますが、同様に効果が一切ないと主張する専門家も存在します。

死に至る副作用の危険性もあるため、効果の割にリスクの方が高い成分とも言えます。もしあなたが下半身の機能向上や増大を考えているのであれば、より効果が高く安全な増大サプリを利用する事をおすすめします。

※記事の内容は、効能効果または安全性を保証するものではありません。サイトの情報を利用し判断及び行動する場合は、医師や薬剤師等のしかるべき資格を有する専門家にご相談し、ご自身の責任の上で行ってください。

  • 記者 WRITERMASAJI(STERON編集部)

    STEORN編集部
    「性をロジカルに」をモットーに記事を執筆。これまで感覚的に語られてきた”性”というテーマを学術的・科学的根拠に基づいて伝えていきたい。ティーコンシェルジュの知識を活かし、健康問題の解決に向けたハーブティーのブレンドもこなす。

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