昔の人は1日2回寝るのが当たり前だった!?あなたの二度寝ももしかして…

公開日:2022/02/26

  • 記者 WRITERみり
    みり

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    成人はおよそ7,8時間の睡眠が必要と言われています。

    しかし、アメリカ疾病予防管理センターによるとアメリカの成人の3人に1人は常に睡眠不足とされています。

    眠りについても夜中に目が覚めてしまう。

    もう一度眠ろうと思っても眠れない…明日も仕事なのに。

    という経験ありませんか?

    歴史学者 A・ロジャー・エカーチ教授によると、あなたの中に古代の人間の睡眠パターンが残っているのかもしれません。

    https://edition.cnn.com/2022/01/09/health/sleep-history-wellness-scn/index.html

     

    エカーチ教授はロンドンの公文書館の法的書類の中に書かれていた、ある記述を見つけました。

    9歳のジェーンという女の子の口述で、母親が最初の睡眠から起きて出かけて行った、とあったのです。

    「今までそのようなことは聞いたことがありませんでした。しかし、ごく普通のこととして書かれていたのです。

    そこから法的書類以外からもそういった資料を見つけるようになりました。」

    日記、医療テキスト、文学書…そういったものの中に「1度目の」と「2度目の」睡眠という記述が次々と発見されました。

    フランスの16世紀の医者のマニュアルにはこんな記述もありました。

    「妊娠のための性交は1度目の睡眠の後が適している。より楽しむことができ、パフォーマンスも上がる。」

    500を超える記述が発見され、人々はふたつの睡眠の間にセックスをしたり、食事や話をしたり、お祈りをしたりしていたようでした。

    しかし、ケンブリッジ大学で日本の研究をしているブリジット・ステイガー氏は、2度寝は全世界共通だったわけではないとの考えを示します。

    日本ではエカーチ教授の発見のように、睡眠が2度に分かれていたという記述は見つかっていないからです。

    日本だけでなく、他にもベルギーのように、そういった記録は発見されていないと主張する研究者もいます。

    かなり昔になりますが、1990年、被験者に毎日14時間真っ暗な空間にいてもらうという実験が行われました。

    (BBC News The myth of the eight-hour sleep より)

    この実験は1か月続けられ、その間被験者の睡眠パターンが変わっていきました。

    最後の週には被験者たちの間には、4時間眠った後数時間起きて、また4時間ほど眠るというパターンが見られるようになったのです。

    このことはエカーチ教授の研究内容と一致するものです。

    太古にさかのぼるのであれば、睡眠が小分けにされていたと考える方が自然です。

    狩りをするような生活で8時間がっつり寝ていられたとは考えにくいからです。

    眠れる時に睡眠を取っていたと思われます。

    そこから集落が登場し始め、地域や文化によって生活習慣が変化していったのです。

    産業革命後、睡眠は時間の無駄という資本主義の考えが広まり、睡眠パターンもそれに併せて変わっていったのではないかということです。

    そう考えれば、眠りが2段階だった時期が地域によっては他より長かったということがあってもおかしくありません。

    とは言え、産業革命以前はみんなよく眠れていて、不眠症なんて存在しなかったのかと言えばそんなことはありません。

    マンチェスター大学のハンドリー教授の発見によると、産業革命以前にも、人々はどうやったらよく眠れるかということを試案していたようです。

    彼女によると、16、17世紀頃の医者のマニュアルには何時間眠るべきか、どういった姿勢が最適かといった睡眠アドバイスがたくさんあったそうです。

    中には、鳩をふたつに切って、それを頭の両サイドに敷く、なんてものもあったとか。

    睡眠アドバイスというよりも、魔術の世界です。

    そしてすでにこの頃から、カモミールとラベンダーの効果も述べられていました。

    「睡眠は文化や社会、観念の影響を受けます。産業革命前と以後でガラッと睡眠パターンが変わったということもありません。

    睡眠習慣は時代とともに変化を遂げてきたのです。」

    とステイガー氏は言います。

    睡眠ラボの実験によると、長く眠れる機会を与えられた人ほど睡眠がふたつ、またはそれ以上のセクションに分かれることがあるようだと示されました。

    しかし、オックスフォード大学のサーカディアン神経学者フォスター氏は、それが全ての人に当てはまるわけではないとしています。

    「無理に睡眠を2度に分ける必要はありません。そのせいで睡眠時間が短くなるようならなおさらです。

    はっきりしているのは、以前は現代ほど睡眠中に目が覚めることは問題視されていなかったということです。

    睡眠は人によって異なります。

    ひとつのことが全人類に当てはまるということはありません。

    もし目が覚めても、スマホのような睡眠を妨げる活動をしていなければまた眠れるはずです。

    もし眠れなくてイライラするようなら、照明は落としたままで、何かリラックスできることをしましょう。

    心配しすぎないようにするのが大切です。」

    長く眠れる人ほど分割された睡眠をとるという結果は、14時間も与えられた先の試験者たちにも当てはまります。

    時間に余裕があれば、1度でしっかりした睡眠をとらなければというプレッシャーもありません。

    現代ではみなさんとても忙しく、特に日本では2度寝スタイルが適しているとはあまり思いません。

    適度な睡眠時間は人それぞれです。

    簡潔な睡眠記録をとり検証してみるのも有効かもしれません。

    自分は何時間眠った時に1番調子が良いか。

    8時間も眠ると次の日だるいという人もいます。

    よく眠れる時と、眠れない時の違いは何だったか。

    実に様々なアドバイスがあふれているので、自分でよさそうな物を選び、ひとつずつオリジナルの睡眠レシピを作成してみましょう。

    他の人が良いということが自分に当てはまらないこともあるからです。

    鳩を切るまではいかないにしても、いろいろ試すと自分だけに効果のある物を発見できるかもしれません。

     

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    • 記者 WRITERみり

      ケーキと菓子パンが主食の20代後半に全身に蕁麻疹が何度も出て30代から一転健康志向に。「穏やかに心身健康」をモットーに南の島で生活中。早朝に浜辺を愛犬と散歩するのが日課。世界のいろんな人の変わったニュースを読むのが趣味。

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