【むしろNG?】寝る前のホットミルクに全く効果がない10の理由

公開日:2023/01/19
更新日:2023/03/01

ホットミルク

睡眠に良いと言われる寝る前のホットミルク。
しかし、実は全くの逆効果なんです・・・
今回は、寝る前のホットミルクがいかに身体に悪影響をもたらすかを解説します!

    寝る前のホットミルクは睡眠に良い、と聞いたことはありませんか?

    実はそれ、大きな間違いなんです・・・

    今回は、ホットミルクを就寝前に飲むことが、いかに悪影響をもたらすかを徹底的に解説しましょう!

     

    なぜ寝る前のホットミルクが良いとされるのか

    ホットミルク

    そもそもなぜ寝る前のホットミルクが良いとされているのでしょうか?

    その理由は、大きく分けて3つあります。

     

    理由1.メラトニンの原料「トリプトファン」を含んでいる

    トリプトファン

    ホットミルクが寝る前に良いとされる最大の理由は「トリプトファン」が含まれていること。

    トリプトファンは、睡眠ホルモンのメラトニンの原料となります。

    メラトニンは、体内時計に作用して入眠を促すホルモン。

    身体に「今が夜である=寝る時間である」ことを伝える役割を担っているんです。

    日中に光を浴びると、光の情報が脳に伝えられます。

    すると、トリプトファンから生成されるメラトニンの日中の量が抑えられ、逆に夜間に増加するリズムが整うようになるんです。

    この過程を経て、夜の適切な時間に眠気が訪れるようになります。

    寝る前のホットミルクが良いと言われるのは、睡眠に重要なホルモン、つまりメラトニンの原料を含んでいるからなんです。

     

    理由2.内臓が温まりリラックスする

    リラックス

    内臓が温められることでリラックス効果があるとされる点も、ホットミルクが良いとされる理由の一つ。

    たしかに、温かい飲み物には自律神経のうち穏やかな状態で優位になる副交感神経のはたらきを促してくれる作用があります。

    これにより、心身ともにリラックスした状態が作られ、睡眠の質にも良い影響を与えてくれると言われているのです。

    体温上昇によるリラックス作用が、ホットミルクが寝る前に最適な飲み物として注目された理由の一部を担っているわけです。

     

    理由3.カルシウム含有&代謝UPで脂肪燃焼

    脂肪燃焼

    牛乳に含まれるカルシウムには、脂肪燃焼効果があります

    特に、内臓にこびりつくように溜まり、皮下脂肪に比べ取れにくいとされている内臓脂肪に効果があるとされています。

    また、温かい飲み物は血流を良くして代謝を上げるため、脂肪燃焼を促す効果があるとも言われています。

    つまり、カルシウムの脂肪燃焼効果と代謝向上の2つの理由から、寝る前にホットミルクを飲むことで、寝ながらにして脂肪燃焼が叶うとささやかれ注目を集めているんです。

     

    寝る前にホットミルクを飲むべきではない10個の理由

    しかし、上記の効果には全く根拠がないんです・・・

    ホットミルクは”寝る前”に飲んでもほとんど意味がありません。

    それどころか、逆効果になる場合も···

    ここでは、具体的な理由を10個挙げてそれぞれ解説します。

     

    1.トリプトファンは1日かけてメラトニンに変わる

    時計

    まずは、牛乳に含まれるトリプトファンについて。

    そもそもトリプトファンは、飲んですぐに入眠作用があるわけではないんです。

    なぜなら、トリプトファンは1日かけてさまざまな酵素や外的要因の働きによりメラトニンに変換されるからです。

    まず腸から吸収されたトリプトファンのうち数%が脳に運ばれ、代謝酵素によって神経伝達物質セロトニンに。

    セロトニンは明るくなると産生が促され、日中に大量に生産されます。

    そして陽が沈むと産生が低下し、日中に作られたセロトニンが脳の松果体に運ばれることで、はじめてメラトニンに合成されるのです。

    つまり、牛乳によって摂取したトリプトファンに対して、すぐにメラトニンとしての作用を期待することは不可能!

    さらには、メラトニンが入眠作用を発揮するまでにも、1~2時間かかると言われています[1]

    つまり、寝る前にとトリプトファンを摂取しても、入眠作用は期待できないのです···

     

    2.寝る前の糖質摂取は睡眠に悪影響

    糖質

    ホットミルクに含まれる糖質もネガティブな影響をもたらします。

    炭水化物や砂糖などの糖質を含むものを寝る前に摂取すると、自律神経のうち、興奮状態をもたらす交感神経が優位になります。

    これにより、寝付けなかったり睡眠が妨げられたりするのです。

    牛乳には乳糖と呼ばれる糖質が含まれています。

    さらに、砂糖を入れて飲みやすくした場合はさらに糖質量が増えることに・・・

    つまり、ホットミルクを寝る前に飲むと、糖質の作用により睡眠が妨げられてしまうんです!

     

    3.ホットドリンクの入眠作用には根拠がない

    根拠

    実は「温かい飲み物を飲むと寝付きが良くなる」という話には、科学的根拠がありません。

    そもそも、ホットドリンクが良いとされる理屈には、脳や内臓の体温である深部体温の低下があります。

    温かい飲み物によって体が温まることで、一時的に深部体温が上昇。

    その後身体は体温を下げるように働き、入眠に最適な深部体温まで下がることで眠気が高まります

    就寝の1時間~1時間半前までの入浴が良いと言われるのには、この深部体温のメカニズムが関係しているのです。

    ただ、ホットドリンクに入浴と同じだけの効果があるというデータは存在しません[2]

    つまり、ホットミルクの入眠作用は信ぴょう性が低いんです。

     

    4.数少ないデータは動物実験

    データ

    科学的根拠の観点からいえば、実はホットミルクが睡眠にポジティブな影響を与えるといったデータは0ではありません。

    実際に行われた実験では、牛乳に含まれるカゼイン・トリプシン加水分解物と呼ばれる牛乳ペプチドの混合物を摂取したマウスに、睡眠に関するプラスの変化があらわれたとの報告があがっています[3]

    ただ、マウス等の小動物を対象としたデータであるため、根拠と言い切るには弱いと言わざるを得ないのが正直なところ···

    人間とマウスでは体の体積に大きな差があるため、動物実験のデータから睡眠への有意な効果を断言することはできません。

     

    5.夜間に尿意で目が覚める

    夜間頻尿

    水分は、約3時間後に尿になります。

    そのため、寝る前に水分を摂取すると尿意で目が覚める可能性があるのです。

    睡眠が途中で中断されると、著しく睡眠の質が低下することに···

    中途覚醒によって夜中に目が覚める回数が増えるほど、再入眠が難しくなり、深い眠りであるノンレム睡眠のタイミングが失われます[4]

    これにより睡眠サイクルが狂わされ、睡眠の質も落ちていくのです。

    睡眠の質が低下すると、日中に眠気や疲労感を感じたり、集中力が低下して仕事でパフォーマンスが発揮できなかったり、なんてことにもなりかねません!

    一回の尿の平均は200~300mg、一回で飲むホットミルクの量はコップ一杯大体200mgほどですので、寝る直前に摂取したのと同程度の量が尿となってしまうのです。

    ホットミルクを甘くして飲む方は、さらに注意が必要。

    砂糖やはちみつには利尿作用がありがより尿意を感じやすくなるんです。

     

    6.乳糖でお腹を下す可能性あり

    お腹を下す

    尿だけではなく、便意で目が覚める可能性も!

    牛乳には、乳糖(ラクトース)と呼ばれる物質が含まれています。

    乳糖は、小腸に存在する消化酵素ラクターゼによって分解され吸収されるのが通常。

    しかし、ラクターゼの分泌量が不足している場合、乳糖が吸収されず大腸へ運ばれ大腸内の有害菌に利用され、消化不良や腹痛、下痢の原因になることもがあります。

    この症状は「乳糖不対症」と呼ばれ、年齢を重ねるにつれてラクターゼが減少しやすいことから、大人になって突然牛乳が身体に合わないと感じるようになるケースもあるのです。[5]

    全ての方が当てはまるわけではありませんが、普段から牛乳を含むカフェラテなどの飲み物で胃腸の調子が悪くなりやすい方は、特にご注意ください!

     

    7.サプリや薬の吸収を妨げる場合もある

    サプリ吸収

    牛乳によって、サプリや薬の吸収が妨げられる場合もあります。

    その原因は、牛乳に豊富に含まれるカルシウム!

    カルシウムがイオン化したCaイオンが薬と結合すると薬の吸収が阻害され、ニューキノロン系抗菌薬やテトラサイクリン系抗生物質の効果が弱まる恐れがあります。

    また、カルシウムを多く摂取することで、鉄や亜鉛、マグネシウムといったミネラルの吸収が阻害されることも···

    ミネラルの吸収に関しては、カルシウムサプリメントを摂取した場合のデータであり、牛乳を飲んだ場合に同等の反応が現れるかは定かではありません。

    しかし、牛乳が与える影響も否定できないため、薬やサプリを寝る前に飲んでいる方は、ホットミルクを飲むのは避けた方がよいでしょう。

     

    8.ホットミルクが向上させる代謝量はたった1.6キロカロリー

    カロリー

    冒頭でホットミルクによる代謝UP効果をご紹介しましたが、実はその幅はほんのわずか···

    ホットミルクの体温上昇は約20分持続するとされています。[6]

    体温が一度上がることによる、代謝量の上昇率は13%。[7]

    就寝中の消費カロリーは300キロカロリーといわれているため、8時間睡眠と仮定して20分の消費カロリーを計算すると12.5キロカロリーとなります。[8]

    そのうち13%が体温上昇によるものと考えると、ホットミルクが向上させる代謝量はわずか1.625キロカロリー···

    つまり、仮にホットミルクで体温が1度上がるとしても、増える代謝量はごく微量で、残念ながらほとんど意味をなさないのです。

     

    9.カルシウムを摂取するだけでは脂肪は消えない

    カルシウム

    そもそも、カルシウムを摂取するだけでは、脂肪は消えません!

    食事制限をしたうえで、1日に1000mgのカルシウムを100人の女性に摂取させた実験でも、体脂肪は有意に減らないことが確認されています。[9]

    ホットミルクに含まれるカルシウムは、200mlのカップ一杯でおよそ165mg。

    この数字からも、意味がないことがおわかりになるでしょう。

     

    10.ニキビなどの肌荒れの原因になる

    ニキビ

    寝る前にホットミルクを飲むことで、ニキビなどの肌荒れが引き起こされる可能性も。

    その理由は、牛乳に含まれる糖質による血糖値の上昇にあります!

    寝る前に糖質等を摂取すると、血糖値が上がった状態で寝ることに···

    肌の修復に必要な成長ホルモンは、入眠後30分後にもっとも多く分泌されますが、血糖値の上昇が、成長ホルモンの分泌を低下させてしまいます。

    その結果、肌の修復チャンスが失われてしまうのです!

    加えて、これまでご紹介してきたように、ホットミルクは良い睡眠を妨げる可能性も含んでいるため、睡眠の質の低下によって肌荒れが起こることも十分に考えられるでしょう。

     

    ホットミルクの効果を最大化する飲み方3つ

    最大化

    ただ、ホットミルクにさまざまな健康効果があるのは事実です。

    問題なのは、間違った飲み方をすること!

    正しい飲み方を把握し、効果的に生活に取り入れてみましょう。

     

    飲み方1.ホットミルクは朝に飲むべし!

    ホットミルク 朝

    睡眠の質向上を目的にホットミルクを飲むのであれば、おすすめは朝!

    牛乳に含まれるトリプトファンから合成される睡眠ホルモンメラトニンは、日光を浴びると分泌量が抑えられ、夜になると増加して眠気をもたらします。

    トリプトファンがメラトニンに変換されるのにかかる時間は、約10時間。

    つまり、メラトニンの分泌を促すことにより睡眠の質向上を図るのなら、寝る前ではなく朝飲むのが望ましいのです!

    また、ダイエット目的であったとしても、活動量が増える前の朝に飲んで代謝を上げた方が、効率的に効果を得られるでしょう。

     

    飲み方2.はちみつより砂糖を混ぜる

    砂糖

    ホットミルクに甘みをプラスしたい場合は、はちみつより砂糖がおすすめです!

    はちみつは、疲労回復や免疫向上等のさまざまな効果で知られる健康食材。

    ただ熱に弱く、45度から変化し60度以上の高温では栄養が破壊されてしまうことがわかっています。

    つまり、ホットドリンクに混ぜると効果が半減し、単にカロリーを摂取するだけになってしまうのです···[]

    一方、砂糖にはメラトニンの原料となるセロトニンの分泌量を高める効果が!

    大量摂取は糖質過多を招きますが、適量であれば睡眠にプラスに働くと考えられます。

    WHOによると、砂糖の摂取量の目安は、1日に摂る総エネルギー量の5%未満。[]

    大体25g、スティックシュガー8本分が目安となります。

    例えば、プリンに使われる砂糖はスティックシュガー約6本分、栄養補給用のエナジーバーで約16本分。[]

    基本的に、デザートや甘いお菓子を食べた日は、たった1本だとしてもやはり控えた方がよさそう···

    一日の食事の量と合わせて計算し、ホットミルクに入れる量を決めましょう。

     

    飲み方3.温度は55~60度。よくかき混ぜるのがコツ

    ホットミルク

    睡眠の質向上や健康のために飲み続けるのであれば、やはりおいしく作って飲みたいですよね?

    「ただ牛乳を温めればいいんでしょ?」と思われがちですが、実はおいしい作り方があるんです。

    ポイントは温め方!

    電子レンジで温める場合は、200mlをマグカップに注いでラップをし、500wで1分50秒、600wで1分20秒。

    鍋で温める場合は、弱火でよくかき混ぜながら加熱します。

    55度~60度を目安に温めてみてください。

    ココアやホットチョコレートにして飲みたいところですが···健康効果を望む場合は、適温に温めたホットミルクに砂糖を少量加えるのみにしておきましょう。

     

    寝る前に飲む必要は全くなし!目的に適した飲み方をしよう

    「ホットミルクは寝る前に飲むと良い!」

    この説の真相がおわかりいただけたのではないでしょうか?

    結論、寝る前に飲む必要は全くなし!

    それどころか、寝る前に飲んだために睡眠が阻害されたり、服用しているサプリの効果が得られなくなったり、ニキビが増えたりといった問題が生じる恐れもあるのです。

    ただ、牛乳自体はカルシウムたっぷりの優良食材!

    さらに、朝に飲めば、睡眠向上や代謝UP効果を得られる可能性が高まります。

    睡眠に関する悩みを抱えていらっしゃる方はぜひ、飲むタイミングとおいしく飲める温度に注目し、ホットミルクを効果的に生活に取り入れてみてくださいね!

     

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