CLA(共役リノール酸)に減量効果はある?6つの研究から検証

公開日:2022/02/24
更新日:2022/02/26

CLA

ダイエットに効果的と言われているCLA(共役リノール酸)。
しかし、はたして本当に効果はあるのでしょうか?
今回の記事では海外の臨床データをもとにCLAの効果を解説します。

  • 記者 WRITERみり
    みり

CLA(共役リノール酸)とは?

共役リノール酸は英語で「conjugated linoleic acid」のため、略してCLAと呼ばれています。

CLAは不飽和脂肪酸の一種です。

悪玉コレステロールを増やす、控えるべき飽和脂肪酸と違い、不飽和脂肪酸は良い効果があるので適量を摂取すべきと推奨されています。

CLAは体内で脂肪をエネルギーに変えるホルモン感受性リパーゼを活性化させ、脂肪を分解、消費するのを助ける役割があります。

そのため脂肪燃焼効果があるとされています。

また、リポタンパク質リパーゼという酵素は分解された脂肪を体内に貯える役割があります。

CLAはこの酵素の働きを抑えるため、脂肪がつきにくい身体になるともされています。

CLAは体内で作られることはほとんどなく、肉類や乳製品、植物性の油から摂取することになります。

どの食品も含有量は少量のようですが、草で育てられた牛肉には多めに含まれているそうです。(参照

一般の人の食事では1日平均して、15から174㎎のCLAが摂取できるとされています。

脂肪を減らすためには、1日およそ3g以上の摂取が効果的のようです。(先の減量に関する研究の所で数値が出てきます)

食品からとなると総合カロリーが高くなり、減量効果を相殺してしまうので、サプリメントで補うのがよいかもしれません。

 

CLA(共役リノール酸)の減量に関する研究6つ

ここからはCLAが本当にダイエットに効果的なのかを検証すべく、6つの研究を紹介します。

 

 1. CLAに関する18個の臨床試験をまとめた研究

研究

2007年にThe American Journal of Clinical Nutritionで発表されたメタ分析では、18の臨床試験のデータが分析されました。

そして、それらの実験で使用されたCLAの摂取量の中央値3.2gに対し、脂肪量が1週間で平均0.05kg減ったという結果が出ていることが分かりました。

CLAグループとプラセボを比べた実験の分析では、脂肪量の減少は1週間で平均0.09kgでした。

このメタ分析の結果、1日3.2gのCLA 摂取は、少量ですが体脂肪を落とすと結論づけられました。(参照

 

2. CLAの体脂肪を減らし休暇中の体重増加を抑える働きの研究

この研究は肥満や太りすぎの人が増え続けているアメリカで行われ、International Journal of Obesityで2006年に発表されました。

研究では、クリスマスなどのホリデーが体重増加に与えている影響が指摘され、そしてその抑制のためにCLAが使用できないかという研究が行われたのです。

日本でも、お正月に体重が増えるという人はいるのではないでしょうか。

対象者は18歳~44歳の、太ってはいるけれど健康な40人。

BMIは全員25~30の間、25以上は肥満とされています。

ランダムに選ばれた人達は1日3.2gのCLAを摂取、残りの人達はプラセボを6か月間摂取しました。

8月~10月がホリデー前、11月~12月がホリデー中、1月~3月がホリデー後と分類され、対象者の体重が毎月測定されました。

CLA摂取グループは、プラセボグループほどホリデーの飲食による体重増加が見られませんでした。

加えてCLAを摂取したグループは6か月後、体脂肪が1kg減少しました。

CLAが体重増加を抑え、体脂肪を減らしたという結果が出たのです。(参照

 

3. 1年間のCLA継続摂取が肥満気味の人に与える影響の研究

こちらはCLA摂取を長期間行った場合、どういった効果があるのかという研究です。

2004年にThe American Journal of Clinical Nutritionで発表されました。

研究には180人のボランティアが参加しました。

BMIが25から30の男女です。

対象者は3つのグループに分けられました。

それぞれのグループが遊離脂肪酸型のCLA、トリアシルグリセロール型のCLA、プラセボのオリーブオイルを摂取しました。

2種類のCLAが使用された背景には、市販のCLAに遊離脂肪酸型とトリアシルグリセロール型があるためです。

1年後、トリアシルグリセロール型のCLA摂取グループの体脂肪量は、プラセボグループと比べて8.7%低くなっていました。

遊離脂肪酸型のCLA摂取グループでも、6.9%低いことが分かりました。

どちらのタイプでもCLA 摂取により、体脂肪量が減少しました。(参照

 

4. CLAが肥満、または肥満気味の人の体脂肪量を減らすという研究

こちらの実験は、BMIが25から35と高めの人が参加しています。

2000年にThe Journal of Nutritionで発表されました。

60人の肥満に分類される人達が5つのグループに分けられました。

まず9gのオリーブオイルを摂取するプラセボグループ。

そしてCLA摂取グループは摂取量により4つのグループに分けられました。

各グループはそれぞれ1日に、1.7g、3.4g、5.1g、6.8gのCLA を摂取しました。

摂取期間は12週間。

諸事情により12週間を完了したのは47名でした。

分析の結果、CLAを摂取したグループの体脂肪量は、プラセボと比べて明らかに減少しました。

特に、3.4gと6.8gのCLAを摂取したグループの減少量が目立ちました。

データによると、3.4gを超えて摂取をしても、量が多いほど効果があるということはないようでした。(参照

 

5. CLA が身体のどの部分の脂肪量を減らすかの研究

CLAが体脂肪量を減らすという研究はいくつもありますが、この研究はどの部位の脂肪が落ちるのかという、一風変わった研究です。

ケンブリッジ大学出版から2007年にオンラインで発表されました。

118名のBMIが28から32の人が対象でした。

彼らはふたつのグループに分けられ、片方は4gのCLAを1日3回摂取しました。

もう片方はプラセボを摂取しました。

摂取期間は6ヵ月でしたが、3ヵ月ですでに体脂肪量に減少が見られ始めました。

6ヵ月の終わりにはプラセボグループと比べ3.4%減少しました。

脂肪量が最も減ったのは足で、重さで0.8kg減量しました。

プラセボと比べて、ウエスト・ヒップ比にも減少が見られました。

ウエスト・ヒップ比は内臓肥満、腹部肥満の目安とされる数値です。

ウエスト(cm)÷ヒップ(cm)で求められ、男性では1.0以上、女性では0.9以上が肥満の目安とされています。

また、除脂肪体重もCLA摂取グループでは0.5kgの増加が見られました。

血中脂質や炎症マーカーは正常範囲内におさまっていました。

肥満以外は健康な人では、CLA摂取は明らかな副作用なく体脂肪量を減らしてくれるという結果が出たのです。(参照

 

6. CLAのサプリが減量と体組成へ与える効果

Nutritionで2012年に発表されたこの実験は、中国で、中国人のみを対象にして行われました。

63人の対象者のBMIは24~35の間でした。

およそ半数の30人が、1.7gのCLAを1日2回、200mlの牛乳に混ぜて摂取しました。

残り33人は、プラセボとして同量のサラダオイルを牛乳と摂取しました。

12週間後、BMIが27以上の人達は体重、BMI、皮下脂肪、ウエスト・ヒップ比が減少しました。

つまり12週間のCLA の摂取のみで、肥満の判断基準であるこれらの数値の改善が見られました。(参照

 

CLAはダイエットの”サポート”効果あり?

CLAについては、動物実験を含めて多くの研究が脂肪減少効果があるとしてきました。

一方で、2017年にネズミを使って行われた研究では、定番のダイエットと同様の効果が得られるわけではないとしています。(参照

ここでの定番ダイエットとは食事制限をして運動をすることです。

定番ダイエットでは、減量と共に糖尿病マーカーの改善も見られます。

ですがCLAを使った減量では、脂肪量は落ちましたが糖尿病改善は見られなかったのです。

CLAは残念ながら、ただ飲みさえすればダイエットと全く同じように痩せられるという魔法の薬ではありません。

ですがCLAを摂取して適度な運動をすることで、脂肪をより燃やすことができ、ダイエット効果の促進が期待できます。

Office of Dietary Supplementsによると、1日6gまでは1年を通して摂取して問題ないとされています。

研究によると、1日3gちょっとの量から脂肪減少効果があるようです。

消費をあまりしないのに取りすぎては炎症や消化不良などを起こすことがあるとされています。

適量は個人によるので、製品の摂取ガイドを参考にするようにしましょう。

 

※記事の内容は、効能効果または安全性を保証するものではありません。サイトの情報を利用し判断及び行動する場合は、医師や薬剤師等のしかるべき資格を有する専門家にご相談し、ご自身の責任の上で行ってください。

  • 記者 WRITERみり

    ケーキと菓子パンが主食の20代後半に全身に蕁麻疹が何度も出て30代から一転健康志向に。「穏やかに心身健康」をモットーに南の島で生活中。早朝に浜辺を愛犬と散歩するのが日課。世界のいろんな人の変わったニュースを読むのが趣味。

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