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イミダゾールペプチドの効果とは?8個の臨床データから解説
公開日:2023/01/08
更新日:2023/02/06
渡り鳥の筋肉などに多く含まれる「イミダゾールペプチド」には、さまざまな健康効果があると言われています。
特に疲労に関しては、心身ともに効果が認められているんです。
今回は研究データをもとに、イミダゾールペプチドの効果を6つ紹介します!
健康づくりに役立てたい方は、ぜひ参考にしてくださいね。
Contents [目次を開く]
イミダゾールペプチドとは?
最近イミダゾールペプチドと呼ばれる成分が疲労対策で注目され、様々な媒体に登場しています。
イミダゾールペプチドはアミノ酸結合体の一種で、カツオなどの回遊魚や鳥類の胸肉に含まれる成分です。
特に渡り鳥の羽付近の筋肉や、マグロの尾びれに多く含まれます。
「イミダペプチド」、または「イミダゾールジペプチド」と呼ばれることも。
そして我らが 日本はイミダゾールペプチド研究の先進国です。
2003年に「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」という産官学連携プロジェクトが始まり、大阪市、大阪市立大学など5大学、製薬、食品など16社による共同研究の結果、疲労のメカニズムが解明されました。
その成果の一つとして、イミダゾールペプチドの抗疲労効果もデータとして確認されたのです。
イミダゾールペプチドには他にも様々な効果があると分かっており、健康に関心がある人なら知っておいて損はありません。
そこでこの記事では研究データに基づいて、6つの効果をご紹介いたします。
イミダゾールペプチドの効果6つ
ではイミダゾールペプチドの効果を6つ、順番に紹介します。
健康づくりに役立つ効果ばかりですので、ぜひ参考にしてくださいね。
1.疲労感の緩和
疲労対策といっても色々な要素がありますが、摂取後の疲労感はとても重要な要素ですね。
2009年日本の医師グループが、健康ながら疲労を感じている男女207人にイミダゾールペプチド入りドリンクやプラセボ(偽薬)を摂取してもらい、主観的疲労度(VAS)の変化を比較する臨床試験を行いました。
試験開始4週間後にはプラセボを飲んだ67人のVASスコアも6.1改善して平均51.8になりましたが、イミダゾールペプチド400mgを飲んだ70人では10.1改善して44.7まで減少。
8週間後には、プラセボグループのスコア平均は44.0になりましたが、400mg摂取グループは平均35.6まで差を広げました。
なお、イミダゾールペプチドを200mgだけ摂取した70人のスコア平均は、4週間後には44.5で400mg摂取とほぼ同じでしたが、8週間後のスコアは39.3でした。[1]
他の多くの臨床試験でもVASスコアの改善が報告されているため、イミダゾールペプチドは疲労回復効果が実感できる成分と言っていいでしょう。
2.肉体疲労の緩和
疲れが取れる感覚は大事ですが、肉体への実際の効果はどうでしょうか?
イタリアのミラノ大学では2014年に12人の被験者にイミダゾールペプチド2gとβ‐アラニン2g配合錠剤を摂取させ、4時間後に膝伸筋の筋力と、連続跳躍運動の記録を2回測定しました。
2回の運動の間には、45秒間跳躍し続ける疲労タスクを行わせ、変化を比較します。
また、12人は別の機会にプラセボを飲んで同じ試験を受け、効果を比較。
錠剤を飲んだ時もプラセボを飲んだ時も、疲労タスク後の2回目の成績は悪化しましたが、錠剤を飲んだ時の筋力はプラセボの時より15%高く、ジャンプも6%高くなりました。
また、運動直後の疲労度や筋肉痛の自己評価も、錠剤を飲んだ時の方がプラセボ摂取時よりよい記録が出ています。
24時間後の主観的疲労度(VAS)は錠剤摂取時の方が4.4で偽薬の3.7より高くなりましたが、48時間後には錠剤摂取時が2.1、プラセボ摂取時が2.2で逆転しました。[2]
こうしてイミダゾールペプチドが主観的な疲労だけではなく、運動能力低下を防ぎ、肉体疲労を緩和することも確認されました。
3.精神疲労も緩和
疲労には肉体の疲れだけでなく、注意力の低下や頭がぼんやりするなどの精神疲労もありますよね。
2013年の大阪市立大学による臨床試験では、20人の健康な男性にイミダゾールペプチド入りドリンク70mlを朝夕2回飲ませてプラセボを飲んだ時と比較し、精神疲労への効果を検証しました。
被験者たちは、試験期間中40分間の疲労タスクをしてから認知テストを受け、60分休憩してから別の認知テストを受けます。
テストは、画面に表示された文字に反応してボタン操作する方法です。
この試験では、開始4週間後には休憩後の認知テストの反応速度が試験開始の時より約0.2秒速くなりました。
なお、この試験でも被験者の主観的疲労度(VAS)を毎日記録しています。
ドリンクを飲んだ時の平均スコアとプラセボを飲んだ時を比較したところ、試験期間全体を通じてドリンク摂取時のスコアの方が良好でした。[3]
以上3つの臨床データから、イミダゾールペプチドは主観的な疲労を緩和するだけでなく、運動能力や認知能力の低下を防ぐと分かります。
4.脳の機能改善
イミダゾールペプチドには脳の機能を改善する効果もあります。
アメリカジョージタウン大学の研究グループによる2013年の臨床試験は、慢性疲労などを伴う「湾岸戦争症候群」(GWI)と診断された25人の男女を対象に行なわれました。
被験者たちは、12週間イミダゾールペプチド500~1500mgかプラセボを飲み続けた後、各種検査を受けます。
すると、イミダゾールペプチドを飲み続けた12人の数字符号置換検査(DSST)のスコアは平均で10.8ポイント増加しました。
一方、プラセボを飲み続けた13人の平均スコアの改善はわずか2.7ポイントに留まっています。[4]
5.認知症防止
加齢による脳の衰えを防止できるのも、イミダゾールペプチドの強みです。
九州大学の研究グループは、イミダゾールペプチドを摂取したマウスが高脂肪の食生活をしても記憶機能が衰えにくい点に注目し、人体でも効果があるのか確かめました。
福岡県久山町には、住民の50年以上にわたる臨床データが蓄積されていることで知られています。
その内の60歳以上の健康な住民1,475人の血液を調べたところ、イミダゾールペプチドが分解されて発生したβ‐アラニンの濃度が高いと5年後の認知症発生確率が低くなると判明しました。
別の臨床試験でも、イミダゾールペプチドを摂取した中高齢者は全身の炎症が抑制され、記憶機能が維持されやすいことが分かっています。
この研究グループは、イミダゾールペプチドが腸を刺激し、自律神経やホルモンを通じて脳に影響して機能改善に役立つと示唆しました(脳腸相関)。[5]
イミダゾールペプチドは年を取るほど体内での合成量が減るので、年齢が気になり始めたら意図的に摂取することが頭脳の健康維持にも重要と思われます。
6.老化防止
イミダゾールペプチドのサプリを飲んだらアンチエイジングや肌の調子で効果があった、というネットショップの書き込みが見られます。
臨床試験でもイミダゾールペプチドの抗酸化作用が老化防止に役立つと確認されているんですよ。
健康食品メーカーの東海物産は、2014年の臨床試験で平均年齢50歳の健康な男性に抗酸化ドリンクを摂取させ、活性酸素を抑制できるか確認しました。
DNAを分解する活性酸素は老化の元凶と言える物質です。
試験は成功でした。
30人がイミダゾールペプチド400mg、フェルラ20mg、ビタミンC300mg入りの抗酸化ドリンクを8週間飲み続けたところ、血液中の酸化障害スコアは15前後から10前後に下がったのです。
一方、プラセボを飲まされた37人のスコアは15前後から20以上に増加してしまいました。[6]
イミダゾールペプチドの長所は、体内で必要とする部分に届くこと。
摂取されたイミダゾールペプチドは、ヒスチジンとβ-アラニンというアミノ酸に分解されて血液に運ばれ、脳や筋肉に届いて再合成され抗酸化作用を発揮します。
特に他の抗酸化物質は脳でブロックされますが、イミダゾールペプチドは脳内で再合成されるので一層効果が期待できるのです。
イミダゾールペプチドは今後要注目の成分!
以上見てきたように、イミダゾールペプチドは肉体疲労や精神疲労を緩和し、疲労感も軽減して疲労回復が実感でき、その上脳の機能改善、認知症や老化の防止にも役立つことが分かっています。
健康づくりにはいいことづくめの成分といえるでしょう。
副作用については、2008年に大阪市立大学と医薬品会社の研究グループが臨床試験を行なっています。
この試験では12週間にわたって23人にイミダゾールペプチド400mg配合ドリンク60ml、21人にプラセボドリンクを飲んでもらいましたが、血液や尿を比較検査しても、アミノ酸などの一部成分の濃度以外差がないと確認しました。
期間中イミダゾールペプチドグループでかぜ症状2件と頭痛2件、プラセボグループでかぜ症状4件と頭痛2件が発生しましたが、いずれも市販かぜ薬を飲んで数日で全快したので副作用ではないとのことです。
なお、イミダゾールペプチド摂取グループでは、主観的疲労度(VAS)の改善が見られました。[7]
同じ研究グループは、同年に過剰摂取の臨床試験も行なっています。
こちらでは、23人が1200mg配合ドリンク180mlを4週間摂取し、プラセボドリンクを飲んだ21人と比較しました。
結果は前の試験とほぼ同じで、血液も尿も一部アミノ酸などを除き差はなし。
期間中、一部の人にかぜや腹痛は見られたものの数日で全快したので副作用ではないとしています。
さらにイミダゾールペプチド摂取グループでは疲労感が軽減、となりました。[8]
以上から、イミダゾールペプチドは1日400mg摂取で効果が期待でき、1200mgまで摂取しても問題ないといえます。
摂取方法ですが、肉を食べれば摂取は可能です。
例えば鶏のむね肉には100gあたり約1200mg、ブタのロースやもも肉にも同800~900mg前後、カツオにも800mg程度含まれています。
ただし、ゆでたり焼いたりすると大部分が流失してしまうので、含有量を全て摂取したいなら、煮汁ごと摂取しなければいけません。
毎日鶏肉、ブタ肉、カツオのローテーションもつらいですし、塩分や油分が入った煮汁を飲むのはどうかとも思いますよね。
ここはやはり配合量が明記されたサプリで摂取した方がよさそうです。
1日200~400mgから始めて、効果に応じて最大1200mgまで試してみてはいかがでしょうか。
※記事の内容は、効能効果または安全性を保証するものではありません。サイトの情報を利用し判断及び行動する場合は、医師や薬剤師等のしかるべき資格を有する専門家にご相談し、ご自身の責任の上で行ってください。
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