医薬品指定されているアシュワガンダとは?11の効果と副作用

公開日:2019/08/17
更新日:2022/02/09

アシュワガンダの効果と副作用の危険性

医療用ハーブとして海外で人気の「アシュワガンダ」。
一体なぜ日本では販売されていないのでしょうか?
アシュワガンダにはどんな効果があるのでしょうか?
副作用の危険性はあるのでしょうか?
11個の効果と副作用のリスクを解説します。

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    MASAJI(STERON編集部)

アダプトゲンという言葉が健康食品界隈を賑わせていることを知っていますか?体に無毒でストレス耐性向上に効果的なハーブなど自然由来の成分のことを指します[1]。今回ご紹介するアシュワガンダはまさしく、アダプトゲンとして古来から愛用されています[2]

しかし、日本国内では2013年の法改正によって医薬品としての扱いになったため、一般的なドラッグストアや薬局では購入できなくなりました[3]

今回は、そんなアシュワガンダに期待できる効果と、なぜ医薬品として指定されているのか、副作用の危険性などを、徹底解説します。

 

アシュワガンダの正体

アシュワガンダの抽出前と後

アシュワガンダは、インドを原産国とする高さ1.5mほどの背の低い樹木です。その独特な臭いから、ヒンズー語では「馬のにおい」と名付けられており、実際にツーンとしたにおいがします。

実は3000年もの古来からストレスの解消や滋養強壮、集中力の向上効果があるとして愛用されています[4]アーユルベーダ(インドの伝統医学)でも非常に重要なハーブの1つとして数えられいるのです[5]

その効果効能はこれまでに多くの研究によって証明されており、メカニズムもある程度判明しています。イランの大学(Shahid Beheshti University)によるとアシュワガンダにはステロイドと似たような成分であるウィタノライドが高い濃度で含まれており、これが効果効能の基だそうです[6]

 

主な作用や効果効能

それでは早速アシュワガンダにはどんな効果効能があるのかを紹介します。専門機関によって有効性が確認されている11の効果効能を解説します。

 

効果1.血糖値の低下

糖尿病

日本には1,000万人もの糖尿病有病者がいると言われています[7]。技術の進歩とともに、安全性の高い薬は数多く出てきておりますが、それでも、医薬品には常に一定の副作用のリスクが存在します[8]

天然の植物であるアシュワガンダにも糖尿病の予防や改善に効果を発揮する可能性が示唆せれています。

これまで行われた実験では、アシュワガンダによる糖尿値の減少が複数報告されています。また、イスラエルの研究施設(Judea Regional Research and Development Center)で行われた実験では、インスリンの分泌量が増え筋肉細胞内でのインスリンの反応が改善しました[9]

実際に人間を対象にアシュワガンダを摂取させた実験でも医薬品と同等レベルで糖尿値が減少していることが報告されています。

例えばインドの伝統医学を研究する施設(Sri Satya Sai Institute of Higher Learning)が発表した論文によると、30日間アシュワガンダの粉末を摂取し続けた被験者の糖尿値は、同じ期間糖尿病の薬を飲んでいた別の被験者と同程度減少していました。さらに尿の量が増え、尿内の物質から測る健康度合いも改善していたとのことです[10]

 

効果2.抗ガン作用

癌細胞

アシュワガンダにはガンの改善効果も期待されています。動物を用いた実験と、試験管を用いての実験では、アシュワガンダががん細胞をアポトーシス(細胞が自動的に死滅する状態)へと変化するように促す効果があることが確かめられています[11]

アシュワガンダのエキスは、がん細胞の中でROSの組成を促す作用があると言われており、そのROSの作用で、がん細胞がアプトーシスの状況へと陥りやすくなると考えられているのです[12]

アシュワガンダの作用に注目されている理由は、特定のガンだけに対して効果があるわけでなく、体中のがん細胞に対して効果がある可能性が確認されているため。動物実験ではこれまでに、乳がん、肺がん、脳腫瘍、卵巣ガン、大腸ガンに効果があることが確認されています[13][14][15][16][17]

ただし、いずれの実験もこれまでの対象は動物のみであり、アシュワガンダが人間内で増殖したがん細胞に対しても有効なのかどうかはまだわかっておりません。

 

効果3.コルチゾールの低下

コルチゾール

コルチゾールとはテストステロンと逆相関関係にあるホルモンの一種です。

コルチゾール本来の働きは筋肉にエネルギーを運べる状態を作り出すことである[18]ため、分泌量が増え過ぎるとエネルギー源である脂肪を体に残しておこうとする作用が働き、肥満に繋がります[19]。またテストステロンの材料となるDHEAと同じプロセスで分泌されることから、コルチゾールが増えるとテストステロンが減少する事も確認されています[20][21]

つまり必要量以上のコルチゾールが分泌されてしまう事で男性機能に悪影響が発生するリスクがあるのです。

インドの研究施設(Reseach and Development Center)がアシュワガンダ抽出物を被験者に2カ月間摂取させた結果、コルチゾールの量が明らかに減少した事が確認されました。1日250mgを摂取していたグループは、摂取前と比較して約30%もコルチゾールが減少しました[22]

 

効果4.ストレスと不安を減らす

ストレス緩和

コルチゾール量を減少させて適正値に保つ事で、ストレスやうつ症状、イライラ等精神状態の悪化を改善する効果も期待出来ます。

カリフォルニア州立大学がネズミを用いて行った実験では、アシュワガンダ抽出物が神経システム内に存在する特定の化学物質をコントロールすることで、脳内ストレスを感じる部分への信号伝達をブロックすることが出来たと報告しています[23]

もちろん人間に対する実験でも、アシュワガンダのストレス改善効果の有効性は確認されています[24][25]

インドの病院(Asha Hospital)が行った慢性的なストレスを抱える64名の被験者に対する実験では、アシュワガンダを60日間摂取したグループは、69%も不安感が軽減したと回答しています[26]

働く人の7割がなんらかのストレスを日々感じているという調査もあるほど、日本はストレス大国[27]。天然の植物によるストレス改善も今後選択肢の一つになっていくかもしれませんね。

 

効果5.テストステロンの分泌促進

テストステロン

男性として魅力的でいるための強い精力や性欲等の性機能は男性ホルモンの一種であるテストステロン量に大きな影響を受けています。アシュワガンダはテストステロンの分泌を増やし、男らしさを向上させる効果も期待されています。

インドの病院(State Government T. T. Hospital)で150名の男性を対象に行われた実験では、アシュワガンダを摂取した男性グループは、体内の酸化物質量が減るとともに、テストステロンの体内量の増加が確認されました[28]

性欲減退や活力低下の大きな原因がテストステロン量の低下です。年齢と共にテストステロン量は低下する傾向にあり、40歳頃からは特に大きく減少するケースが多いのです。活力や精力低下を感じる中高年男性からもアシュワガンダは注目されています。

オーストラリアで行われた40歳から70歳の男性を対象に行った実験では、8週間の継続的な摂取により、平均してテストステロンが14.7%、DHEA-Sが18.0%も増加しました[29]。この数値はテストステロン量において、として10歳から15歳程度の若返りと同等に値します[30]

 

効果6.精子を増やす

健康的な精子

不妊症のカップルのうち、約半分は男性にもなんらかの問題があることを知っていますか[31]?そのうちほとんどが精子の数や運動量不足です。男性の精子の質や量は男性不妊の一番の原因なのです。

アシュワガンダは妊活に取り組む男性からも注目されています。その理由がアシュワガンダが持つ強い抗酸化作用による精子の質を高める効果です[32]

インドのC.S.M. Medical Universityで行われた実験では、5,000mgのアシュワガンダを毎日3ヶ月間摂取した男性は、精液中の抗酸化物質の量が増加し、精子の質も飛躍的に改善した事が確認されました[33]。被験者は全員不妊症で悩んでいた男性だったようですが、この実験中に全体の14%が妊娠しています。

 

効果7.筋肉量の増加

筋肉質の男女

最近、健康維持のためにジムに通う男性が増えています。逞しく魅力的な体を作り上げることで、健康を維持できるだけでなく女性からもモテるようになるため一石二鳥ですね。

より効率的に筋肉を鍛えて、より強い力を発揮する目的でアスリートからもアシュワガンダの効果は注目されています。

インドで行われた実験では、健康的な男性が750mgから1250mgの粉末上のアシュワガンダを30日間摂取した結果、筋肉の密度が高くなり筋力が向上した事が報告されています[34]

別のインドの医療系大学(SrimatiKashibaiNavale Medical College)が行った実験では、57名の男性を対象に、300mgのアシュワガンダを8週間継続的に摂取させました。その結果、腕の太さが摂取していないグループと比較して3.3cm太くなり、胸部は1.9cmも太くなったとのことです[35]

実際に海外の筋トレ用のサプリではアシュワガンダを含む製品がたくさん存在しています。

 

効果8.炎症予防

体の免疫

アシュワガンダには炎症を予防したり、治めたりする効果があることも動物実験からわかっています[36][37][38]。古くからアシュワガンダはケガや傷治療にも利用されてきた植物です。

これはアシュワガンダにナチュラルキラー細胞の活動を活発化させる作用があるためです[39]。ナチュラルキラー細胞とは、感染症や腫瘍細胞に抵抗する細胞のことで、活発化することでガンなどの予防にも効果があると言われています[40]

また炎症が発生すると増加する炎症マーカーのC反応性タンパク質を減少させる作用があることも確かめられています。250mgのアシュワガンダを毎日摂取していた被験者は36%もC反応性タンパク質が減少したと報告する論文も発表されています[41]

 

効果9.悪玉コレステロール減少

血管内の悪玉コレステロール

年齢を重ねると気になってくるのが悪玉コレステロールではないでしょうか。血管内にコレステロールの層が形成され、徐々に血管が硬くなり、動脈硬化へと繋がります[42]。男性の場合はその結果EDの症状に悩むケースも少なくありません[43]し、最悪の場合血管が詰まって心筋梗塞で突然死亡するなんて可能性もゼロではありません[44]

アシュワガンダを摂取することで、コレステロール値を下げてより健康的な生活が送れるようになるかもしれません。これまでに、動物実験でも人間に対する実験でもコレステロールを下げる効果が確認されています。

インドの Sardar Patel Universityが行った実験では、1.5mgのアシュワガンダを毎日摂取していたネズミは、コレステロールが53.01%も減少したとのこと[45]

また人間を対象にした実験では、60日間250mgのアシュワガンダを摂取していた男性の悪玉コレステロールが平均17%も減少した事が確認されています[46]

 

効果10.脳機能の向上

肝臓の異常

意外かもしれませんが、アシュワガンダには記憶力向上など脳の機能を高める効果も確認されているのです。

エネルギーの代謝物であるフリーラジカルは神経細胞も傷付けてしまうのですが、アシュワガンダの抗酸化作用は、このフリーラジカルによる細胞損傷も防ぐ効果があるのです。怪我によって脳に損傷を負ったネズミを用いた実験では、アシュワガンダを与えたことによって、空間記憶能力を取り戻したとのこと[47]

また20名の健康的な男性が500mgのアシュワガンダ14日間摂取したところ、問題に対する反応速度や選択肢の識別能力、認識能力などの認知能力が明らかに向上したとのことです[48]

記憶力の向上も2017年の論文で発表されています。50名の被験者に300mgのアシュワガンダ錠剤を1日二回、8週間摂取させた結果、記憶力を測るテストが飛躍的に改善したとのことです[49]

実際に海外では集中力や脳機能を高めるスマートドラッグの成分としてもアシュワガンダは人気になりつつあります。

 

効果11.睡眠の質改善

質の良い睡眠

約3,000万人もの日本人が慢性的な不眠に悩んでいることを知っていますか[50]?実はアシュワガンダには睡眠の質を改善する効果が期待されています。特にアシュワガンダのエキスが含まれた水を定期的に飲むと、眠りの質が高まるとされています。

これは、水出ししたアシュワガンダに豊富に含まれるトリエチレングリコールの作用です。インドで行われた実験では、10mg〜30mgのアシュワガンダを摂取したネズミは、ノンレム睡眠の時間が劇的に増加し、総レム睡眠時間も増えたとのことです[51]。この結果からアシュワガンダの抽出成分は、将来的に不眠症の改善に役に立つのではないかと研究者は結論付けています。

またアシュワガンダには睡眠を妨害する精神的ストレスを改善する効果も確認されているため、天然の睡眠導入剤としても注目が集まっています。

 

副作用のリスクや服用の危険性

医師が反対する

非常に多くの健康効果が期待できるアシュワガンダですが、副作用や危険性があるために日本では医薬品として指定されています。つまりサプリとして販売するのは違法行為に当たります。

実際に、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所が、2017年にアシュワガンダの健康被害を報告しています。

アシュワガンダを記載されていた推奨用量の2~3倍に増量して1ヶ月程度継続摂取していたところ、黄疸、皮膚掻痒感を生じて医療機関を受診。肝機能障害のためアシュワガンダの摂取を中止したが症状が遷延し、抗ビリルビン血症の増悪、胆汁栓が認められ、受診前に摂取していた医薬品の中止と加療により改善した。DDW-J 2004 薬物性肝障害診断基準で8 点 (可能性が高い) と評価された (引用:国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所

また、アシュワガンダを配合した製品を摂取した後に動悸や倦怠感など健康上の問題もインドでは報告されています。12件の健康被害の報告のうち、3名は最終的に死亡しています[52]。このような副作用のリスクが原因でアシュワガンダは日本では医薬品に指定されています。

一方でアメリカでは、アシュワガンダのサプリは簡単に購入することができます。医療情報データベースのWebMDでは、比較的安全であると結論付けているのも事実です[53]

とはいえ、日本人とアメリカ人では食品に対する耐性も異なります。たとえオンラインで購入しても、飲み始める前にかかりつけの医師へ相談することをおすすめします。

 

アシュワガンダを含む代表的なサプリ

日本でアシュワガンダは医薬品指定されているため、基本的には海外からの輸入品を購入する必要があります。海外製サプリの輸入を行っている通販サイトが「iHerb」です。iHerbで販売されているサプリの中で人気の高い製品を3つほど紹介します。

 

Jarrow Formulas|コスパ良し

jarrow formulas

取り合えずアシュワガンダを試してみたいという方にはJarrow Fomulasのアシュワガンダサプリがおすすめです。1日1カプセルを飲むと、300mgのアシュワガンダを摂取することが出来ます。

まとめて購入すれば、1日分が10円以下になるのもうれしいポイントです。バランスの良い配合量と値段から、初心者におすすめの商品です。口コミも5点満点中4.3点と高評価です。

 

Nowフーズ|配合量重視

now foods ashwaganda

アメリカの健康食品大手のNow Foodsが販売しているサプリにはアシュワガンダが450mgも配合しているため、配合量重視で決めたい人におすすめのサプリです。

値段もJarrow Fomulasと大きく変わりません。アシュワガンダの粉末を閉じ込めるために使用しているカプセルの質が高くないようで、開封後しばらくすると黒くなってきたという口コミも見受けられます。とはいえ、Amazonでもシトルリンサプリなどが大人気のNowフーズの商品なので、信頼性は高いと言えるでしょう。

 

California Gold|口コミ重視

california gold ashwagandha

口コミの評価が最も高いのがCalifornia Goldのアシュワガンダサプリです。5点満点中4.6点で、75%の人が5つ星の評価をつけています。

アシュワガンダの配合量は1日分で450mg。推奨の部分にも医師からのアドバイスを受けることとしっかりと記載されているのも信頼できるポイントです。

16米ドル(約1,700円)で3ヶ月分も購入できるので、コスパも悪くありません。どれを購入すれば悩んだときにはCalifornia Goldの商品がおすすめです。

 

【まとめ】危険性を理解したうえで利用を検討しよう

今回紹介したアシュワガンダは睡眠促進や精力向上、ストレス緩和など現代人の抱える悩み改善にとって魅力的な効果効能がある天然由来の植物です。

しかし忘れていけないのは日本では副作用に一定の危険性があるため、医薬品として指定されているという事です。つまり海外のサイト経由でアシュワガンダサプリを購入するという事は医薬品の個人輸入と堂々の危険性が伴うという事です。

天然由来の植物であるため、深刻な副作用発生の頻度はそこまで高くはありませんが、日本で危険視されている事は忘れてはいけません。リスクを理解したうえでの服用をおすすめします。

また男性の場合であれば国産の精力剤の利用が個人的な一番のおすすめです。安全性の確認されている天然由来の成分を原料にテストステロンの分泌促進や活力向上、性機能改善などアシュワガンダの効果効能と近いメリットも期待出来ます。

※記事の内容は、効能効果または安全性を保証するものではありません。サイトの情報を利用し判断及び行動する場合は、医師や薬剤師等のしかるべき資格を有する専門家にご相談し、ご自身の責任の上で行ってください。

  • 記者 WRITERMASAJI(STERON編集部)

    STEORN編集部
    「性をロジカルに」をモットーに記事を執筆。これまで感覚的に語られてきた”性”というテーマを学術的・科学的根拠に基づいて伝えていきたい。ティーコンシェルジュの知識を活かし、健康問題の解決に向けたハーブティーのブレンドもこなす。

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