大豆で筋肉はつかないは嘘!本当は筋肉に効果的な理由13選

公開日:2023/09/20
更新日:2023/09/30

大豆

畑の肉とも呼ばれる大豆。
豊富なたんぱく質で有名ですが、果たして筋トレにも効果的なのでしょうか?
今回は筋トレと大豆の関係について調べていきしましょう!

  • 記者 WRITERステロンライター
    Gen

巷では大豆を食べても筋肉がつかない、といううわさがまことしやかにささやかれているそうです。

しかし本当にそうなのでしょうか。

今回は大豆が筋肉に効く食物なのかどうか、徹底解明していきます!

まずは大豆の成分を解析

大豆にはどんな成分が含まれているのか、まずはその詳細を確認していきます。

成分名含有量(100gあたり)
たんぱく質33.6g
脂質22.6g
食物繊維総量17.3g
炭水化物30.7g
ナトリウム2mg
カリウム1800mg
カルシウム250mg
マグネシウム250mg
リン580mg
9mg
亜鉛3.5mg
1.11mg
マンガン2.54mg
ヨウ素0μg
セレン1μg
クロム1μg
モリブデン660μg
β−カロテン15μg
ビタミンEα−トコフェロール4.8mg
ビタミンEβ−トコフェロール0.7mg
ビタミンEγ−トコフェロール20mg
ビタミンEδ−トコフェロール6.4mg
ビタミンK36μg
ビタミンB10.77mg
ビタミンB20.29mg
ナイアシン2.2mg
ビタミンB60.45mg
葉酸220μg
パントテン酸1.68mg
ビオチン33μg
食塩相当量0g

三大栄養素、ビタミン、ミネラルを豊富に含んでおり、健康に良い食物であることは一目瞭然。[1]

特にたんぱく質が豊富で、牛肉の2倍に相当するほどの驚異の含有量となっています。[2]

くわえてアミノ酸スコアで100を記録するなど、栄養面では非常に筋トレに向いているのは間違いなし。[3]

そんな大豆がなぜ筋トレに効かないとうわさをたてられているのか、真相に迫っていきましょう。

大豆は筋肉に効果がないといううわさは本当?

疑問

大豆が筋トレに効かないといわれている理由はおもに以下2つのうわさが原因と推測されます。

詳しく見ていきます。

1.”大豆のイソフラボンが体を女性化させる”という根拠の薄いデマ

”大豆に含まれるイソフラボンが体を女性化させ、筋肉の成長をさまたげる”というデマが流布されています。

大豆のイソフラボンの分子構造が女性ホルモンのエストロゲンと酷似しているというのは事実。[4]

しかし適正量を摂取する分には栄養面でもまったく問題はなく、世間で言われているような女性化現象も発生しません。

2021年には男性1,239人を対象にした実験も確認されたが、女性化は引き起こされなかったのが確かな裏付け。[5]

大豆のイソフラボンが体を女性化させるのは根拠の薄いデマだと断ずるべきでしょう。

2.”イソフラボンが男性ホルモンのはたらきを抑制する”のも大きな誤解

”イソフラボンが男性ホルモンのはたらきを抑えてしまう”というのも正しく情報を理解できていない人による誤解です。

そもそも女性ホルモンとは卵胞ホルモンのエストロゲンと黄体ホルモンのプロゲステロンの2つで構成されているもの。[6]

後者のプロゲステロンには男性ホルモンのはたらきを抑える効果が確かにありますが、イソフラボンと構造が似ているエストロゲンにそういった効果は一切ありません。[7]

2023年現在イソフラボンが男性ホルモンを抑えるという科学的な証左はゼロ。

正しく情報を理解し、デマに踊らされないようにしましょう。

 

【畑の肉】大豆が筋肉に効果的な理由13選を一挙紹介!

大豆が筋肉をつけるためになぜ向いているのか、含まれている栄養素をベースに詳細を解説します。

1.大豆のたんぱく質で筋合成能力が強化

大豆に含まれるたんぱく質が筋合成のはたらきを強めてくれます。

理由はアミノ酸の1種であるロイシンのはたらきによるもの。

立命館大学の教授によるとたんぱく質を構成するアミノ酸ロイシンの血中濃度が上がることで、食事後1~2時間の筋たんぱく質の合成速度が2倍にまで上昇。[8]

脳下垂体前葉から分泌される成長ホルモンにも似たような効果があり、たんぱく質の代謝と合成を促し体に筋肉として蓄積させる効果もあるんです!

成長ホルモンは睡眠直後が一番活発に分泌されるフィーバータイム。

トレーニング後の大豆を摂取し、ぐっすり眠って筋肉をしっかりと増やしていきましょう。

2.糖質が筋肥大効果を促す

大豆に含まれる糖質も筋肉を増やすサポートをしてくれるんです。

理由は糖質摂取をトリガーに分泌されるインスリンのはたらきによるもの。

インスリンは筋肉へエネルギーを運ぶ役割を担っています。

糖質の摂取により膵臓からインスリンが分泌され、筋肉が動くためのエネルギー供給をしてくれるというわけ。

東京大学で2001年に行われた実験では、6チームに分けたマウスに段階的にインスリンを投与したところ、投与しなかったチームと投与したチームで一部筋肉で75%もの筋肥大が確認されています。[9]

大豆の糖質でインスリンを分泌させて、健康的なボディメイクに励みましょう。

 

3.マグネシウムが運動パフォーマンスを上げて筋トレをサポート

大豆に含まれるマグネシウムが運動パフォーマンスをも上昇させてくれます。

英国で18~79歳の女性2,570名に対し実験を行ったところ、マグネシウム摂取量が増えるにつれ最大で除脂肪量(FFM)において2.6%、除脂肪体重指数で0.4kg/m2、脚の瞬発力(LEP)で19.6ワット/kgの差が出る結果に!

これはたんぱく質と比較してFFMで7倍、LEPで2.5倍にものぼる衝撃の数値です。[10]

大豆に含まれているたんぱく質とかけ合わされば、たんぱく質とマグネシウムの相乗効果で筋トレ効率が爆増すること間違いなし。

より重いウェイトを上げていけるように大豆の摂取を欠かさないようにしましょう。

4.リンが筋委縮を防いで筋肉を活性化する

筋肉量の低下

大豆は筋肉を活性化してくれる成分も含んでいます。

その正体は必須ミネラルであるリン。

リンは骨や髪の生成に関わる人体に不可欠なミネラルの1種です。

ドイツのユトレヒト大学で2019年に行われた研究では、36頭の経産牛をリンを与えるチーム、与えないチームの2つに分けて実験を実施したところ、後者のチームでリン欠乏が進行するにつれ肋間筋や大腿二頭筋で神経筋機能の障害を示す運動単位の活動電位に対する無症候性が確認される結果に![10]

この事実はリンの継続的な摂取によって筋肉が活性化する裏付けです。

大豆からリンを補給して筋肉を活躍させていきましょう。

5.ビタミンEが血流を良くしてパンプアップ効果上昇

血液循環

大豆に含まれるビタミンEがパンプアップに効果的にはたらいてくれます。

ビタミンEが血流を良くしてくれるのがその理由。

ビタミンEが血管の老廃物を流し去ってくれることで血液の循環が良くなり、パンプアップに効果を発揮するメカニズム。

アメリカで行われた45歳以上の健康な女性39,876名を対象にした研究では、ビタミンEの摂取により血栓を予防できることが判明しており、10年後の血栓発生リスクが20%も低下したことも確認されたんです![11]

仮に血栓ができた状態で筋トレを行ってしまえば、血圧の急上昇で血管が破裂したり詰まるなど脳心血管疾患などの重篤な病気の原因になることも。

大豆を食べてしっかりとパンプアップできるボディを手に入れましょう。

 

6.アミノ酸のグルコース合成によって糖が代謝されやすくなる

大豆はボディメイクもサポートしてくれます。

理由はアミノ酸のひとつであるロイシンが効果的にはたらいてくれるから。

ロイシンはグルコース合成に作用する上に、インスリンの分泌促進により糖代謝を促進し、筋肉の増加や体脂肪の減少をサポートしてくれるまさに万能の成分![12]

実際、血液中のロイシン濃度が高いほど筋たんぱく質の合成が活性化されているという研究も報告されています。

ロイシンを豊富に含む大豆を摂取して、美しい体を作り上げていきましょう。

 

7.バリン・ロイシン・イソロイシンが筋肉痛緩和に寄与する

大豆に含まれるたんぱく質も筋肉疲労を緩和します。

バリン、ロイシン、イソロイシンの総称、分岐鎖アミノ酸(BCAA)がその理由。

2017年の仙台大学大学院スポーツ科学研究科の研究でBCAAを摂取して非利き腕で行ったダンベル運動を行ったところ、BCAAを摂取しなかったときと比較して筋肉痛をおよそ半減できたと報告されました![13]

BCAAを上手に摂取して筋肉痛と効果的に付き合っていきましょう。

 

8.ビタミンEが筋組織を回復させトレーニング効果促進

ビタミンE

大豆に含まれるビタミンEには筋組織を回復させてくれる効果も期待できます。

カナダで行われた研究では、ビタミンEが筋肉損傷を回復させる作用を持つ可能性が示唆されているほど。[14]

さらにビタミンEはビタミンCとあわせて摂取することで効果が増幅されます!

アメリカで行われた研究では、男性サイクリスト7名に対して、プラセボ(偽薬)、ビタミンE、ビタミンC、ビタミンEとCを摂取させ、運動後の体の変化を調査。

その結果、ビタミンEとCの組み合わせで、もっとも高い筋肉損傷の軽減効果が確認されたんです![15]

ビタミンCを豊富に含むブロッコリーや魚肉とあわせた大豆の摂取がおすすめ。

 

9.亜鉛と脂質でテストステロン産生が増え筋増量に効果てきめん

大豆には筋肉を増やす効果も期待できます。

理由は大豆に含まれる亜鉛や脂質がテストステロンの原料となってくれるから。

テストステロンは男性ホルモンのひとつであり、筋肉の合成など男らしさを司っています。

米国ウェイン州立大学医学部内科で20~80代の男性40名に対して行われた1996年の実験によると、高齢者、中年、若い世代いずれでも亜鉛を制限した人はテストステロン値が低下する結果に。

若い男性グループでは顕著に反応が出ており、血中の亜鉛濃度が39.9から10.6nmol/Lまで落ち込んでしまったんです![16]

脂質も亜鉛と同様にテストステロンの原料になっているため、両方を含む大豆はまさに筋肉のための食材。[17]

テストステロンは、20~30歳をピークに少しずつ減少してしまいます。

筋肉をしっかりとつけたい方は、大豆を取り入れてテストステロンを分泌させるサポートを行いましょう。

 

10.トリプトファンによる良質な眠りで健康な筋肉をGET

 

トリプトファン大豆のたんぱく質が睡眠の質を向上させてくれます。

理由はアミノ酸の一種、トリプトファンの効果によるもの。

トリプトファンには睡眠の質を上げる効果があり、2022年にシンガポール国立大学理学部食品科学工学科より発表された研究によれば世界中の論文から18件の論文を選出してメタ分析を行ったところ、19歳以上を対象とした実験においてトリプトファンを1g以上摂取した場合に入眠後の中途覚醒の割合が0.017と有意に減少することが明らかになっています。[18]

睡眠不足でトレーニング中に怪我をしてしまったら折角の努力が台無し。

トリプトファンでよい睡眠を獲得し、健康なトレーニーを目指しましょう!

 

11.食物繊維が腸内環境を良くして免疫力爆増

大豆に含まれる食物繊維が免疫力もあげてくれます。

免疫機能で大きな役割を担う腸内環境を正常化してくれるのが最大の理由。

人間の免疫細胞は約60%が腸内で生成されており、腸内を健康に保つことは免疫向上に欠かせません。

2021年に米国スタンフォード医科大学生物工学科の実験によれば、36人のランダムな成人被験者を通常の食事を行うグループと高繊維食を摂る2つのグループに分けて10週間にわたって経過を観察したところ、高繊維食を摂取したグループで腸内細菌叢の多様性が明らかに増加したことが確認され、免疫機能の向上に寄与していることが判明![19]

高強度の運動をすると免疫機能を抑制するコルチゾールが分泌されるため、強い筋トレをするほど体調を壊しやすくなることもわかっています。[20]

コルチゾールに打ち勝つためにも、大豆で腸をケアして元気な体を作っていきましょう。

 

12.カリウムが筋力低下を防いでバルクキープ

大豆のは筋力の低下すら防ぐ効果が期待できるんです。

大豆に含まれるミネラル、カリウムがその立役者。

2020年の韓国で行われた調査では19歳以上の男女16,558名に関するデータを分析し、食事からのカリウム摂取と骨格筋量との関係を評価したところ、男性の場合はカリウム摂取量が少ないと筋量が低下する示唆が報告されています。[21]

せっかくトレーニングを頑張って筋肉をつけたのなら低下させずに維持したいと思うのが人の常。

筋量維持のためにも大豆を積極的に摂取していきましょう。

 

13.大豆のイソフラボンが美肌の源になる

大豆が美白効果ももたらしてくれるのは意外ではないでしょうか。

美肌を作るキーパーソンは大豆に含まれるイソフラボン。

イソフラボンは植物エストロゲンと選択的エストロゲン受容体モジュレーターの両方として分類されます。

それによってイソフラボンがエストロゲン受容体にはたらきかけ、皮膚の健康状態をひきあげ保水力の向上やしわの改善につながる効果が認められたという報告があるほど。[22]

筋肉がすごくても肌が荒れていては魅力も半減してしまいます。

鍛えた筋肉を健康な肌でより美しく磨き上げていきましょう!

 

大豆の恵みで筋肉を喜ばせよう!

大豆が筋肉に効果的な理由を13個紹介しました。

大豆は畑の肉といわれるほどたんぱく質が豊富で、近年ではビーガンなど動物性食品を摂らない人たちの貴重なたんぱく源にもなっています。

筋肉には効かないという非科学的なうわさは無視するのが一番。

ぜひ高栄養価の大豆を摂取して筋肉を喜ばせてあげてください。

 

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  • 記者 WRITERGen

    ボクシング歴9年の猛者。独学で学んだ筋トレの知識はプロのボディビルダーに匹敵する。専門知識に基づいた情報をお届けする。

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