カルニチンは男性妊活に効果的?7つの研究データ

公開日:2023/01/07
更新日:2023/01/13

カルニチンはダイエットサプリなどでよく見かける成分ですね。
実は、カルニチンは男性の妊活にも効果的と考えられており、世界各国で研究が進められています。
今回はカルニチンが精子に及ぼす影響と妊活への効果を、実際の研究データを基に解説していきましょう。
妊活を考えている男性はぜひ参考にしてくださいね。

  • 記者 WRITERSTERON編集部
    ニュース担当

そもそもカルニチンとは?

妊活をする男性にはカルニチンがおススメです。

カルニチンはアミノ酸由来の物質で、長鎖脂肪酸を細胞内のミトコンドリアに運んで燃焼させ、エネルギーを生み出す成分。

ミトコンドリアで発生する有毒物質(アシルCoA)を運び出す働きもあります。

人体でも合成され、安全だと考えられているので、治療でも実に多様な目的で使用されている成分です。

アメリカ国立衛生研究所(NIH)によれば、カルニチンは運動能力改善、老化防止、認知症防止、さらには心臓病・がん・糖尿病・エイズ・腎臓病治療への効果が報告されています。

そして男性不妊症改善の可能性もあるとのこと。[1]

いいことづくめの成分で気になりますよね。

そこで本記事では、研究データに基づきカルニチンが精子に及ぼす影響と、男性妊活への効果をご紹介いたします。

 

カルニチンの男性妊活に関する効果5つ

 2016年にイタリアカターニア大学の研究グループが、「男性不妊におけるカルニチンの役割」というタイトルでレビューしていますので、内容を見ていきましょう。[2]

研究者たちの間では、カルニチンは精子に対して二つの役割を果たすと考えられています。

その一つは精巣上体での脂肪酸燃焼

精巣上体は精子を精巣から受け取って成熟させ、輸精管に渡す場所です。

ここにカルニチンがあると、精子が脂肪酸をエネルギー源として使えます。

もう一つは活性酸素の発生を押さえて生殖細胞の死(アポトーシス)を抑制すること。

これは精子の減少と異常発生の抑制につながるそうです。

この二つの働きによって、精子の量、活動性、質が改善すると臨床試験で確認されています。

 

1.精子の量を増やす

精子

2013年イタリア生殖医療学会(SISMeR’s)が、1年以上不妊に悩むOAT症候群の男性に対する臨床試験を行いました。

OAT症候群とは、精液中の精子の数が少なく、運動能力が低く、正常なものが少ない状態のことです。

突発性OAT症候群の男性がカルニチン3g(L-カルニチン2gとアセチル-L-カルニチン1g)を6ヶ月間摂取した後、精子の量(中央値)が1mlあたり1,210万個から2,060万個に増えています[3]

 

2.精子を活動的にする

精子

2003年にはローマにあるヨーロッパ男性学アカデミーによる臨床試験で、カルニチンが精子を活発にすると確認されています。

この試験では、86人の男性がL-カルニチン2gとプラセボ(偽薬)を2ヶ月ずつ服用して効果を比較しました。

カルニチン摂取時には被験者の活発な精子の量平均は1mlあたり540万個から900万個に増えましたが、プラセボ摂取時には同じグループでも560万個から740万個の増加にとどまっています。[4]

なお、上記2013年SISMeR’sの臨床試験でも、突発性OAT男性の精液中に占める活動的な精子(クラスA)の比率が11.0%から23.6%に増えたと報告されました。

 

3.精子の質を改善する

2005年、イタリアのマルケ工科大学では、2年以上不妊が続いた男性を対象に臨床試験を実施。

15人がL-カルニチン2gを摂取すると、6ヶ月には精液に占める異形の精子の比率が63.13%から54.87%に減りましたが、同じ期間プラセボを飲み続けた15人の異形精子は66.40%から67.27%に増えてしまいました。[5]

精子の質は2013年SISMeR’sの臨床試験でも改善しています。

6ヶ月後、突発性OAT男性の精液に占める正常な精子の比率は16.6%から27.3%に増加していたのです。

以上精子の量、活動性、質の改善効果を見てきましたが、特に2013年SISMeR’sの臨床試験の結果は注目に値します。

OAT症候群の基準は、精液中の精子の数が1mlあたり2,000万個未満、運動能力がクラスAの精子の比率が25%未満、正常な精子の比率が 30%未満です。

ですから、この試験の被験者は、突発性OAT 症候群をほぼ克服できたと言っても過言ではありません。

実際この臨床試験開始後6ヶ月間の妊活成功率は、プラセボ摂取グループではわずか1.7%にとどまりましたが、カルニチン摂取グループでは21.8%に上昇しています。

カルニチンはしっかりと実績を出せているようですね。

 

4.性器の炎症を防ぐ

カルニチンは精子を改善するだけではありません。

精液中の活性酸素濃度による性器の炎症も不妊と関係があるとされ、抗酸化作用も期待されています。

1988年、ドイツマックスプランクの生殖医療研究グループが400人以上の不妊治療患者の精液を分析し、精液中のカルニチンなどの成分が少ないと精子の量が少なく、不活発になることを明らかにしました。[6]

 白血球や精子から活性酸素が過剰生産されると精液中の酸化ストレスが高まり、精巣上体から前立腺までの部分に炎症を引き起こして不妊リスクとなるそうです。

そこで、カルニチンと抗生物質や抗炎症薬を組み合わせた治療法で炎症を防ぐ研究が行われ、成果をあげています。[7]

 

5. 勃起障害(ED)を改善

さらにカルニチンには勃起障害を改善する効果も期待できます。

SISMeR’sは2004年に別の臨床試験を行い、男性ホルモン不足の高齢男性にプロピル-L-カルニチンとアセチル-L-カルニチンを2gずつ6ヶ月摂取してもらいました。

その結果をテストステロン160mgを服用したグループと比較したところ、黄体形成ホルモンの量、夜間勃起、勃起機能スコアなどでテストステロン服用と同等の効果があり、しかもうつ病スケールスコアや疲労度でも改善が見られたとのことです。[8]

イタリアのカターニア大学も、カルニチンとアルギニン、ビタミンB3を併用すると勃起障害の治療効果が高まったと2010年に報告しています。[9]

 

まとめ

いかがでしたか?

カルニチンは精子の状態を改善し、性器の炎症を防ぎ、勃起障害も改善する妊活の味方だと分かりましたね。 

摂取量ですが、国立の医薬基盤・健康・栄養研究所による「健康影響評価」では、日本人のカルニチン必要量は1日200mg、1日摂取目安量は1,000mgとされています。

また、体内での生成量は1日20mg、食事からの摂取量は1日100~300mgと程度とのこと。

差し引きすると、1日680~880mgをサプリ等で摂取しても問題ないことになりますね。

また、アミノ酸の一種であるカルニチンは、必要以上に摂取しても代謝され排出されるので、比較的安全と言われています。[10]

オレゴン大学のホームページによると、食事からの摂取量は100g換算(牛乳は240ml)で以下の通りです。[11]

  • ビーフステーキ:約95mg
  • 牛ひき肉:約94mg
  • ブタ肉:約28mg
  • ベーコン:約24mg、
  • マダラ約:6mg
  • アメリカンチーズ:約5mg
  • 鶏むね肉:約3.5mg
  • アイスクリーム:約2.6mg
  • 牛乳(約240ml):約8mg

カルニチンを500mg摂取するだけでも牛肉で毎日500g以上、牛乳では14リットル以上飲まないといけません。

それはさすがに無理なので、サプリで摂取する方法が良いでしょう。

摂取上限は、臨床試験で特に問題がなかった1日2~3g以下とした方が無難と考えられます。

安全で効果も確認されているカルニチン、妊活を考える男性にはイチオシの成分です。

 

※記事の内容は、効能効果または安全性を保証するものではありません。サイトの情報を利用し判断及び行動する場合は、医師や薬剤師等のしかるべき資格を有する専門家にご相談し、ご自身の責任の上で行ってください。

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