コエンザイムQ10は男性妊活に効果的?臨床データから解説!

公開日:2022/10/24
更新日:2022/10/27

疲労回復や肥満解消、美容などで注目されているコエンザイムQ10。
実は男性の妊活にも役立つことをご存知ですか?
今回はコエンザイムQ10の男性妊活への影響を、5つの臨床データに基づいて解説していきます。
すでに妊活に取り組んでいる方も、何から始めれば良いかお悩みの方も、ぜひ参考にしてくださいね!

  • 記者 WRITERSTERON編集部
    ニュース担当

コエンザイムQ10の作用とは? 

健康成分としてよく知られているコエンザイムQ10は、妊活でもおすすめです。

コエンザイムQ10は「補酵素」と呼ばれる有機化合物の一種で、酵素の働きを助けて体内の代謝を促します。

人体で自然に生成され、心臓、肝臓、腎臓、すい臓に多く、肺では少なめ。

細胞内でのエネルギー生産と抗酸化作用の役割を果たす重要成分なので、様々な分野で研究されてきました。[1]

病気では心臓病、がん、認知症の治療、視力改善、健康な人にも運動のパフォーマンス向上、疲労回復、美肌効果、偏頭痛緩和などが報告されています。

そして妊活でも実績があり、しかも安全です。

そこでこの記事では、コエンザイムQ10の妊活効果を臨床データに基づいてご紹介します。

 

コエンザイムQ10の男性妊活に関する研究データ5選

 ここからは、コエンザイムQ10が男性の妊活にどう関係してくるのか、研究データを基に解説していきます。

 

1.抗酸化作用が精子に効く

周知の通り、妊娠するためには健康な精子が子宮にいる卵子に届いて受精が起こらなければなりません。

そこで重要なのが精子の質、特に精子の量、運動性、正常性です。

まず、射精した時の精子の数が多いほど、受精の確率が高まります。

次に、活発に動く精子が多いほど、子宮にたどり着く精子の数が増加。

さらに、正常な精子でなければ受精できません。

では、精子の質はどう判定するのでしょうか?

WHO(世界保健機関)が世界中の男性の精子を調査し、『精液検査マニュアル』(第6版)でその判定基準を公表しています。

精子検査マニュアル213ページの表によると、1年以内に妊活に成功した男性の95%の特徴は以下の通りです。

  • 1回の射精で精液が1.4ml以上
  • 精液1mlあたりの精子の数が1,600万個以上
  • 活発に運動する精子が42%以上
  • 正常な精子が4%以上

数値がこれより少なくて、避妊していないのに1年以内にパートナーを妊娠させられないのが、男性不妊のおおよその目安となります。[2]

不妊で悩む男女は精子や卵子の質に問題を抱えているケースが多く、不妊治療ではその改善に取り組んできました。

中でも特に問題視されてきた大敵が酸化ストレス

病気、ストレス、生活習慣、加齢などによって体内の活性酸素が増えると、重要なDNAやたんぱく質を傷つけてしまい、精子や卵子が正常に作れなくなります。

そこで抗酸化成分コエンザイムQ10の出番です。

男性が摂取すると精液に入り込んで過酸化物質の生成を押さえるので、精細胞への酸化ストレス緩和に効果があると考えられています。

女性が摂取すれば卵子を包む卵胞内部の液体に作用して、卵子の質や女性ホルモンを改善するそうですよ。[3]

 

2. 精子の質改善の実績

では、コエンザイムQ10はどこまで精子の質を改善できるのでしょうか?

臨床データで見てみましょう。

2018年、ルビーラ・イ・ビルジーリ大学などスペインの研究チームが28件の信頼できる臨床試験を選び出して、様々な抗酸化成分の精子への影響をレビューしました。

コエンザイムQ10の試験はその内5件で、被験者合計242人が3~6ヶ月間200~300mgを服用した結果、以下の通り精子の質が改善しています。[4]

  • 精子の量は射精1回あたり平均1,015万個増加、精液1mlあたり593万個増加
  • 精子の運動性は5.30%改善
  • 正常な精子の割合は1.06%改善

中でも、イランの泌尿器疾患の研究所による2012年の臨床試験で一番効果が出ています。

不妊男性228人中114人が200mgを6ヶ月間摂取したところ、プラセボ(偽薬)を摂取した114人に比べ、精液1mlあたりの精子が1,190万個増加、精子の運動性は10.40%改善、正常な精子の割合は2.80%改善したそうです。[5]

2022年には中国の川北医学院でも抗酸化成分に関する同様のレビューがあり、コエンザイムQ10は精子の運動性と量で他の成分より効果的と評価されています。[6]

 

3. テストステロンも増加?

コエンザイムQ10は、精子の質改善では安定の実績と言えそうです。

しかし、不妊の原因は精子の質だけではありません。

心身の疲労、心理的ストレス、性生活への不満などによる不活発な性行動、勃起不全(ED)なども妊活の障害です。

その点、コエンザイムQ10を用いた不妊治療の研究はほとんど精子の質改善に集中してきましたが、最近新しい視点も登場しました。

というのも、コエンザイムQ10はテストステロン増加でも効果があるかもしれません。

周知の通りテストステロンには精力を増強させる働きがあり、妊活でも期待できます。

2021年、マレーシアとパキスタンの三大学の研究グループが、28件の臨床試験の効果を相対評価しました。

不妊男性2,132人が試した成分は実に多様で、ホルモン(テストステロンやFSH)、SERM(女性ホルモン関連の治療薬)、ビタミン類、各種サプリなど20種類以上です。

その中でコエンザイムQ10は、摂取後のテストステロン量の変化について、平均差(MD)で2.77と最高評価を得ています。

なお、他の成分の評価はSERMが1.83、ホルモン類が0.40、ビタミン類に至っては−0.70で、プラセボよりテストステロンが減ってしまう結果になりました。

特に、コエンザイムQ10を飲むとウンデカン酸テストステロン(MD2.53)と同等の効果があるとの結果が興味深いです。[7]

ただし、2018年のヨルダンの大学研究者によれば、今までの臨床試験からは人体のテストステロンを大幅に増やすとまでは言えないそう。

一方、動物実験では、不妊のオスのテストステロン減少を食い止めた例が複数あるとのことです。

コエンザイムQ10は活性酸素だけでなく、フリーラジカルと呼ばれる有害物質も抗酸化作用で中和して、精巣内のライディッヒ細胞のダメージを防ぐとされます。[8]

ライディッヒ細胞はテストステロンなどを放出するので、男性機能にとって大変重要です。

コエンザイムQ10にはまだまだ未知の効能があるのかもしれません。

さらなる研究の進展に期待ですね。

 

4.男性妊活の実績は?

精子の質改善やテストステロン増加で期待できるとしても、一番大事なのは結果です。

コエンザイムQ10を摂取した男性はどのくらい妊活に成功しているのでしょうか?

2021年にイタリアのマルケ工科大学と代謝疾患専門家の研究グループが丁寧にレビューをして、複数の臨床試験での成果を報告しています。[9]

2009年のマルケ工科大学の臨床試験では、6ヶ月間200mgを摂取した28人の内、6人のパートナーが6ヶ月以内に妊娠しましたが、プラセボを摂取した27人のパートナーの妊娠は3人だけでした。[10]

6ヶ月の妊活成功率がほぼ倍増している上に、その後の妊娠はカウントしていませんから、かなりの成果と言えるでしょう。

2012年にはイランの男性泌尿器専門家による臨床試験でも成果が出ています。

87人の不妊男性に12ヶ月にわたって600mg摂取してもらったところ、その後の2年間でパートナーの34.1%が妊娠したとのこと。

妊娠時期は試験開始後平均8.4ヶ月、1年以内の妊活成功です。[11]

 

5.パートナーと一緒に摂取すればもっと効果あり?

コエンザイムQ10が男性妊活で実績があることは分かりました。

しかし男性の精子が改善しても、パートナー女性の卵子に問題があれば妊活は成功しません。

そこで、コエンザイムQ10の卵子の質改善と女性の妊活実績が注目されています。

2020年、ギリシャのテッサロニキの警察病院や大学の研究グループが、女性の妊活効果をレビューしました。

信頼できる5件の臨床試験では、21~43歳の不妊女性449人の内、コエンザイムQ10を服用した215人の妊娠率が28.8%に上昇したと報告しています。

一方、服用しなかった234人の妊娠率は14.1%にとどまりました。[12]

被験者は286人がPOR(卵巣刺激低反応)、163人がPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)と診断されていましたが、両方で効果を発揮したのが印象的です。

POR(卵巣刺激低反応)とは、卵胞の数が少ないため卵子が作れない症状。

PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)とは、排卵できない卵胞が卵巣内にたまって不妊や月経異常、男性化などを引き起こす症状です。

POR女性は体内で作られる卵母細胞が2個から4個に増え、卵子の質も改善したため、受精の確率も20%以上増えて67.5%になったとのこと。

PCOS女性は成熟した卵胞の数が増え、月経期間中の排卵確率も50%も増えて、65.9%の確率で排卵できるようになりました。

その結果、コエンザイムQ10を服用したPOR女性の27.3%、PCOS女性の31.3%が妊娠できたそうです。

男性妊活の記事で女性に対する妊活効果を取り上げる理由は二つあります。

一つは女性パートナーの体質も改善できれば、妊活成功率が一層高まること。

もう一つは、一人よりも二人の方が妊活に取り組みやすいことです。

摂取し忘れも減るうえ、二人のモチベーションも高まって妊活を継続しやすくなるでしょう。

コエンザイムQ10には疲労回復、運動パフォーマンス向上、女性の生理の改善などの効果もあるとされています。

二人で摂取する習慣ができれば妊活と健康維持で一石二鳥ではないでしょうか。

 

まとめ

以上見てきた通り、コエンザイムQ10は妊活で実績がありますが、安全面でも魅力的です。

国の研究機関が運営する「『健康食品』の素材情報データベース」は、ほとんどのサプリは妊娠中授乳中には避けるべきとしていますが、コエンザイムQ10は授乳中でも妊娠中でも「適切に摂取する場合」おそらく安全としています。

なお、食品としての適切な摂取目安量については、医薬品として用いられる量、1日30 mgを超えないようにと厚生労働省が通知しているとのこと。[13]

ただし、コエンザイムQ10を多く含むイワシでも100gあたり約6mg、牛肉でも100gあたり約3mgなので[14]、食品からの1日30mg摂取は無理、むしろ不健康です。

やはりサプリで摂取すべきでしょう。

副作用については、日本の厚生労働省の医療関係者向けホームページには「重篤な副作用は報告されていません」とあり、「軽度な副作用が起こる可能性」として、「不眠や消化不良など」に言及するにとどめています。[15]

もちろん持病がある方や薬の処方を受けている方は、摂取してよいかお医者さんとしっかり相談しなければいけませんね。

摂取目安量は日本語ホームページでは1日100mg以下推奨が多く、臨床試験では30~300mg程度が多いので、30mg程度から始めて体調に応じて調節するのが無難と思われます。

アメリカの臨床試験では、被験者23人が16ヶ月間1日1,200mg摂取して問題がなかったケースもありますが[16]、さすがにこのレベルの大量摂取はお医者さんとの相談が必要です。

男女の妊活で実績があり、様々な健康効果もあって、しかも安全。

コエンザイムQ10は妊活でも安心しておすすめできる成分です。

 

※記事の内容は、効能効果または安全性を保証するものではありません。サイトの情報を利用し判断及び行動する場合は、医師や薬剤師等のしかるべき資格を有する専門家にご相談し、ご自身の責任の上で行ってください。

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