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クレアチン7つの効果とは?臨床データから分析
公開日:2022/02/24
更新日:2022/02/26
クレアチンといえば、筋トレやスポーツをガチでやる人なら一度は聞いた事のあるサプリのはず。
しかし、具体的にどんな作用をしてどんな効果があるのかを完璧に知っている人は少ないでしょう。
今回の記事では研究データをもとに実際の効果を明らかにしていきます。
Contents [目次を開く]
クレアチンとは?
クレアチンはもともと体内で生合成される有機物です。
特に、瞬発力が必要になるスポーツや筋力トレーニングにおいて有効とされ、海外では90年代に市場に流通しはじめてから、今日までサプリメントとして多くのアスリートに利用されつづけてきました。
日本においてもクレアチンパウダーなどが多くのメーカーからサプリメントとして販売されています。
クレアチンは本来体内で合成されるとしましたが、いったい「どこ」で「どのように」して合成されるのでしょうか?
一般に、クレアチンは「腎臓」または「肝臓」においてアミノ酸(グリシンとアルギニン)から生合成されます[1]。
アミノ酸は体の中で他の物質からつくられたり、食べ物から得られたりするので、クレアチンは生体内において自然な物質のひとつであると考えていいでしょう。
腎臓や肝臓で合成されたクレアチンは血中に放出され、血液をめぐってしかるべき臓器に到達します。
こうして体内に貯蔵されるクレアチンの約90%は筋肉にあるとされ、そのほかには脳にも貯蓄されているようです[2]。
筋肉や脳の細胞に取りこまれたクレアチンは、そこでエネルギー代謝に関わるとされています。
今回の記事では、こうして体内に取り込まれたクレアチンがどのような効果を持つのか、科学的な研究成果に基づいて見ていきましょう。
クレアチンの化学的に認められた効果9つ
ではクレアチンの効果を実際の臨床データをもとに解説していきます。
1. 筋肉パフォーマンスを向上させる
東京医科大学の研究では、高強度グリップ運動(握力の検査)のパフォーマンスに対する効果が検証されました[3]。
その結果、パフォーマンスの約15%の向上が見られたことから、クレアチンは筋肉中のクレアチン量を増加させ、その結果筋肉の機能も向上することが示唆されます。
さらに、同研究ではエアロバイクでのパフォーマンスが向上した結果も同時に得られています[4]。
このことから、クレアチンにより、体内の含有クレアチン量が増加し、その結果筋肉の機能も向上するということが言えそうです。
なお、クレアチンは細胞内のエネルギー通貨ATPを産生する過程で役に立つことが知られているので、以上の結果は妥当であると考えられます。
2. 筋肉ダメージを軽減する
サンパウロ大学の研究により、筋肉ダメージがクレアチン摂取により軽減されることが報告されています。
4人のアスリートに対して、クレアチン20 gの摂取が5日継続され、運動後の筋肉ダメージの回復への効果が検証されました。
なお筋肉ダメージ回復の評価には、回復率と相関して活性が高くなると考えられるクレアチンキナーゼや乳酸脱水素酵素などが用いられました。
その結果、クレアチン摂取グループではこれらの筋肉回復に役立つ酵素の活性が有意に上昇することが明らかとなりました[5]。
また、ラットにおいても同様の結果が得られていることから、クレアチンの筋肉回復への効果が注目されています。
3.脳の機能を向上させる
クレアチンは脳の機能を向上させる効果があるという研究結果も得られています。
具体的には、計32人の高齢者に対して、ランダムな数を覚えてもらう短期記憶テストや他の長期記憶テストが実施されました。
その際、一回 5 gのクレアチン摂取を一日 4回 × 1週間続けてもらうグループと、プラセボ(何も入ってない薬)を飲むグループで比較されました。
その結果、クレアチン摂取で統計的に有意な記憶力の改善が見られることが示されました。
4.脳の病気を予防する
クレアチンは脳の機能向上のみならず、脳に関する病気の予防にも役立ちます。
具体的には、パーキンソン病、アルツハイマー病や脳梗塞、てんかん、さらにはハンチントン病などの予防に効果的というデータがあります。
一般に、パーキンソン病は脳の神経伝達物質であるドーパミンのレベルが低下することで起こる病気です。
このドーパミンの減少は脳内の神経細胞死を引き起こし、手の震えや発語障害などさまざまな症状を誘発します。
実験ではパーキンソン病マウスに対して、脳のドーパミンレベルの低下を9割も改善するという効果が得られています[6]。
またパーキンソン病以外のさまざまな脳の病気において、リン酸化クレアチンの蓄積量が減少することが知られています[7]。
クレアチンは体内のリン酸化クレアチンを増加させる機能があることから、これらの病気に対する効果が検証されました。
その結果、ハンチントン病マウスに対するクレアチン投与により、脳のリン酸化クレアチンが正常時の72%まで改善する結果が得られました[8]。
また、このとき脳の神経細胞死を25%軽減し、日常的な運動タスクにおいても改善が見られました。
5. 糖尿病を予防血糖値を下げする
糖尿病は血液中の糖が体内に吸収されにくいことが原因で、血糖値が高くなる病気です。
血糖値が高いということは血圧(血液の浸透圧)が高いということを意味します。
血圧が高いと、その分血管や心臓に負荷がかかるので、毛細血管の多い網膜や脳に影響が出てくるのです。
このような理由で、血糖値を適切に下げることは健康維持に重要な生理機能だと考えられます。
分子生物学的には、血中の糖(つまりグルコース)を細胞内に取り込む働きを担うのはGLUT(グルコーストランスポーター)という分子であることが明らかとなっています。
サンパウロ大学の研究では、22名の男性被験者に対して10 gのクレアチン摂取を3ヶ月続けてもらい、血糖値上昇がどうなるかがテストされました。
その結果、クレアチン摂取グループでは血糖値が有意に下がることが示されました[9]。
これはクレアチンにより、細胞上のGLUTが活性化することで血中のグルコース吸収が亢進し、その結果血糖値が下がるためだと考えられています。
6.疲労を軽減する
クレアチンは疲労を軽減する効果があることも報告されています。
物理的な頭部へのダメージにより脳に障害を負った人(外傷性脳損傷)で、疲労を感じやすいという症状が現れることがあります。
この症状を抱える39名に対して、6ヶ月間のあいだ約20 gのクレアチンを経口で摂取してもらい、疲労度に影響が出るのかがヘラキオン医科大学(ギリシア)により検証されました。
その結果、クレアチン摂取グループでは50%以上の疲労度減少が見られました[10]。
また、クレアチンは疲労を軽減する効果だけでなく、頭痛を軽減する効果もあることが同研究により示唆されています。
7. 認知機能を向上させる
睡眠不足による記憶力、認知機能の低下は現代において珍しいことではありません。
クレアチンはこのような睡眠不足による認知機能の低下を軽減するとチチェスター大学(イギリス)によって報告されています。
そこでは被験者に1日20 g × 7日間のクレアチン摂取が行われ、36時間寝ていない状態でのワーキングメモリー(一時的な記憶)への効果が検証されました。
その結果、クレアチン摂取グループにおいて、ワーキングメモリーのスコアが有意に上昇することが示されました[11]。
また、睡眠制限を行ったラグビー選手を対象に、ボールのパス成功率がクレアチンの摂取により改善するのかがテストされた結果、クレアチンによりこれが向上するとの結果も報告されています[12]。
このことから、クレアチンは睡眠不足による認知機能の低下を改善する効果があると考えられます。
クレアチンの副作用は?安全に摂取できる?
もともとクレアチンは体内で生合成される有機的な物質です。
そして、クレアチンは血液脳関門を通過するため[13]、筋細胞だけでなく脳細胞まで届き、生体にとってはごく自然な物質だと言えるでしょう。
その意味でクレアチンを摂取することは問題がないと言えますが、問題はその摂取量や病気を抱えている人にとっての副作用が考えられます。
また、体内に水分をためやすくするため、体重増加の要因にもなり得ることは特徴として覚えておくといいかもしれません。
今回紹介した論文にあるように、クレアチン摂取の開始1週間程度はローディング期間として25 g/1日を摂取し、その後は数グラムを継続的に取るのが効果的であるようです。
それ以上の摂取は体内、特に腎臓に負担をかけることが予想されます。
クレアチンは腎臓で代謝されるために、実際腎臓に障害がある人や高齢者にとっては服用を控えた方がいいと一般に考えられます[14]。
結論としては、健康な人にとってクレアチンの適度な摂取は問題ないということになるでしょう。
クレアチンエビデンス豊富なおすすめ成分
クレアチンは世界中で一般的に用いられている代表的なサプリメントの一つです。
今回は、クレアチンが筋肉に作用し筋組織のパフォーマンスを向上させるだけでなく、脳機能にも効果をもたらすことを紹介しました。
これは一見なんでもなさそうなことですが、実は脳に到達するというのは生物学的に特別なことなのです。
脳は臓器の中でも特に重要な場所であるため、本当に必要な物質だけが侵入できるという性質があります(特別な人だけが通れる門があるということです)。
クレアチンは脳に到達することができるので、そのことからも本当に必要な物質の一つなのだと考えることができます。
そうした物質をサプリメントとして飲用できるのは、ある意味ありがたいことです。
ただし、どんなにいいものでもやはり限度があります。
クレアチンは、あなたの生活をサポートしてくれる”サプリメント”であると常に念頭において、適切に使用することを心がけましょう。
※記事の内容は、効能効果または安全性を保証するものではありません。サイトの情報を利用し判断及び行動する場合は、医師や薬剤師等のしかるべき資格を有する専門家にご相談し、ご自身の責任の上で行ってください。
記者 WRITERCattano
大学時代は国立理系に在籍しながら、目標のTOEIC900点に到達。専門知識をフルに活用して抽出した”正確な科学的根拠”にもとづいて、知的好奇心をくすぐるような記事をわかりやすく読者の皆さまにお届けします。趣味の海外旅行はコロナで自粛中。。。
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