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アスタキサンチン7個の効果とは?研究データを基に解説
公開日:2023/01/07
更新日:2023/01/13
美容化粧品で一躍注目を集めたアスタキサンチンは、強い抗酸化作用を持つ成分です。
実は美肌効果だけでなく、疲労改善や病気の予防などにも役立つとわかっています。
今回は研究データを基に、アスタキサンチンがもたらす効果を7つ紹ご紹介しましょう。
安全性についても解説するので、ぜひ参考にしてくださいね。
Contents [目次を開く]
アスタキサンチンとは?
アスタキサンチンは、活性酸素が気になる人におススメの抗酸化物質。
カロテノイドと呼ばれる植物由来の天然色素の一種で、70℃以上に加熱すると赤色になるのが特徴です。
自然界ではヘマトコッカスという海藻類で合成され、食物連鎖によってエビ、カニなど甲殻類の殻、サケ、マスの身、タイやコイの表皮などに取りこまれます。
ゆでたエビやカニの殻が赤くなるのもアスタキサンチンの作用です。[1]
抗酸化物質の中でもとびぬけて強力で、実にビタミンEの110倍、 緑茶のカテキンの560倍、コエンザイムQ10の800倍、ブドウのポリフェノール(レスベラトロール)の3000倍、ビタミンCの6000倍もの抗酸化作用があるとされています。[2]
圧倒的ですね。
それではこのアスタキサンチンにどんな効果があるか、見ていきましょう。
アスタキサンチンの効果7個
強い抗酸化作用を持つアスタキサンチン。
では、具体的にどのような効果が期待できるのか解説していきましょう。
1.眼精疲労を改善する
アスタキサンチンは眼精疲労改善に有効な成分。
眼精疲労とは、一言でいえば目の中の毛様体筋の疲労です。
私たちが近くのものを見る時、毛様体筋が収縮し、水晶体という目の中のレンズをふくらませてピントを調節します。
その状態が続くと毛様体筋が疲労し、私たちも目の疲れを感じるのです。
2005年に日本の眼科医たちが、アスタキサンチン6mgを2週間摂取した時のHFC値を測定して眼精疲労改善効果を検証しています。
HFC値(高周波成分の出現頻度)とは、ピント調節の時眼球に発生する微動を示す数値で、毛様体筋への負担が大きい時高くなるそうです。
健康な男女7人がテレビゲームを30分プレイした直後と20分休憩した後HFC値を測定して比較すると、アスタキサンチン摂取時には休憩後に平均値が4下がり、被験者たちは主観的にも回復効果を実感したそう。
しかし同じグループがプラセボ(偽薬)を摂取した時には、休憩後も変化はありませんでした。[3]
マグナグラシアカタンツァーロ大学など、イタリアの研究グループの2020年のレビューでも、日本で行われた複数の臨床試験を踏まえて眼精疲労への効果を紹介しています。[4]
2.肉体的疲労を抑える
アスタキサンチンは運動時にまず脂肪を燃焼させてから糖質(グリコーゲン)を燃焼させるので、疲労を遅らせる効果もあると考えられています。[5]
例えばイギリス・ラフバラー大学などによる2020年の臨床試験では、12人の男性サイクリストがアスタキサンチン12mgを7日間摂取後、40㎞のサイクリングマシンテストを受けて効果を調べました。
すると、摂取時の脂肪酸化率は毎分0.22gで、プラセボを摂取してテストした時の毎分0.13gより50%近く増加。
参加者は2回とも全力でテストを受けたため主観的な疲労度には差はありませんでしたが、40km走行タイム平均はプラセボの70.76分から69.90分に改善、これは51秒(1.2%)の短縮です。[6]
3.脳の病気を防ぐ
アスタキサンチンの抗酸化・抗炎症作用には、脳内の神経細胞へのダメージを防ぎ、脳の衰えや病気を防ぐ効果も確認されています。
2018年、イタリア・ナポリの医師グループが、神経系を保護する働きを詳しくレビューしました。
脳には異物混入を防ぐ「血液脳関門」(BBB)があるため抗酸化物質の多くが脳に入れませんが、アスタキサンチンは血液脳関門を容易に越えられます。
脳に入ったアスタキサンチンは神経細胞の再生に必要なタンパク質などを増加させるので、酸化や炎症で傷ついた脳の再生に役立ち、認知障害、アルツハイマー病、パーキンソン病など脳の病気の予防や症状改善に貢献するとのことです。[7]
一例を挙げましょう。
2011年に東北大学で行われた臨床試験では、被験者がアスタキサンチン6mgまたは12mgを摂取すると、脳内の松果体という部分のアスタキサンチン濃度が上がり、リン脂質ヒドロペルオキシド(PLOOH)の濃度が下がりました。
リン脂質ヒドロペルオキシドとは血液の粘度を高める酸化物で、脳内の酸素運搬を妨害して認知症を悪化させます。
松果体内のアスタキサンチン濃度は、6mg摂取グループ10人ではプラセボを飲んだ10人の約10倍(35.7pmol/ml)、12mg飲んだ10人は約14倍(44.9pmol/ml)に増えていました。
また、リン脂質ヒドロペルオキシド濃度はプラセボグループが14.9pmol/mlに対し、6mgグループは8.0pmol/ml、12mgグループは9.7pmol/mlに減っていたのです。[8]
4.血圧をコントロールし、心臓病を予防する
脳内の血液の状態の改善ができるなら、体全体の血液にもよいのでは、と思われた方もいるでしょう。
実はその通り。
アスタキサンチンは血圧コントロールや心臓病の予防と治療でも期待されているのです。
2018年、イランのアフヴァーズ・ジュンディシャプール医科大学を中心とする研究グループが、2型糖尿病患者22人にアスタキサンチン8mgを8週間摂取させたところ、最高血圧(SBP)が143mmHgから132mmHgに低下しています。[9]
2010年には日本の慈恵医大が61人の被験者に臨床実験を行いました。
アスタキサンチンを1日12mg以上摂取すると、血液中の動脈硬化の原因物質トリアシルグリセロール(TAG)を減少させ、動脈硬化を防ぐ善玉コレステロール(HDL)を増加させると確認しています。[10]
5.肥満や糖尿病を防ぐ
抗酸化作用は、肥満による酸化ストレスや糖尿病の症状改善も可能です。
2011年韓国のソウル大学校では、肥満による酸化ストレス悪化とアスタキサンチン摂取との関係を調べる臨床試験が行われました。
脂質などの酸化ストレスは動脈硬化、心臓病、アルツハイマー病、うつ病などのリスクを高めるからです。
BMI25以上で肥満と認定された23人がアスタキサンチン5mg以上を8週間飲み続けた後、酸化ストレス指標を調べると、MDAは約35.2%、ISPは約65%減少していました。
ここから、アスタキサンチンの抗酸化作用が肥満による健康悪化を防げると結論付けられました。[11]
2010年、上記の慈恵医大の臨床試験でも、アスタキサンチン摂取でアディポネクチンと呼ばれる善玉ホルモンも増加すると報告されています。
アディポネクチンは脂肪酸の燃焼や減少によってインスリン感受性を改善し、糖尿病や動脈硬化を予防する効果があるとされる成分です。
さらに、アスタキサンチンは脂肪の燃焼を助けるだけでなく運動による筋肉の損傷も抑制するので、肥満を防ぎ運動パフォーマンスまで向上させると示唆する研究もあります。[12]
6.妊活にも役立つ
アスタキサンチンは妊活効果でも注目されている成分です。
動物実験ではオスのラットの精子量増加と活発化、メスのニワトリの卵の質改善などが報告され、人間の不妊治療でも効果を発揮しつつあります。[13]
ベルギーのゲント大学では、2005年に不妊に悩む男性を対象にアスタキサンチンの効果を検証しました。
被験者30人中11人がアスタキサンチン16mgを3ヶ月間飲み続けたところ、平均精子量は1mlあたり3,620万個から4,860万個に増加し、6人(54.5%)がパートナーの妊娠に成功しています。
一方プラセボを飲んだ19人の精子量平均は1mlあたり2,830万個から2,820万個に微減し、妊活に成功したのは2人(10.5%)だけでした。[14]
7.美肌にも効果あり
美肌効果もアスタキサンチンの魅力の一つです。
2016年、富士化学工業と金沢大学の研究グループが、肌の衰えが気になる30歳以上50歳以下の女性10人にアスタキサンチン3mg入りドリンク350mgを飲んでもらい、美肌効果を調査。
8週間後、初冬にもかかわらず、肌のうるおいを示す皮膚水分量は試験開始前の102.9%に増え、肌の乾燥を示す皮膚水分蒸散量は95.3%に減少、乾燥防止と保湿の効果が確認されました。
一方プラセボを飲んだ10人の皮膚水分量は89.2%に低下し、皮膚水分蒸散量は120.0%に増加していましたから、差は歴然です。
アスタキサンチンはコラーゲン量を減少させる一重項酸素に対しても絶大な抗酸化パワーを発揮するので、コラーゲンの変化を防ぎ、シワを抑制するとわかっています。[15]
他にも臨床試験や細胞レベルの実験でシワ、キメ、くすみなどの改善も確認されているため、アスタキサンチンの美肌効果は確実です。
その他の効果
以上7つの効果以外にも、アスタキサンチンには抗がん、抗ウイルス、アンチエイジングなどの効果が期待されています。[16]
それだけでなく、2014年には富士フィルムが、マウスにアスタキサンチンと亜鉛を同時に投与すると視床下部の睡眠中枢を刺激して睡眠を改善できた、と報告しました。[17]
まとめ
以上、アスタキサンチンの主要な効果7つをご紹介しました。
圧倒的な抗酸化作用で目や肉体の疲れを防ぎ、脳に直接届いて神経系の病気を防ぎ、動脈硬化や心臓病、肥満や糖尿病にも、さらには妊活にも美肌にも効果があるとわかりましたね。
他にも様々な効果が期待され、研究が進められています。
アスタキサンチンは全身に効果がある健康成分といってよいでしょう。
なお、安全性については富士化学工業と金沢大学の研究グループが2015年に詳細に検討しています。
まず臨床試験6件では、1日6~9mgを12週間摂取しても、1日30~45mgを4週間摂取しても問題がありませんでした。
また、ネズミに対する毒性試験でも大量摂取させても死亡事例がなく、体重60kgの人間が1日30mg摂取しても十分に安全とのことです。[18]
医薬品を常用しているならお医者さんと相談すべきでしょうが、そうでなければ安心して摂取できそうですね。
摂取方法ですが、アスタキサンチンはヘマトコッカス藻で合成されて魚介類に取りこまれるので、海鮮料理からの摂取が可能です。
代表的な食材の含有量はイクラが100gあたり0~1.4mg、ニジマス0.1~1.3mg、鮭0.3~4mg、オキアミ4.5~13mg、エビ・カニ最大40mg。[19]
ただし、食品の含有量は一定ではないため、一定量を摂取したいならサプリを使ったほうが確実でしょう。
圧倒的な抗酸化作用を持ちながら安全なアスタキサンチン、安心しておススメできる成分です。
※記事の内容は、効能効果または安全性を保証するものではありません。サイトの情報を利用し判断及び行動する場合は、医師や薬剤師等のしかるべき資格を有する専門家にご相談し、ご自身の責任の上で行ってください。
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