乳幼児も空気を読むことが明らかに。その方法とは?

公開日:2022/03/08
更新日:2022/03/04

  • 記者 WRITERみり
    みり

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    乳幼児はとてもか弱く、面倒を見てもらうことが必須です。

    にも関わらず、彼らは言葉を理解することができません。

    そのため、聞きなれた声、嗅ぎなれた匂い、笑いかけてくれる顔…など使える情報全てからどの人に頼れるのか学んでいきます。

    しかし、赤ちゃんが判断しているのはそれだけではありません。

    この最新の研究では、赤ちゃんも幼いなりに、周囲の人間関係がどういったものか判断していることが明らかになりました。

    そして言葉の分からない彼らが使う手掛かりは、とても意外な物だったのです。

    https://www.statnews.com/2022/01/20/saliva-sharing-babies-closest-relationships/

    お子さんがいる方、またはお子さんのいる家庭を訪れたことのある方はご存じだと思います。

    食事の時、ごはんが半分は口に入るもののあとの半分はテーブルや床へ。

    または顔面パックとして使用されたり。

    なので保護者の方が食べさせてあげたりします。

    その時、自分の箸やスプーンで食べつつ、同じ食器を使って子供にも食べさせることがありませんか?

    乳幼児はそれを見ています。

    それから日本ではあまりないかもしれませんが、スキンシップを図る時、赤ちゃんにチュッとキスしたり。

    これらに共通することは「唾液を共有している」ということです。

    乳幼児は人間関係の深さの判断基準に、この唾液共有をしているかどうかを使用していることが分かったのです。

    ここで人間関係が深いというのは、絆が強く、お互いに世話をしあう関係で、親しい友達同士とは少し異なった親密さです。

    「もちろん、親密さを判断する基準は他にも存在します。

    しかし、唾液には何か特別なものがあるようです。」

    研究リーダーのアシュリー・トーマスは言います。

    これを読んで真っ先にこう思った人いませんか?

    唾液共有したら虫歯菌がうつるのでは?

    生まれたての赤ちゃんは虫歯菌を持たず、すでに虫歯のある大人の唾液からうつされるということはよく知られています。

    虫歯を避けようと、自分の唾液が子供の口に入ってしまわないようにとても気を付けている方もいるでしょう。

    日本では他の国と比べて子供にキスをする習慣がありません。

    子供のほほについた汚れを、自分の指を舐めてからそれで拭き取るようなことも、現代ではあまり見られなくなりました。

    このことは、欧米に比べて日本は親子関係が希薄だと言われることに関係があるのでしょうか。

    この研究で興味深かったのは、実験内容です。

    言葉の分からない乳幼児が、誰を信頼しているかというデータを取ることに成功しています。

    具体的にどのような実験だったのか見てみましょう。

    いくつかの異なった実験が研究には含まれていますが、そのうちのふたつを紹介します。

    この実験の対象者は8か月から18か月の乳幼児でした。

    この対象者の目の前で、一人の女優が人形と一切れのオレンジを分け合って食べるふりをします。

    そして、もう一人の女優は対象者の前で人形とボール遊びをして見せます。

    その後、人形が困ったサインを出します。(具体的に書かれていませんが泣き声を出すなどだと思われます。)

    するとなんと、乳幼児たちはオレンジを分け合っていた女優の方を真っ先に、そしてより長い時間見つめたのです。

    「まるでこちらの女優なら、人形に何かしてあげるだろうと期待しているようでした。」

    と研究者たちは話します。

    さらに乳幼児たちは観察眼のすごさを見せます。

    研究者たちは、人形を見た目の違うものと取り換えて困ったサインを出させました。

    しかし、この人形とはどちらの女優も唾液共有(のふり)をしていません。

    そのため乳幼児たちは、特に片方の女優をよく見るということはなかったのです。

    またもう一つの実験では、女優が口の中を指でこすり、その指を人形の口に入れ、そしてまた自分の口に戻しました。

    この動作は果物を分け合った時のように、日常生活であまり見る光景ではありません。

    けれども乳幼児は、それからも親密度が高いと判断しました。

    「乳幼児は単にその人がいい人そうだから、というような理由で人に頼るのではなく、唾液共有をした、または見たことが基準になっていると言えます。

    唾液共有をするような関わり合いは、目で見て分かることです。

    幼い子供たちはこの見える手掛かりを、人間関係を予想するのに使うことができるのです。」

    と研究者たちは説明します。

    8か月の乳幼児でさえ、オレンジを分け合って食べたのを見ただけで

    「この人はこの赤ちゃん(のように見える人形)のお世話をしてくれる人みたいだな。」

    と認知するということです。

    その乳幼児が自分で唾液共有をした相手を頼るのとは別に、ほかの乳幼児と大人との関係もそれに基づいて判断ができるということです。

    これは驚きですね。

    乳幼児は周りで繰り広げられている関わり合いを日々観察して、少しづつ学んでいくのだと思い込んでいました。

    もちろんそれもあるでしょう。

    しかし、この判断基準はもっと即効的です。

    乳幼児は生存がかかっていますから、何十日も周囲の人間を観察せずとも使える判断基準があるのは理屈が通ります。

    唾液共有は汚いと考える人もいると思いますが、それがこの実験で示された程の効果を出すのであれば、乳幼児との信頼関係を築く最善の方法かもしれません。

     

    とは言え、親であれば子供を虫歯にはしたくないと思うので最後に歯医者さん達が勧める虫歯菌感染を抑える方法を紹介しておきます。

    まず虫歯を治す。

    フッ素入りの歯磨き粉で毎食後歯磨きをする。

    甘いおやつやジュースをダラダラ摂取し続けない。

    ガムなどでキシリトールを取る。

    などで虫歯菌はかなり減らせるそうです。

    虫歯がたくさんあれば治している間に子供が大きくなってしまうので、まずはおでこやほほにキスしてあげるところから初めてもいいかもしれません。

    口内環境に自信がある人は、今日からでもひとつの食べ物をシェアしたりして、乳幼児と唾液共有をしてみると、速攻関係が深まるかもしれませんよ。

    ※記事の内容は、効能効果または安全性を保証するものではありません。サイトの情報を利用し判断及び行動する場合は、医師や薬剤師等のしかるべき資格を有する専門家にご相談し、ご自身の責任の上で行ってください。

    • 記者 WRITERみり

      ケーキと菓子パンが主食の20代後半に全身に蕁麻疹が何度も出て30代から一転健康志向に。「穏やかに心身健康」をモットーに南の島で生活中。早朝に浜辺を愛犬と散歩するのが日課。世界のいろんな人の変わったニュースを読むのが趣味。

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