栄養ドリンクでおなじみタウリンの効果11個と副作用

公開日:2019/08/29
更新日:2022/02/09

タウリンの効果と副作用

    タウリンとは

    複数の栄養ドリンク

    栄養ドリンクのCMで「タウリン○○g配合!」という宣伝文句を見たことがあるのではないでしょうか。パワー成分として知られるタウリンはアミノ酸の一種です。

    アミノ酸と言えば、タンパク質を構成する物質と考えがちですが、タウリンはタンパク質を構成しない遊離アミノ酸に分類されます。体内のタウリン量の合計は体重の0.1%程度で、脳や心臓、肝臓、骨格筋、網膜に多く存在します[1]

    タウリンの役割は、身体の機能や細胞を正常な状態に戻すことです。これをホメオスタシスといいます。さらに、新陳代謝を促す作用もあるのです[2]

    タウリン配合の商品はたくさんありますが、合成して作られたタウリンが配合されているものは基本的には医薬品に分類されます。例えば、大正製薬の「リポビタンD」や大鵬薬品工業の「チオビタドリンク」などは指定医薬部外品として指定されているため、購入できる場所が限られるのです[3][4]

    ちなみに「翼を授ける」で有名なレッドブルの海外版にはタウリンが含まれていますが、日本国内ではコンビニにも置けるようにタウリン非配合の清涼飲料水の名目で販売されています。

    このように合成して生成されたタウリンは医薬品に分類されますが、一方で天然抽出物のタウリンは食品添加物として使用することが認められているという不思議な成分なのです[5]

     

    主な効果効能11個

    栄養ドリンクの印象の強いタウリンですが、本当に飲むだけでパワーはみなぎるのでしょうか?実験によって確認されている具体的な11個の効果効能を紹介します。

     

    効果1.性機能の改善

    ベッドに横たわるカップル

    滋養強壮のイメージが強いタウリンですが、実は性機能の改善にも効果が期待できます。特に「最近弱ってきたな」と感じる男性にはピッタリです。

    勃起とは脳が性的な興奮や刺激を感じ取り、ペニス周辺の筋肉に「勃起させろ」という指令を出ことでペニスに血液が流れ込み発生する現象です[6]。そのため血液の流れが悪化する事はEDの一番の原因[7]

    逆に言えば、血流を促進させることで勃起力を改善させることが出来るのです。タウリンには血流促進効果のある一酸化窒素の分泌を促す作用があるため、勃起不全の改善に有効とされています[8][9][10]

    中国で行われた実験では、水に溶かしたタウリンを年老いたネズミに110日間与え続けた結果、性行為に対する反応が明らかに向上した事が確認されています[11]

     

    効果2.テストステロンの分泌促進

    テストステロン

    加齢とともに増える勃起不全や、倦怠感、不安やイライラなど心身に不調をきたす男性更年期障害。その一番の原因が男性ホルモンのテストステロンの減少であると言われています[12]

    心身ともに元気でいるために欠かすことができないテストステロンですが、適切な量のタウリンを摂取することで分泌量を増やす効果が確認されているのです。

    実際に動物を用いて行った実験では、タウリンを摂取した動物の血中テストステロン量と精巣内のテストステロン量の上昇が確認されました。これは精巣の近くに存在するライディッヒ細胞[13]が刺激されたことが原因であると研究チームは発表しています[14]

    しかしタウリンをたくさん取れば、テストステロン量が増えて活力あふれる体質を手に入れられるわけでもないのです。興味深いことに、タウリンの摂取量が多すぎるとテストステロンは逆に減少する危険性もあるのです。

     

    効果3.ダイエット促進

    健康的な男性と肥満男性

    忙しい日々で運動や食事へのケアが疎かになっているとどうしてもお腹が出てきてしまいますよね。

    そんな肥満体型もタウリンを意識的に摂取することで改善できるかもしれません。特にタウリンの抗酸化作用に脂肪を減らす効果が期待できるのです[15]

    ブラジルの大学が行った実験では、2.5%に薄めたタウリンを飲んだ動物が体脂肪が溜まりにくい体質に変化した事が確認されました[16]。韓国で行われた実験でも同様に脂肪蓄積を防ぐ効果が確認されています[17]

    富山大学で行われた実験では、3グラムのタウリンを7週間摂取した被験者は体重を一気に減少させることができたと報告されています。特に肥満体型の人に対して高い効果が見られたそうです[18]

     

    効果4.運動能力アップ

    運動をする男性

    「ランニングのタイムを縮めたい」、「もっと重たいベンチを上げられるようになりたい」といった男性にもタウリンは効果的です。タウリンには運動能力を向上させる効果があることも判明しているのです。

    タウリンに運動能力の向上が期待できる1つの理由が、筋肉の収縮性を向上させる効果があるためです[19][20]。そのため同じ筋肉量でもより強いパワーが出せるようになるというわけです。

    2つ目の理由がタウリンに、筋肉を動かす事で発生する疲労の原因である乳酸を取り除く効果があるためです[21]。乳酸は筋肉へのエネルギー供給を妨害するだけでなく、筋肉痛の原因にもなります[22]。乳酸を効率的に取り除くことで長時間運動を継続するためのスタミナアップにもつながるのです。

    実際に富山大学が行った実験では、タウリンを運動前に摂取しておくことで最大酸素摂取量(VO2Max)が飛躍的に向上したことを観測しました。

     

    効果5.運動後の疲労回復

    疲労回復

    タウリンには運動後の疲労の回復をサポートする効果があることもわかっています。もちろん、先程ご紹介した乳酸を筋肉から取り除く作用も疲労回復には効果的です。

    しかしタウリンの効果はそれだけではありません。実は運動後に発生する筋肉痛を軽減してくれる作用も期待できるのです。

    これはタウリンによって骨格筋グリコーゲンの密度が向上するためです。筋グリコーゲンとは筋肉が収縮を行うために欠かすことができないエネルギーで、活性酸素によって作り出される量が減少します。欠乏した状況が続くことで筋肉疲労へと繋がるため、運動後に素早く回復するためには、筋肉に筋グリコーゲンが蓄えられている状況を作り出すことが重要なのです[23]

    東京大学はタウリンを溶かした水をネズミに与え、運動後の疲労状況や血液の状況を調査しました。その結果、タウリンを摂取していたネズミは運動後に疲労を感じている様子が少なく、骨格筋グリコーゲンの量も多かったとのことです[24]

     

    効果6.心臓の健康状態の改善

    心臓

    タウリンには心臓やそれに関わる血管の健康状態改善の効果も確認されています。これまでの統計でもタウリンの体内量が多い人ほど、冠状動脈性疾患によって死亡する可能性が低い事がわかっています[25]

    韓国の大学(Chonbuk National University)が行った血圧を意図的に高めたネズミを使った実験では、タウリンのサプリによる血圧低下の効果が確認されました[26]

    また大正製薬が2014年に行った実験では、動脈硬化の進行を遅らせ、心筋系の病気を予防する効果があることがわかったと発表しています[27]

    アメリカの大学(Georgia Health Sciences University Augusta)が発表した論文でも、タウリンは血管内壁の細胞の死滅や炎症、酸化ストレス発生の防止、さらには血管を柔らかくする一酸化窒素の産出を促す作用があると結論付けています。血管が柔らかくなる事で、血液の循環が促進され、高血圧や動脈硬化を改善する効果があるのです[28]

     

    効果7.糖尿病の改善

    糖尿病

    糖尿病の原因の一つは体内のタウリン量が減少だとされています[29]。タウリンが減少する事で、脂肪が溜まりやすくなり、さらには血糖値も上昇するため糖尿病に陥りやすくなるのです。

    人間を対象に行った実験では1.5gのタウリンを毎日摂取することで、健康的な人と同じだけの体内タウリン量を取り戻す事が出来る事が判明しています[30]。動物を用いた実験では、タウリンのサプリを摂取する事で2型糖尿病の予防効果があることも判明しています[31]

    体内に一定量のタウリンを維持する事で糖尿値をコントロールする事が出来るため、結果的にタウリンサプリを摂取する事が糖尿病の予防につながるとされています。動物実験でもタウリンを最適な量に保つ事による血糖値の低下やインスリンの感度向上糖尿病予防効果が確認されています[32]

    さらに、タウリンには糖尿病と関わりのある他の病気を予防する効果もあるとされています。

    例えば、動脈硬化。糖尿病患者に1.5gのタウリンを14日間摂取させたところ、糖尿病が原因で発生した可能性の高い動脈硬化を軽減し、運動時などの血液流量の変化にも柔軟に対応できる効果が確認されました[33]

    糖尿病との合併症にもタウリンは有効です。タウリンには神経繊維を安定化させる作用があるため、末梢神経障害の進行を遅らせる効果があることもわかっています[34][35][36]

     

    効果8.網膜の健康を保つ

    目

    タウリンは網膜に多く存在します。網膜内のタウリン量が減少すると、視力にも悪影響を及ぼします。

    タウリンの網膜内の密度を高めることは視力や目の健康状態を向上する作用があると言われています[37]。フランスの研究機関(Institut National de la Santé et de la Recherche Médicale UMR 968)は、タウリンが配合された水を与えた動物の網膜の細胞の健康状態が改善していたと報告しています[38]

     

    効果9.耳鳴りの改善

    音波

    長期間ストレスがかかる状況にいると発生すると言われている突発性の難聴。実は2001年の調査では一年間に3万5千人もの人が悩んでいる事が確認されています[39]

    多くの人が悩む突発性難聴ですが、実のところ正確な原因がわかっていない病気なのです[40]。調査では、難聴にかかった人の50%が耳鳴りの症状を訴えており、耳鳴りを既に訴えている人の90%がなんらかの難聴にかかっているとのことから、早い段階で耳鳴りを改善する必要性があると言われています[41]

    実はタウリンには耳鳴りの改善効果もあるとされています。カナダで行われた実験では、耳鳴りに悩む人に対してタウリンを摂取させた結果、12%の被験者の症状が治まった事が判明しています[42]

    動物実験では、ヒトの身体のサイズに換算すると700mg〜3,200gのタウリンを毎日摂取することで聴覚の問題が改善すると結論付けている論文も存在します[43]

     

    効果10.メンタル状態のケア

    ストレス緩和

    タウリンには、GABA受容体を活発にして、精神を落ち着ける作用があるとされています。GABA(ガンマアミノ酪酸)とは脳の興奮を抑える作用がある物質。最近ではストレスケアを目的としたチョコレートもあるため、コンビニで見たことがある人も多いのではないでしょうか。

    寝る前にGABAを増やすものを摂取することで、安眠効果が期待できたりするのです[44]。急な痙攣が発生したりするてんかんも実はGABAが密接に関わっており、てんかんの薬の中にはGABAを活発化させることで発作を抑えるものも存在します[45]

    タウリンにも同様の効果が期待でき、アメリカの大学(College of Staten Island)はてんかん病をもつ動物にタウリンの投与が効果的であったと発表しています[46][47]

     

    効果11.肝臓の細胞を守る

    肝臓の異常

    「沈黙の臓器」と呼ばれることもあるほど、問題が出たときには取り返しの付かないことになっていることも少なくない肝臓[48]。タウリンにはそんな肝臓の細胞を守る効果も期待することができます。

    過去の実験ではタウリンの摂取によって、フリーラジカルと毒素が原因の肝臓ダメージを防ぐ効果があることが判明しています[49]

    既にダメージを受けている肝臓を改善する効果があることもわかっており、台湾で行われた実験では、2gのタウリンを毎日3回摂取させた結果、肝臓が損傷を受けている時に産出される成分の量が減少しました[50]

     

    副作用のリスク

    副作用

    日本国内では、化学的に製造されたタウリンは医薬品として指定されています。

    アメリカではタウリンは基本的には危険な成分ではないと考えられています。レッドブルやモンスターエナジーなどのエナジードリンクに何も問題なく配合されています。アメリカのメリー大学は用法用量を守った摂取であれば大きな問題は発生しないと発表しています[51]

    一方でヨーロッパでは一部危険視する専門家を存在します。直接的な証拠はありませんが、ヨーロッパで何件か発生しているアスリートの死亡事故はエナジードリンクに配合されたカフェインとタウリンが原因だと言われています[52][53]。ただし、これらの死亡事故はタウリンではなく、カフェインの過剰摂取によって引き起こされたと考える方が可能性が高いとも言われています。

    基本的には危険性は低いと言われているタウリンですが、肝臓の病気を持っている方は摂取を控えた方が良いケースもあります。アルギニンやシトルリンなどのアミノ酸と同様に、タウリンも肝臓で代謝されるため、大量に摂取することで肝臓に負担がかかるリスクがあるのです[54][55]

     

    タウリンを豊富に含む食品

    栄養素

    タウリンは我々の身近な食品にも豊富に含まれています。特に海鮮類に多く含まれています。

     

    1.イカ/スルメ

    イカやタコなどの軟体動物はタウリンを多く含んでいることがわかっています。イカを干したスルメの表面に白い粉が付いているのを見たことがあると思いますが、あれはイカの体内に存在していたタウリンが水分を失って粉状になったものです。

    イカはタウリンだけでなく、血液をサラサラにして血行を促進する効果が期待できるEPAやDHAなどの不緩和脂肪酸も豊富に含んでいます。

     

    2.牡蠣

    セックスミネラルと呼ばれる亜鉛を多く含むことで有名な牡蠣。滋養強壮に効果があるということでも有名ですよね。そんな牡蠣には、実はタウリンも豊富に含まれているのです。

    可食部100gあたり、1,130mgものタウリンが含まれています[56]。牡蠣1つが大体20g程度なので、5つ程度で十分なタウリンを摂取することができるのです[57]

    いくら身体に良いからと、牡蠣を食べすぎるのは危険です。牡蠣が豊富に含む亜鉛には、中毒症状があります。10個以上の牡蠣を一気に食べると発生する可能性があるので食べ過ぎないように注意してくださいね[58]

     

    3.ハマグリ

    牡蠣と同じ貝類のハマグリにもタウリンは豊富に含まれています。タウリンとコレステロールの比率では、牡蠣とほとんど変わりません[59]

    カルシウムや亜鉛、鉄分などのミネラル分を豊富に含むだけでなく、アミノ酸も多く含んでいるため健康的な身体作りにぴったりです。勃起力を改善させると噂のアルギニンも含んでいます[60]

     

    最適な摂取量と飲み方

    計量

    通常の食事を摂っていれば、40〜400mgは毎日摂ることが出来ているとされています[61]。ただし、タウリンの効果を確かめる学術的な研究では、400mg〜6,000mgの範囲で摂取されていることが多いため、明確な効果を実感する場合はサプリ等で意識的に摂取する必要があるでしょう[62]

    アメリカの専門機関(Council for Responsible Nutrition)は一日3,000mgの摂取量であれば、毎日飲み続けても問題がないと発表しています[70]

    タウリンを摂取する人の多くの目的は、疲労の軽減でしょう。大正製薬によると、タウリンに加えてタンパク質などの糖質やビタミンB群を一緒に摂取すると良いと解説しています[63]

     

    【まとめ】健康の維持促進に必要不可欠なタウリン

    リポビタンDなどの滋養強壮ドリンクに多く含まれているため、なんとなく疲労回復の効果ぐらいしか知られていないタウリンですが、実はさまざまな健康効果があるスーパー成分。

    エナジードリンクや栄養ドリンクとしての摂取も良いですが、砂糖やカフェイン等が豊富に含まれているため、あくまで一時的な疲労回復が目的です。タウリンを摂取する事で本格的に体質を改善する場合は、錠剤タイプのサプリがおすすめです。

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