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ホーリーバジルの研究データに基づく効果6個
公開日:2023/03/26
更新日:2023/04/12
ハーブティーや料理のほか、古くからアーユルヴェーダで治療薬としても重宝されてきた『ホーリーバジル』には、さまざまな健康効果があるといわれています。
なんと体の健康だけでなく、心や脳にも作用するというのです。
今回はホーリーバジルがもたらす効果を、臨床データをもとに6つご紹介します。
Contents [目次を開く]
ホーリーバジルとは?
ホーリーバジルと呼ばれるシソ科のハーブをご存じですか?
インドではトゥルシーと呼ばれ、伝統医学アーユルヴェーダでは長寿と強壮に効果がある「ラサーヤナ」に分類されています。
用途は多様で気管支炎、リウマチ、発熱、てんかん、皮膚病、血液の病気、感染症、虫歯予防にも使われてきたそうです。
有効成分としてオイゲノール、カルバクロール、ウルソール酸、β-カリオフィレン、ロスマリン酸などを含み、抗炎症、抗菌、抗酸化、抗がん、鎮痛などの作用があるとされます。[1]
これが最新医学でもなかなか多芸多才で、現代人の多様な健康ニーズを満たしてくれそうなのです。
では、一体どんな効果があるのか見ていきましょう。
ホーリーバジルの効果6つ
ホーリーバジルは体だけでなく心の健康効果も期待できる植物。
実際にどのような効果が期待できるのか、臨床データをもとに6つご紹介します。
1. 不安、ストレス、うつの改善
ホーリーバジルは摂取する人の不安やストレス、うつなどの心理状態を改善し、さらにポジティブな波及効果があるとされます。
2008年、B.C.ロイ医科学研究所(インド)による臨床試験では、全般性不安障害(GAD)の男女35人が被験者となりました。
ホーリーバジル500mg入りカプセルを毎日2個摂取すると、60日後に被験者の不安スコア平均は84.42から55.54に、ストレススコアは95.65から68.45に、うつスコアは66.45から45.97に、いずれも大きく改善しました。
この試験を行なった研究グループは、ストレス関連障害では副作用が強い抗不安薬ベンゾジアピンより安全な治療手段ではないかと示唆しています。[2]
2.睡眠も改善
ホーリーバジルはストレスとともに睡眠も改善できます。
2022年、マードック大学などオーストラリアの大学研究グループの臨床試験では、知覚ストレススケール(PSS)が高い老若男女85人が毎日250mgをカプセルで摂取しました。
この試験でも8週間後、不安、うつ、疲労、社交性のスコアがプラセボ(偽薬)より改善。
被験者の知覚ストレススケールも21.74から13.72へと8ポイント以上改善し、プラセボ(22.08から17.85で4ポイント改善)を突き放しました。
ストレス改善効果は客観的にも確認されています。
頭髪のストレス物質コルチゾールの濃度を測定したところ269.68pg/50mgとなり、プラセボ摂取者の789.89pg/50mgのほぼ3分の1にとどまりました。
さらに、氷水に手を浸したり計算作業をしたりするストレステスト(MAST)で被験者の身体の反応を客観的に評価したところ、ホーリーバジルを摂取すると、試験後の血圧上昇が抑制されています。
だ液中のコルチゾール濃度も10分後に0.34ug/dl、30分後に0.21ug/dlとなり、なだらかな変化です。
一方、プラセボを摂取するとコルチゾール濃度は10分後に0.42ug/dlに跳ね上がり、30分後も0.29ug/dlに高止まりしました。
ストレス改善は被験者の睡眠にもよい影響をもたらしたようです。
睡眠障害の自己評価(PROMIS)では、スコア平均が14.62から10.21に改善。
プラセボ摂取者(14.80から11.86への改善)と大きく差をつけました。
手首装着デバイス(Fitbit)による客観的データでも睡眠時間が約10分長くなり、睡眠効率が87.39%から90.63%に改善しています。
一方、プラセボ摂取では87.49%から88.73%の微増、ほとんど変化がありません。
以上から、ホーリーバジルを抗ストレス剤として利用してきた伝統医学の知見が改めて確認され、さらに1日250mgでもストレスと睡眠に効果があると分かりました。[3]
3.認知機能改善
ストレス改善と認知機能向上を関連付ける臨床試験でも、ホーリーバジルの効果が確認されています。
2015年、全インド医科大学(AIIMS)では、18~30歳(平均年齢27歳)の男性ボランティア40人に対する臨床試験が行われました。
20人がホーリーバジルエキス300mg入りカプセルを服用した後、記憶力を測るスタンバーグテストと注意力を測るストループテストを受けて効果を測定。
30日後、記憶力テストの反応速度は平均0.81秒で誤答率は1.6%となったのに対し、プラセボ摂取者20人の速度は0.879秒、誤答率は3.3%で停滞、改善幅もプラセボを上回りました。
注意力のテストでも同様に、反応速度と誤答率の両方で数値も改善幅もプラセボより効果が出ています。
また、だ液中のストレス物質コルチゾールの濃度を測定したところ、ホーリーバジル摂取グループだけが15%減少し、不安状態の心理テスト(STAI)のスコアも改善しました。
被験者は学業優秀で落ち着いた若者なので、ストレスや不安を抱えた人々にはもっと効果があるかもしれません。[4]
先述のストレスに関する2008年インドの臨床試験でも、注意力のスコアは2.45から3.28に改善しているため、この試験結果はまぐれではないと思われます。
4.疲労軽減、運動パフォーマンス向上
ホーリーバジルは疲労抑制、運動パフォーマンス向上にも効果があります。
2014年のマイソール大学(インド)で行われた臨床試験では、18~30歳の健康な男女30人が15人ずつに分かれてホーリーバジル1gまたはプラセボが入った栄養バー2本を毎朝食べ、10日後のパフォーマンスを比較しました。
検証手段はランニングマシンの速度と傾斜を3分ずつ変更して負荷を強める、ブルーストレッドミルテストです。
まず、持久力を示す最大酸素摂取量(VO2max)は、プラセボバーを食べても1分あたり29.03ml/kgから30.85ml/kgに増えただけでしたが、ホーリーバジル入りのバーを食べると29.54ml/kgから43.44ml/kgに、約50%増加を達成しました。
主観的な疲労度(FSS)でも同様に差がついています。
筋肉へのダメージを示すクレアチンキナーゼという酵素の血液中の量を調べたところ、ホーリーバジル摂取者は78.19U/lから108.02U/lの増加にとどまりました。
しかしプラセボバーを食べた被験者の大部分は、最終日に120U/lを超えてしまいました。
さらに、血液中の乳酸濃度もプラセボバーでは9.73mg/gから29.36mg/gへとほぼ3倍増だったのに対し、ホーリーバジル入りバーは9.41mg/gから15.08 mg/gへの増加にとどまり、疲労も軽減したと確認されています。[5]
5.メタボ対策にも有効
複数の臨床試験から、ホーリーバジルには糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームの改善にも効果があるとされています。
2016年の全インド医科大学での臨床試験もその一つです。
被験者は17~30歳でBMIが23以上の若い肥満男女30人。
この内16人がホーリーバジル入りカプセル2個、500mg相当を毎日摂取し、8週間後にプラセボを飲んだ14人と効果を比較しました。
まず血液中の脂質を調べると、プラセボ摂取ではコレステロール総量が164.86mg/dlから全く変化がなかったのに対し、ホーリーバジル摂取では189.00mg/dlから183.63 mg/dlに減少。
さらに、動脈硬化の原因になる中性脂肪や悪玉コレステロール(LDL)が減る一方、善玉コレステロール(HDL)が増えました。
特に悪玉コレステロールは123.69 mg/dlから109.18 mg/dlまで減少し、プラセボの約5倍の改善を示しています。
糖尿病関連では、ホーリーバジル摂取でインスリン濃度が28%低下し、インスリン抵抗性が25%改善しましたが、プラセボではインスリン濃度が38%増加しインスリン抵抗性が40%以上悪化。
さらに体重も1kg近く減ったのに対して、プラセボ摂取後の体重減少は100gにも届かず、大差がつきました。[6]
6.免疫力も強化
ホーリーバジルは免疫機能も向上させると示唆する研究もあります。
2011年、全インド医科大学の研究グループは、20~30代の健康な男女がホーリーバジル300mg入りカプセルを4週間摂取した効果を検証しました。
プラセボを摂取した10人にはほとんど何の変化もなかった一方、ホーリーバジルを摂取した12人の血液ではIFN-γ(インターフェロンガンマ)とIL-4(インターロイキン-4)というサイトカイン(生理活性のあるたんぱく質)が増えたことが分かりました。
IFN-γは抗ウイルス、抗菌、抗腫瘍、抗アレルギーなどの作用があります。
IL-4には抗感染症効果があり、IFN-γの増えすぎを防ぐ役割も果たすそうです。
さらに、がん細胞やウイルス感染細胞を攻撃するNK細胞と、他の免疫細胞を活性化するヘルパーT1細胞なども増えていました。[7]
1980年代にはすでにホーリーバジルのウイルス性肝炎や脳炎治癒効果が確認されていましたが、上記の試験でメカニズムが明らかになったと言えます。
ホーリーバジルで心・体・脳の健康を目指そう
ストレスを緩和して頭を使う時にも体を動かす時にも役立ち、メタボ対策にも有効で、免疫力も強化。
その上快適な睡眠ももたらしてくれるホーリーバジル。
こんな多芸多才な成分を活用しないのはもったいないですね。
ホーリーバジルは食事での摂取も可能ですが、調理方法次第で有効成分が失われてしまうので要注意。
蒸したり油で炒めたりするほうが抗酸化成分やフェノールが残りやすく、湯通しすれば減少し、煮ると大幅に減ると報告する研究があります。[8]
水に溶け出した成分もスープとして摂取するなら煮てもいいですが、決まった量を摂取するには、やはり規格化された成分を配合したサプリの摂取が一番です。
ちなみに、安全性については問題は見つかっていません。
2017年にロイヤルメルボルン工科大学(オーストラリア)の研究グループが24件の臨床試験のレビューを行いましたが、副作用の報告はその内1件だけ、しかも軽度の吐き気のみと報告しています。[9]
摂取量については2022年の最新研究では1日250mgで効果があったそうですから、そのくらいから試すとよいでしょう。
なお、上記レビュー24件の臨床試験では、1日あたりの摂取量はおおよそ300mg~3gでした。
心と体と頭脳の健康に有効で、現代人の多様なニーズに答えられるホーリーバジル。
一度試して損はありませんよ。
※記事の内容は、効能効果または安全性を保証するものではありません。サイトの情報を利用し判断及び行動する場合は、医師や薬剤師等のしかるべき資格を有する専門家にご相談し、ご自身の責任の上で行ってください。
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