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高麗人参とは？種類や名称がたくさん？

高麗人参を知らない人はめったにいないと思われます。

時代劇で病気の家族に買ってあげたいけれど、高価すぎて買えない、というストーリーでおなじみですよね。

しかし、それ以上の知識はない人が多いのではないでしょうか？

高麗人参は「朝鮮人参」とも呼ばれ、その名の通り朝鮮半島周辺に自生していました。

日本名はオタネニンジン（御種人蔘）で、長い根っこから数十㎝の一本の茎が伸び、赤い花が咲きます。

日本でも古くから薬効が知られて輸入され、江戸時代から栽培され始めたようです。

高麗人参の学名は「パナクス ジンセング」（Panax ginseng）といいます。

トチバニンジン属の学名「パナクス」（Panax）には「全てを癒す」という意味があるので、西洋医学でも薬草として評価されてきたのがわかるでしょう。

同じトチバニンジン属のアメリカニンジン（アメリカ原産）やサンシチニンジン（中国南部原産）も漢方薬に使われます。

高麗人参は根の部分が薬になりますが、収穫後の処理の違いで名前も効果も変わることはあまり知られていないのではないでしょうか。

まず、収穫しただけの生のものを「水参(すいじん)」といい、これは韓国料理のサムゲタン（参鶏湯）などの食材として使われます。

4～5年かけて成長した根の皮をはいで天日で乾燥させたものが「白参(はくじん)」です。

これは保存がきき、薬として使用されますが、有効成分が多い皮を取ってしまうので、薬効は「紅参(こうじん)」の方があるとされます。

高麗人参と聞いて多くの人が思い浮かべるのが紅参でしょう。

紅参は6年かけて成長した根を、皮を取らずに天日で乾燥させたものです。

有効成分サポニンの含有量が一番多くなるので、6年で収穫するとのこと。

サポニンは水に溶けて泡立ち、細胞膜を破壊したり、脂質を溶かしたりする能力がある成分です。

高麗人参に含まれるサポニンはジンセノサイドと呼ばれて特に注目され、1960年代から科学的研究が続けられてきました。

その結果、今までに実に40種類ものジンセノサイドが高麗人参から見つかり、抗がん、抗炎症、抗酸化（細胞のさびつきを抑える）、抗アポトーシス（細胞の死を防ぐ）など様々な作用が確認されています。^[1] 

高麗人参は体によさそうですが、現代医学ではどこまで具体的効用が確認されているのか？

気になる方も多いでしょう。

そこで本記事では臨床データをもとに、高麗人参の効果をご紹介いたします。

高麗人参の効果9個

ではここから、臨床データに基づいて高麗人参の効果を紹介していきます。

意外なポテンシャルを秘めた高麗人参に驚くはずですよ！ 

1.ED（勃起障害）改善

高麗人参に精力増進を期待する男性は多いのではないでしょうか？

これは期待通りで、高麗人参がED（勃起障害）改善に役立つと示唆する複数の臨床試験結果があります。

2021年に南アフリカのウェスタンケープ大学とアメリカの医師が、EDに効果のある薬草療法についてレビューを行い、国際勃起機能スコア（IIEF-5）の改善度で各療法を評価しました。

国際勃起機能スコアとは、被験者に勃起に関する5項目について自己評価してもらうスコアです。

勃起を維持する自信、挿入可能な硬さになった頻度、挿入後の勃起の維持、性交終了までの勃起の維持、性交の満足度の5項目を5段階評価し、合計点数が21点以下だとEDの疑いがあるとされます。

このレビューでは、高麗人参については7件の臨床試験を検討しました。

そのうちの高麗人参単独の試験4件中3件で国際勃起機能スコアが大きく改善し、ビタミンEなど他の成分とのコンビネーションを試した残り3件でも改善したとのことです。^[2]

その中でも、ブラジルサンパウロ大学で行われた2007年の臨床試験は注目に値します。

被験者のうち30人が紅参1,000mgを毎日3回12週間服用したところ、勃起機能スコアの平均は16.4から21.0に改善したのです。

もう少しでEDを卒業できそうなスコアですね。

一方プラシーボ（偽薬）を飲んだ30人の平均スコアは17.0から17.7に微増しただけでした。^[3]

高麗人参は精力不足を感じる男性の頼もしい味方と言えるでしょう。

2.疲労防止と回復

高麗人参には精力増進だけでなく、滋養強壮のイメージもありますよね？

医学の世界でも、中国天津科技大学の研究グループが高麗人参の疲労防止や回復の効果を2021年にレビューしています。

このレビューはもっと研究が必要としつつも、12件の臨床試験を紹介し、通常の疲労、慢性疲労、がんなどの患者の疲労に対する改善効果を確認しました。^[4]

韓国の慶北（キョンブク）大学校の研究グループによる2011年の臨床試験はその一例です。

男子大学生の被験者9人が紅参入りの水、残る9人はプラシーボ（偽薬）のハーブ水200mlを7日間飲んでからトレッドミルで時速10㎞で45分間走り、その後も4日間同じ水を飲んでから血液を検査しました。

すると、紅参グループの血液内のクレアチンキナーゼ（CK）やインターロイキン-6（IL-6）の濃度がプラシーボ（偽薬）より低くなっていました。

これは、高麗人参を摂取した結果、筋線維の破壊や炎症が早く回復したことを意味します。^[5]

慢性疲労については、2013年に韓国大田（テジョン）大学校で臨床試験が行われています。

この試験には慢性疲労に悩む90人が3グループに分かれ、それぞれ紅参1ｇ配合、同2ｇ配合、またはプラシーボ（偽薬）の飲み薬を飲み、その前後で疲労度について自己評価してもらいました。

4週間後、紅参2ｇ服用グループのスコアが20.7から13.8に改善、1ｇ服用グループは20.4から15.1に改善。

一方、プラシーボ（偽薬）服用グループのスコアは20.9から18.8になっただけでした。^[6] 

がんなど病気に苦しむ人の疲労緩和についても、5件の臨床試験で高麗人参の効果があったとされています。^[7]

高麗人参は様々な疲労に悩む人にも期待通りの成分と言えましょう。

3.認知機能やストレスを改善

高麗人参は肉体の疲労だけでなく、脳の機能やストレスまで改善できます。

マイアミ大学など全米各地の8人の研究者が、2021年に高麗人参を含む21種類の成分の認知機能への効果をレビューしました。

健常者から認知症患者までカバーする8件の臨床試験を検討した結果、高麗人参には認知機能を改善するポテンシャルがあるので、もっと臨床試験を行なってそのメカニズムを突き止める必要があると結論しています。^[8]

例えば、ベルギーなど3ヶ国の研究者たちが2020年に実施した臨床試験は、健康であるものの仕事のストレスや疲労を抱えた人を対象に高麗人参の効果を確かめました。

1日8時間コンピューターを使って仕事をしている50人の男女が、仕事の後に記憶力のテストを受け、ストレス自己評価を行なったのです。

50人は試験開始から毎日2回、紅参418mg配合カプセル、白参384mg配合カプセル、砂糖と米粉400mg入りのプラシーボ（偽薬）のどれかを飲んでいます。

12日後、紅参や白参を飲んだ2グループでは正答率が約5％上昇し、ストレススコア（PSS）には大きな変化はなし。

これに対し、プラシーボ（偽薬）グループの正答率改善はたった１%にとどまり、ストレススコアは3ポイントも悪化してしまいました。

50人の被験者の試験前のストレススコア平均は16.2で、正常な上限は13.0とのこと。

きつい仕事の後に、プラシーボしか飲めずにテストを受けた人たちのストレスは相当なものだったでしょう。^[9] 

知能やストレスに対しても、高麗人参の効能は歴然ですね。

4. コレステロール異常の改善

高麗人参は滋養強壮効果だけでなく、メタボリックシンドロームや糖尿病に関連する諸症状の改善にも役立ちます。

2021年にイランのマシュハド医科大学の研究グループがメタボリックシンドロームに対する高麗人参の効果をレビューし、最初に脂質異常の改善を取り上げています。^[10]

2010年の韓国慶北（キョンブク）大学校の臨床試験はその一例です。

空腹時血糖異常がある45人が紅参入り大豆ペーストを服用したところ、血液中の悪玉コレステロール（non-HDL）、過酸化脂質（TBARS）、空腹時血糖値などが改善していました。^[11]

他にも多数の動物実験や臨床試験結果から脂質異常改善効果が確認されています。 

5.高血圧の防止と改善

先ほどのレビューでは、高麗人参の高血圧の防止と改善についても多数の臨床試験を検討しています。

例えば韓国の延世（ヨンセ）大学校での2016年の臨床試験では、血圧が高めでアメリカでは「高血圧前症」とされる31人に紅参5gを服用させ、最大血圧（SBP）の低下を確認しました。^[12]

他にも5件の臨床試験が行われ、高麗人参やアメリカニンジンには何らかの血圧改善効果があると確認されています。^[13]

6.糖尿病治療

同じレビューは糖尿病治療に関する6件の臨床試験でも、血糖値、ヘモグロビンA1c（HbA1c）、インスリン抵抗性などが改善したことを明らかにしています。

この成果から、高麗人参はインスリン感受性の改善、細胞組織へのグルコース取り込みなど複雑のメカニズムを通じて糖尿病治療に有効だと結論付けられました。^[14]

7.肥満対策

高麗人参は糖尿病につきものの肥満対策でも効果が期待されている成分です。

今まで30数件の動物実験が実施され、体重や脂肪量減少など高麗人参の抗肥満薬としての効果が報告されています。^[15]

2014年の韓国東国（トングク）大学校の臨床試験では、10人の中高年肥満女性が紅参のフリーズドライ顆粒４gを8週間毎日飲み続けました。

結果は被験者全体では体重平均約1㎏減、ボディマス指数（BMI）は28.4から27.9の微減でしたが、大きな効果があったグループと、効果がなかったグループでは試験開始前の腸内微生物の構成に違いがあったことが分かり、改善が期待されています。^[16]

高麗人参の効果の多様さはもっと知られてよいでしょう。

8. 抗がん作用

高麗人参には抗がん作用も期待され、詳細なレビューが行われています。

2016年には江蘇省中医薬研究院など中国江蘇省の研究グループが、1990年から2014年までの研究から質の高い研究9件を選びだし、高麗人参服用と発がんリスクの関係を調査。

米中韓3ヶ国の約33万人にも及ぶ参加者を分析したところ、高麗人参を服用した人の発がんリスクは84％で、服用しなかった人より16％少ないと分かりました。

タイプ別では高麗人参服用者の発がんリスクは肺がんが78％、結腸直腸がん76％、肝臓がん78％、胃がん83％、前立腺がん88％、乳がん71％、血液のがん75％とのことです。^[17] 

がん発症時の疲労軽減だけでなく予防効果もあるとは驚きです。

9. 免疫の強化

さらに高麗人参には、抗炎症や感染症治療など、免疫系を強化する働きも注目されています。

2021年にはオーストラリアのウーロンゴン大学と韓国とバングラデシュの国際的研究グループが、免疫系に対する高麗人参の効果をレビューしました。

このレビューでは、有効成分ジンセノサイドが様々なメカニズムを通じて働き、自然免疫（白血球などが病原体を最初に防御する仕組み）も、獲得免疫(リンパ球などが増殖し始めた病原体と戦う仕組み)も助けていることが明らかになっています。^[18] 

もっと具体的な例をあげると、1996年のイタリアのミラノ大学での臨床試験では、12週間100mgの高麗人参エキスを飲み続けてからインフルエンザワクチン接種を受けた被験者は抗体の量が約60％増加し、NK細胞はほぼ倍増したとのことです。^[19]

高麗人参、八面六臂の大活躍ですね。

まとめ

いかがでしたか？

高麗人参の効果は男性機能強化や疲労回復など、昔から期待されてきた滋養強壮効果にとどまらず、認知機能やストレス改善、さらには糖尿病やがんなど様々な病気の治療や予防にまで効果があると分かりました。

時代劇からは病弱な人向けのイメージを受けますが、「パナクス ジンセング」（万能薬のニンジン）という学名に恥じない幅広い活躍が期待できそうですね。

安全性については、2019年の韓国の檀国（タングク）大学校と慶北（キョンブク）大学校の研究者によれば、紅参は1日3ｇまでなら問題ないとのことです。^[20]

アメリカ国立衛生研究所も、副作用としてまず不眠をあげ、他には動悸、血圧の変化、頭痛、食欲不振、消化不良などもありうるとしていますが、基本的に安全だと結論付けています。

ただし血糖値に影響する場合があるので、糖尿病治療中の人は医師と相談すべきで、特に妊娠中または乳児に授乳する女性の摂取は避けるべきとのことです。^[21]

精力不足や疲労が気になる方、メタボ対策が必要な方、様々な病気を予防したい方も、1日3g以内を目安に高麗人参サプリを試してみてはいかがでしょうか。

想像以上に幅広い効果が期待できそうで、おすすめです。